2023年1月1日 弁理士試験 代々木塾 意匠法60条の12
(国際公表の効果等)第六十条の十二
1 国際意匠登録出願の出願人は、国際公表があつた後に国際意匠登録出願に係る意匠を記載した書面を提示して警告をしたときは、その警告後意匠権の設定の登録前に業としてその国際意匠登録出願に係る意匠又はこれに類似する意匠を実施した者に対し、その国際意匠登録出願に係る意匠が登録意匠である場合にその登録意匠又はこれに類似する意匠の実施に対し受けるべき金銭の額に相当する額の補償金の支払を請求することができる。当該警告をしない場合においても、国際公表がされた国際意匠登録出願に係る意匠であることを知つて意匠権の設定の登録前に業としてその国際公表がされた国際意匠登録出願に係る意匠又はこれに類似する意匠を実施した者に対しては、同様とする。
2 特許法第六十五条第二項から第六項までの規定は、前項の規定により請求権を行使する場合に準用する。この場合において、同条第五項中「出願公開後」とあるのは「国際公表後」と、同条第六項中「第百一条、第百四条から第百四条の三まで、第百五条から第百五条の二の十二まで、第百五条の四から第百五条の七まで及び」とあるのは「意匠法第三十八条、同法第四十一条において準用する特許法第百四条の二から第百五条まで、第百五条の二の十二及び第百五条の四から第百五条の六まで並びに意匠法第五十二条において準用する特許法」と読み替えるものとする。
〔解説〕
・60条の12第1項(補償金請求権の創設)
<趣旨>
改正協定10条により、国際登録は各指定締約国での権利化より前に国際事務局による国際公表がされる。
国際公表は、現在、原則として、国際登録の日から12月経過後に行われる(改正協定第17規則)。
日本国の意匠法では、意匠権の設定の登録後に初めて意匠が公開されることとなっており(20条3項)、意匠権の設定の登録までの間に、第三者に自己の意匠を実施(模倣)される懸念は少ないが、国際意匠登録出願に係る意匠について国際公表がされてしまうと、第三者に自己の意匠を実施(模倣)されることによる被害を受ける懸念が大きく拡大することとなる。
このような問題に対応するため、意匠権の設定の登録前の産業財産権を保護する措置として、特許法における補償金請求権(特65条及び184条の10)が存在する。補償金請求権は、公開された自己の発明を業として実施した第三者に対しあらかじめ警告することにより、その発明について特許権の設定の登録がされた後に実施料相当額の補償金の支払を請求することができる権利であり、公開による出願人の損失を補償する趣旨に立った制度である。
そこで、国際意匠登録出願に関し、意匠権の設定の登録前の産業財産権を保護する措置として、特許法に倣い、補償金請求権に係る所要の規定の整備を行ったものである。
改正協定 第十条 国際登録、国際登録の日、公表及び国際登録の秘密の写し
(3)[公表]
(a)国際登録は、国際事務局が公表する。その公表は、全ての締約国において十分なものとみなされるものとし、名義人が他の方法による公表を求められることはないものとする。
(b)国際事務局は、公表された国際登録の写しを指定官庁に送付する。
<補償金請求権の発生の要件>
国際意匠登録出願について補償金請求権が発生するのは、以下の要件を満たした場合である。
(1)国際公表がされた国際意匠登録出願に係る意匠であることを知らないで国際意匠登録出願に係る意匠又はこれに類似する意匠を実施している者に対しては、
(1-1)国際公表があった後に、国際意匠登録出願に係る意匠を記載した書面を提示して警告をしたこと
(1-2)警告を受けた者が、その警告後、意匠権の設定の登録前に、業として国際意匠登録出願に係る意匠又はこれに類似する意匠を実施したこと
(2)国際公表がされた国際意匠登録出願に係る意匠であることを知って国際意匠登録出願に係る意匠又はこれに類似する意匠を実施している者に対しては、
その者が、国際公表後、意匠権の設定の登録前に、業として国際公表がされた国際意匠登録出願に係る意匠又はこれに類似する意匠を実施したこと
この場合は、警告は不要である。
補償金の額は、国際意匠登録出願に係る意匠が登録意匠である場合にその登録意匠又はこれに類似する意匠の実施に対し受けるべき金銭の額に相当する額である。
・60条の12第2項(特許法65条2項~6項の準用)
国際意匠登録出願に係る補償金請求権については、特許法65条2項~6項を準用することとした。
<特許法65条6項の読替え>
令和元年改正により、特許法においては、査証の制度(特105条の2~105条の2の10)が導入され、補償金請求権(特65条)においても準用することとした。
しかし、意匠法においては、査証の制度を導入しないこととしたので、意匠法における補償金請求権においても、同様に査証の制度を準用しないこととした。
査証制度は、方法の特許やソフトウェア特許といった、高度に専門的な製造等工程やソフトウェアの作動状況を実見し、その詳細を理解したうえで初めて侵害を立証できる特許に係る侵害訴訟において必要となる制度であることから、実用新案法、意匠法及び商標法には同様の制度を設けないこととした。
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(国際公表の効果等)第六十条の十二
1 国際意匠登録出願の出願人は、国際公表があつた後に国際意匠登録出願に係る意匠を記載した書面を提示して警告をしたときは、その警告後意匠権の設定の登録前に業としてその国際意匠登録出願に係る意匠又はこれに類似する意匠を実施した者に対し、その国際意匠登録出願に係る意匠が登録意匠である場合にその登録意匠又はこれに類似する意匠の実施に対し受けるべき金銭の額に相当する額の補償金の支払を請求することができる。当該警告をしない場合においても、国際公表がされた国際意匠登録出願に係る意匠であることを知つて意匠権の設定の登録前に業としてその国際公表がされた国際意匠登録出願に係る意匠又はこれに類似する意匠を実施した者に対しては、同様とする。
2 特許法第六十五条第二項から第六項までの規定は、前項の規定により請求権を行使する場合に準用する。この場合において、同条第五項中「出願公開後」とあるのは「国際公表後」と、同条第六項中「第百一条、第百四条から第百四条の三まで、第百五条から第百五条の二の十二まで、第百五条の四から第百五条の七まで及び」とあるのは「意匠法第三十八条、同法第四十一条において準用する特許法第百四条の二から第百五条まで、第百五条の二の十二及び第百五条の四から第百五条の六まで並びに意匠法第五十二条において準用する特許法」と読み替えるものとする。
〔解説〕
・60条の12第1項(補償金請求権の創設)
<趣旨>
改正協定10条により、国際登録は各指定締約国での権利化より前に国際事務局による国際公表がされる。
国際公表は、現在、原則として、国際登録の日から12月経過後に行われる(改正協定第17規則)。
日本国の意匠法では、意匠権の設定の登録後に初めて意匠が公開されることとなっており(20条3項)、意匠権の設定の登録までの間に、第三者に自己の意匠を実施(模倣)される懸念は少ないが、国際意匠登録出願に係る意匠について国際公表がされてしまうと、第三者に自己の意匠を実施(模倣)されることによる被害を受ける懸念が大きく拡大することとなる。
このような問題に対応するため、意匠権の設定の登録前の産業財産権を保護する措置として、特許法における補償金請求権(特65条及び184条の10)が存在する。補償金請求権は、公開された自己の発明を業として実施した第三者に対しあらかじめ警告することにより、その発明について特許権の設定の登録がされた後に実施料相当額の補償金の支払を請求することができる権利であり、公開による出願人の損失を補償する趣旨に立った制度である。
そこで、国際意匠登録出願に関し、意匠権の設定の登録前の産業財産権を保護する措置として、特許法に倣い、補償金請求権に係る所要の規定の整備を行ったものである。
改正協定 第十条 国際登録、国際登録の日、公表及び国際登録の秘密の写し
(3)[公表]
(a)国際登録は、国際事務局が公表する。その公表は、全ての締約国において十分なものとみなされるものとし、名義人が他の方法による公表を求められることはないものとする。
(b)国際事務局は、公表された国際登録の写しを指定官庁に送付する。
<補償金請求権の発生の要件>
国際意匠登録出願について補償金請求権が発生するのは、以下の要件を満たした場合である。
(1)国際公表がされた国際意匠登録出願に係る意匠であることを知らないで国際意匠登録出願に係る意匠又はこれに類似する意匠を実施している者に対しては、
(1-1)国際公表があった後に、国際意匠登録出願に係る意匠を記載した書面を提示して警告をしたこと
(1-2)警告を受けた者が、その警告後、意匠権の設定の登録前に、業として国際意匠登録出願に係る意匠又はこれに類似する意匠を実施したこと
(2)国際公表がされた国際意匠登録出願に係る意匠であることを知って国際意匠登録出願に係る意匠又はこれに類似する意匠を実施している者に対しては、
その者が、国際公表後、意匠権の設定の登録前に、業として国際公表がされた国際意匠登録出願に係る意匠又はこれに類似する意匠を実施したこと
この場合は、警告は不要である。
補償金の額は、国際意匠登録出願に係る意匠が登録意匠である場合にその登録意匠又はこれに類似する意匠の実施に対し受けるべき金銭の額に相当する額である。
・60条の12第2項(特許法65条2項~6項の準用)
国際意匠登録出願に係る補償金請求権については、特許法65条2項~6項を準用することとした。
<特許法65条6項の読替え>
令和元年改正により、特許法においては、査証の制度(特105条の2~105条の2の10)が導入され、補償金請求権(特65条)においても準用することとした。
しかし、意匠法においては、査証の制度を導入しないこととしたので、意匠法における補償金請求権においても、同様に査証の制度を準用しないこととした。
査証制度は、方法の特許やソフトウェア特許といった、高度に専門的な製造等工程やソフトウェアの作動状況を実見し、その詳細を理解したうえで初めて侵害を立証できる特許に係る侵害訴訟において必要となる制度であることから、実用新案法、意匠法及び商標法には同様の制度を設けないこととした。
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短答試験も、論文試験も、難化しています。
安易な勉強では、合格が困難な状況となっています。
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