2023年5月30日 弁理士試験 代々木塾 特許法184条の13
(特許要件の特例)第百八十四条の十三
第二十九条の二に規定する他の特許出願又は実用新案登録出願が国際特許出願又は実用新案法第四十八条の三第二項の国際実用新案登録出願である場合における第二十九条の二の規定の適用については、同条中「他の特許出願又は実用新案登録出願であつて」とあるのは「他の特許出願又は実用新案登録出願(第百八十四条の四第三項又は実用新案法第四十八条の四第三項の規定により取り下げられたものとみなされた第百八十四条の四第一項の外国語特許出願又は同法第四十八条の四第一項の外国語実用新案登録出願を除く。)であつて」と、「出願公開又は」とあるのは「出願公開、」と、「発行が」とあるのは「発行又は千九百七十年六月十九日にワシントンで作成された特許協力条約第二十一条に規定する国際公開が」と、「願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲若しくは実用新案登録請求の範囲又は図面」とあるのは「第百八十四条の四第一項又は実用新案法第四十八条の四第一項の国際出願日における国際出願の明細書、請求の範囲又は図面」とする。
〔解説〕
<趣旨>
PCTに基づく国際出願は、国際出願日が認められると各指定国において国際出願日から正規の国内出願としての効果を有するものとなり、国際出願日は各指定国における実際の出願日とみなされる(PCT11条(3))。
国際出願は優先日から1年6月を経過した後速やかに国際公開されることから(PCT21条)、国際公開をもって出願公開に代えることとし、出願公開の対象とはしないこととした(184条の9第4項)。
そこで、日本国を指定国に含む国際出願であって国際公開がされたものについては、29条の2により、その国際出願日の後の後願を拒絶することとした。
<具体例1>
特許出願Bが、日本語特許出願Aを引用して29条の2により拒絶されるのは、 第1に、日本語特許出願Aが特許出願Bの先願であること、
第2に、特許出願B後に、日本語特許出願Aについて国際公開がされたこと、
第3に、特許出願Bに係る発明が、日本語特許出願Aの国際出願日における国際出願の明細書、請求の範囲又は図面に記載された発明と同一であること、
第4に、特許出願Bに係る発明の発明者が、日本語特許出願Aの国際出願日における国際出願の明細書等に記載された同一発明の発明者と異なること、
第5に、特許出願Bの時に、特許出願Bの出願人が日本語特許出願Aの出願人と異なること
の要件を満たした場合である。
<具体例2>
特許出願Bが、外国語特許出願Aを引用して29条の2により拒絶されるのは、 第1に、外国語特許出願Aが特許出願Bの先願であること、
第2に、特許出願B後に、外国語特許出願Aについて国際公開がされたこと、
第3に、外国語特許出願Aについて翻訳文不提出を理由として取り下げられたものとみなされていないこと、
第4に、特許出願Bに係る発明が、外国語特許出願Aの国際出願日における国際出願の明細書、請求の範囲又は図面に記載された発明と同一であること、
第5に、特許出願Bに係る発明の発明者が、外国語特許出願Aの国際出願日における国際出願の明細書等に記載された同一発明の発明者と異なること、
第6に、特許出願Bの時に、特許出願Bの出願人が外国語特許出願Aの出願人と異なること
の要件を満たした場合である。
<国内公表との関係>
外国語特許出願については、国内公表は、29条の2の適用の要件とはならない。国際公開がされていれば、国内公表がされないときでも、29条の2の引用例となり得る。
例えば、外国語特許出願について国際公開がされ、所定の翻訳文を提出したが、国内公表がされる前に外国語特許出願を取り下げたような場合である。この場合は、国内公表はされないが、29条の2の先願の地位を有する。
<翻訳文の提出との関係>
29条の2において規定する他の出願(先願)として取り扱われるのは、外国語特許出願又は外国語実用新案登録出願のうち日本国に明細書及び請求の範囲の翻訳文が提出されたものに限られ、これらの翻訳文を提出せず、184条の4第3項又は実用新案法48条の4第3項の規定により取り下げられたものとみなされた出願は、次の理由により29条の2の規定の適用からは除外することとした。
(1)PCTに基づき日本国を指定国とする国際出願は、正規の国内出願としての効果を有することになるが、その効果を日本国において維持することが手続的に確定されるのは、翻訳文提出及び手数料の納付等の所定の手続をした時点であること。
(2)29条の2は、39条の規定により先願が後願を排除できる範囲を拡大させる効果を与える規定でもあるが、日本国に対し翻訳文を提出しない外国語特許出願は、36条2項に規定する願書に添付した明細書等が存在しないため、39条の先願としての地位を有しておらず、こうした出願に対してまで拡大された先願の地位を与えることは適当でないと考えられること。
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(特許要件の特例)第百八十四条の十三
第二十九条の二に規定する他の特許出願又は実用新案登録出願が国際特許出願又は実用新案法第四十八条の三第二項の国際実用新案登録出願である場合における第二十九条の二の規定の適用については、同条中「他の特許出願又は実用新案登録出願であつて」とあるのは「他の特許出願又は実用新案登録出願(第百八十四条の四第三項又は実用新案法第四十八条の四第三項の規定により取り下げられたものとみなされた第百八十四条の四第一項の外国語特許出願又は同法第四十八条の四第一項の外国語実用新案登録出願を除く。)であつて」と、「出願公開又は」とあるのは「出願公開、」と、「発行が」とあるのは「発行又は千九百七十年六月十九日にワシントンで作成された特許協力条約第二十一条に規定する国際公開が」と、「願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲若しくは実用新案登録請求の範囲又は図面」とあるのは「第百八十四条の四第一項又は実用新案法第四十八条の四第一項の国際出願日における国際出願の明細書、請求の範囲又は図面」とする。
〔解説〕
<趣旨>
PCTに基づく国際出願は、国際出願日が認められると各指定国において国際出願日から正規の国内出願としての効果を有するものとなり、国際出願日は各指定国における実際の出願日とみなされる(PCT11条(3))。
国際出願は優先日から1年6月を経過した後速やかに国際公開されることから(PCT21条)、国際公開をもって出願公開に代えることとし、出願公開の対象とはしないこととした(184条の9第4項)。
そこで、日本国を指定国に含む国際出願であって国際公開がされたものについては、29条の2により、その国際出願日の後の後願を拒絶することとした。
<具体例1>
特許出願Bが、日本語特許出願Aを引用して29条の2により拒絶されるのは、 第1に、日本語特許出願Aが特許出願Bの先願であること、
第2に、特許出願B後に、日本語特許出願Aについて国際公開がされたこと、
第3に、特許出願Bに係る発明が、日本語特許出願Aの国際出願日における国際出願の明細書、請求の範囲又は図面に記載された発明と同一であること、
第4に、特許出願Bに係る発明の発明者が、日本語特許出願Aの国際出願日における国際出願の明細書等に記載された同一発明の発明者と異なること、
第5に、特許出願Bの時に、特許出願Bの出願人が日本語特許出願Aの出願人と異なること
の要件を満たした場合である。
<具体例2>
特許出願Bが、外国語特許出願Aを引用して29条の2により拒絶されるのは、 第1に、外国語特許出願Aが特許出願Bの先願であること、
第2に、特許出願B後に、外国語特許出願Aについて国際公開がされたこと、
第3に、外国語特許出願Aについて翻訳文不提出を理由として取り下げられたものとみなされていないこと、
第4に、特許出願Bに係る発明が、外国語特許出願Aの国際出願日における国際出願の明細書、請求の範囲又は図面に記載された発明と同一であること、
第5に、特許出願Bに係る発明の発明者が、外国語特許出願Aの国際出願日における国際出願の明細書等に記載された同一発明の発明者と異なること、
第6に、特許出願Bの時に、特許出願Bの出願人が外国語特許出願Aの出願人と異なること
の要件を満たした場合である。
<国内公表との関係>
外国語特許出願については、国内公表は、29条の2の適用の要件とはならない。国際公開がされていれば、国内公表がされないときでも、29条の2の引用例となり得る。
例えば、外国語特許出願について国際公開がされ、所定の翻訳文を提出したが、国内公表がされる前に外国語特許出願を取り下げたような場合である。この場合は、国内公表はされないが、29条の2の先願の地位を有する。
<翻訳文の提出との関係>
29条の2において規定する他の出願(先願)として取り扱われるのは、外国語特許出願又は外国語実用新案登録出願のうち日本国に明細書及び請求の範囲の翻訳文が提出されたものに限られ、これらの翻訳文を提出せず、184条の4第3項又は実用新案法48条の4第3項の規定により取り下げられたものとみなされた出願は、次の理由により29条の2の規定の適用からは除外することとした。
(1)PCTに基づき日本国を指定国とする国際出願は、正規の国内出願としての効果を有することになるが、その効果を日本国において維持することが手続的に確定されるのは、翻訳文提出及び手数料の納付等の所定の手続をした時点であること。
(2)29条の2は、39条の規定により先願が後願を排除できる範囲を拡大させる効果を与える規定でもあるが、日本国に対し翻訳文を提出しない外国語特許出願は、36条2項に規定する願書に添付した明細書等が存在しないため、39条の先願としての地位を有しておらず、こうした出願に対してまで拡大された先願の地位を与えることは適当でないと考えられること。
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