実用新案登録に基づく特許出願
1.実用新案登録に基づく特許出願の要件
(1)形式的要件
① 実用新案登録に基づく特許出願ができる者
()実用新案権者(46条の2第1項)
()実用新案権が共有→共有者の全員が一致(46条の2第1項)
()実用新案権が有効に存続すること(46条の2第1項柱書後段)
なお、実用新案権の設定の登録がなされていない実用新案登録出願又は実用新案権が消滅した実用新案登録を基礎として実用新案登録に基づく特許出願をした場合には、18条の2の規定により特許出願を却下する。
② 時期的制限
46条の2第1項1号から4号までのいずれにも該当しないこと
()1号
その実用新案登録に実用新案登録出願の日から3年を経過したときは、実用新案登録に基づく特許出願をすることができない。
3年としたのは、出願審査請求期間の3年と均衡を図る必要があること、46条1項ただし書の3年と均衡を図る必要があること、からである。
ここで、実用新案登録出願の日とは、実用新案登録出願の願書を提出した日を意味するが、分割又は変更の出願の場合には、もとの出願日を意味する(実10条1項、準特44条2項)。国内優先権の主張を伴う実用新案登録出願については原則どおり後の出願日である(実8条2項反対解釈)。国際実用新案登録出願については、国際出願日である(実48条の3第1項)。
()2号
その実用新案登録に係る実用新案登録出願又はその実用新案登録について、実用新案登録出願人又は実用新案権者から実用新案法12条1項に規定する実用新案技術評価の請求があったときは、実用新案登録に基づく特許出願をすることができない。
この制限は、同一の技術について評価の審査と特許出願の審査という二重の審査を防止することにある。つまり、実用新案登録に基づく特許出願をする場合には、実用新案登録出願の請求の範囲に記載した考案をそのまま特許請求の範囲に発明として記載するとともに、さらに明細書にのみ記載した考案についても特許請求の範囲に発明として記載することが考えられることから、評価の請求があった後に実用新案登録に基づく特許出願を認めることとする場合には、同一の技術について一方では評価を行い、他方では特許出願の審査を行うという二重の審査をすることとなるが、これでは審査の促進に反する結果を招く。そこで、出願人又は権利者が自ら自発的に評価の請求をした場合には、その後は、実用新案登録に基づく特許出願を認めないこととしたものである。。
ここで、その実用新案登録に係る実用新案登録出願とは、出願中に実用新案技術評価の請求をした場合を意味する。その実用新案登録についてとは、実用新案権の設定の登録後に実用新案技術評価の請求をした場合を意味する。実用新案技術評価の請求があったときとは、評価の請求は、請求項ごとにすることができるが、全部の請求項について評価の請求をした場合のみならず、一部の請求項について評価の請求をした場合も含まれる。
()3号
その実用新案登録に係る実用新案登録出願又はその実用新案登録について、実用新案登録出願人又は実用新案権者でない者がした実用新案技術評価の請求に係る実用新案法13条2項の規定による最初の通知を受けた日から30日を経過したときは、実用新案登録に基づく特許出願をすることはできない。
他人が実用新案技術評価を請求することを権利者は止めることができないので、実用新案権の設定の登録後に実用新案掲載公報を見た他人が実用新案技術評価を請求した場合に、直ちに実用新案登録に基づく特許出願をすることができないとすることは、権利者に酷である。その一方、他人が評価の請求をした後にいつまでも実用新案登録に基づく特許出願をすることができるとすると、権利者が他人に評価の請求を依頼することもあり得ることから、2号との衡平の問題が生ずる。そこで、他人が評価の請求をした場合には、その旨の最初の通知があった日から30日以内に限り、実用新案登録に基づく特許出願をすることができることとした。
ここで、実用新案登録出願人又は実用新案権者でない者には、共有者の一部の者は含まれない。したがって、共有者の一部の者が請求した場合には、出願人又は実用新案権者の請求となるので、3号ではなくて、2号が適用される。
最初の通知とは、同一の実用新案登録について他人による評価の請求が複数回行われることがあるので、複数回の請求のうち一番最初の通知を意味する。
30日の期間は、実用新案登録に基づく特許出願をするかどうかの判断期間としては短期間である。ただし、権利者が外国人の場合には特許法4条により期間の延長を請求することができる。また、不責事由がある場合には、特許法46条の2第3項により追完をすることができる。
()4号
その実用新案登録について請求された実用新案法37条1項の実用新案登録無効審判について、同法39条1項の規定により最初に指定された期間を経過したときは、実用新案登録に基づく特許出願をすることができない。
無効審判において審理が相当に進んだ段階で実用新案登録に基づく特許出願が行われると、審判請求人の負担が徒労に帰する可能性がある。また、無効審判において審理が相当に進んだ段階で実用新案登録に基づく特許出願が行われ、特許権が発生し、その後に特許無効審判が請求されると、同一の技術について実用新案登録無効審判と特許無効審判の両方において二重の審理が行われることになる。そこで、このような弊害を防止するために、最初の答弁書提出期間を経過した後は実用新案登録に基づく特許出願をすることができないこととしたものである。
最初に指定された期間とは、同一の実用新案権について複数の無効審判が請求されることがあるので、複数の無効審判の請求を含めて複数回の答弁書提出期間のうち一番最初の答弁書提出期間を意味する。
実用新案登録が無効になった場合であっても、実用新案登録に基づく特許出願が特許法46条の2に規定する要件を満たせば、有効である。したがって、たとえその後に、実用新案登録が無効審判において無効にされたとしても、実用新案登録に基づく特許出願に影響を与えることはない。
実用新案登録に基づく特許出願をした場合には、実用新案権は放棄によって将来に向かって消滅することになる。その後、過去の実用新案権の侵害行為について原権利者が損害賠償請求ができるかについて検討すると、実用新案登録に基づく特許出願をした後は、原権利者も他人も評価の請求をすることができないし(実12条3項)、他人がすでに評価の請求をしていたとしてもされなかったものとみなされることから(実12条7項)、原権利者が評価書を入手することはできない。そうすると、実用新案法29条の2に規定する評価書を提示した警告を相手方にすることができず、結局は、損害賠償請求をすることができないといえる。
しかし、第三者が実用新案法29条の3の規定に基づいて原権利者に損害賠償請求をする場合や、実施許諾を受けていた者が実施契約の内容として無効審決が確定した場合にはすでに支払った実施料を返還する旨が明記されていた場合には、実際に無効審判を請求して無効審決を確定させる利益があるといえる。したがって、実用新案登録に基づく特許出願がされた後においても、当該実用新案登録に対して無効審判の請求をすることは可能である。
(3)実体的要件
① 実用新案登録に基づく特許出願が、その登録に係る実用新案登録出願の時にしたものとみなされるためには、次の2つの実体的要件を満たしていなければならない。
()第1要件
特許出願の願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項が、当該特許出願の基礎とされた実用新案登録の願書に添付した明細書、実用新案登録請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内にあること(46条の2第2項本文)
()第2要件
特許出願の願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項が、当該特許出願の基礎とされた実用新案登録に係る実用新案登録出願の出願当初の明細書、実用新案登録請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内にあること(46条の2第2項本文類推)
② 特許出願の願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項が「実用新案登録の願書に添付した明細書、実用新案登録請求の範囲又は図面」又は「実用新案登録出願の出願当初の明細書、実用新案登録請求の範囲又は図面」に記載した事項の範囲内のものであるか否かの判断は、新規事項の判断と同様に行う。
③ 第1要件において、実用新案登録後に明細書、実用新案登録請求の範囲又は図面の訂正があったときは、訂正後の明細書、実用新案登録請求の範囲又は図面が、実用新案登録の願書に添付した明細書、実用新案登録請求の範囲又は図面となる。
④ 実用新案登録に基づく特許出願がその実用新案登録に係る実用新案登録出願の時にしたものとみなされるという特許法46条の2第2項本文に規定する効果を考慮すると、前記第1要件に加えて第2要件も満たすことが必要である。
⑤ 特許法の願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項とは、特許出願の審査時における明細書等の記載事項を意味する。具体的には、査定時の明細書等に記載した事項を意味する。すなわち、特許出願後に補正をした場合には、補正後の明細書等に記載した事項を意味する。
⑥ 実用新案登録の願書に添付した明細書、実用新案登録請求の範囲又は図面に記載した事項とは、前記のとおり、訂正がされていなければ、実用新案権の設定の登録時の明細書等に記載した事項を意味する。実用新案権の設定の登録後に訂正をしている場合には、訂正後の明細書等に記載した事項を意味する(実14条の2第11項)。
訂正がされていなければ、実用新案権の設定の登録時の明細書等に記載した事項の範囲内で特許出願をすることができることを意味する。したがって、特許出願の請求の範囲に記載できる発明は、実用新案権の設定の登録時の請求の範囲に記載されている発明のみならず、明細書又は図面にのみ記載されている発明も含まれる。したがって、実用新案登録請求の範囲には物品の構造に関する発明イが記載されており、明細書には発明イに係る物品の製造方法の発明ロが記載されていたとすれば、特許出願の請求の範囲には、発明イと発明ロの両方を記載することができる。
しかし、すでに訂正がされている場合には、訂正後の明細書等が基準となるため、例えば、実用新案登録請求の範囲に記載された考案イを考案ロに減縮する訂正をするとともに、明細書及び図面からも考案イを削除する訂正をした場合には、訂正後の明細書等には考案イはまったく記載されていないため、考案イを発明イとして特許出願をすることはできないこととなる。特許法46条の2第2項の規定は、このような発明イを特許出願することを禁止するためのものと解される。
ところが、訂正の実体的要件については判断しないで訂正の効果を認めることとしているため(実14条の2第11項)、実用新案権の設定の登録時の明細書等には記載されていない考案イを訂正によって請求項に記載することが現実にはあり得る。この場合に、当該考案イについて実用新案登録に基づく特許出願をしたとすれば、2項本文の適用がどうなるのか、問題が生ずる。確かに、考案イは訂正後の請求の範囲に記載された事項であるので、2項本文の要件は満たすといわざるを得ない。しかし、このような考案イについて特許出願をした場合に出願時の遡及効を認めるのは、誰が見ても不当である。そこで、この場合は、特許出願の請求項に記載した発明は、実用新案登録出願の願書に最初に添付した明細書等に記載された事項の範囲外となっているので、出願時の遡及効は認められない、とする第2要件が適用されることになる。
⑦ 実用新案登録出願の出願当初の明細書等に記載した事項の範囲外となる場合について検討すると、実用新案登録に基づく特許出願も、分割や変更の出願と同様に出願の全体について出願時の遡及効を認めるものである。そうすると、条文上は規定がされていなくても、特許法44条及び46条と同様に、もとの出願当初に記載されていない新規事項を含むものである場合には、出願時の遡及効を認めるのは適切ではない。そこで、実用新案登録に基づく特許出願においても、実用新案登録出願の出願当初の明細書等に記載された事項の範囲内であることの要件(前記第2要件)、すなわち、出願当初の明細書等から見て新規事項の追加に該当していないことも要件となるものと解すべきである。
そうすると、特許出願において出願時の遡及効が認められるためには、前記のとおり、実用新案登録出願の出願当初の明細書等に記載した事項の範囲内であること(前記第2要件)、かつ、実用新案権の設定の登録時又は訂正がされた場合には訂正後の明細書等に記載した事項の範囲内であること(前記第1要件)、の2つの要件を満たすことが必要とされる。
例えば、実用新案登録出願において明細書等について新規事項の追加となる考案イを追加する補正をしたとすると、補正の要件は審査しないので、補正後の内容で実用新案権の設定の登録がされる。その後、実用新案登録に基づく特許出願をした場合に、特許出願の明細書に考案イが含まれていたとすれば、そのことにより、出願時の遡及効は否定されるべきものである。したがって、請求の範囲に記載された発明は、ことごとく自己の実用新案掲載公報を引用して新規性が否定される結果となる(29条1項3号)。この拒絶理由を解消するためには、特許出願の明細書を補正することにより新規事項である考案イを削除することが必要とされる。考案イを削除する補正をすれば、出願時の遡及効が認められて、自己の実用新案掲載公報を引用して拒絶されることはない。
2.実用新案登録に基づく特許出願の手続
(1)特許出願
所定の様式に従って実用新案登録に基づく特許出願をしなければならない。すなわち、特許出願の願書には、実用新案登録に基づく特許出願である旨を記載し、この願書には明細書、特許請求の範囲、必要な図面、要約書を添付しなければならない(特36条)。
(2)実用新案権の放棄
① 実用新案登録に基づく特許出願をする際には、その実用新案権を放棄しなければならない(特46条の2第1項柱書後段)。
実用新案登録の請求項に記載された考案をそのまま特許出願の請求項に記載した場合において、実用新案権を存続させたままとすると、同一内容について、実用新案権については実用新案技術評価の請求がされ、特許出願については出願審査の請求がされることがあり得る。この場合は、同一内容について二重の審査をすることとなり、審査負担の増大を招き、審査促進のために設けた実用新案登録に基づく特許出願の制度趣旨が没却される。そこで、実用新案登録に基づく特許出願をした場合には、実用新案権は放棄させることとしたものである。
② 実用新案権の放棄は、実用新案権者の意思によってなされるものである。そして、実用新案権の放棄は、登録しなければ、その効力は生じない(準特98条1項1号)。したがって、実用新案権者は、登録令に従って、実用新案権の抹消登録の申請をしなければならない(準特登録令50条、55条、施規53条)。
③ 実用新案権が共有に係る場合には、共有者の全員によって実用新案権の抹消登録の申請をしなければならない。
④ 実用新案権について、専用実施権者、質権者、職務考案に基づく通常実施権者、許諾通常実施権者があるときは、これらの者の承諾を得なければならない(準特97条1項)。つまり、実用新案権の抹消登録の申請の際に、承諾書を添付しなければならない。
⑤ 実用新案登録に基づく特許出願をしたときに、実用新案権者が実用新案権を放棄しなかった場合には、すなわち、抹消登録の申請をしなかった場合には、特許法46条の2第1項柱書第2文の要件を満たさないこととなる。この場合は、特許法18条の2の規定により特許出願を却下する。ただし、実用新案登録に基づく特許出願をすることができる期間内に抹消登録の申請をした場合には、特許出願を却下しない。
また、抹消登録の申請に不備があって申請が却下された場合にも、特許法18条の2の規定により特許出願を却下する。
(3)特許出願についての承諾
実用新案権者は、専用実施権者、質権者、職務考案に基づく通常実施権者、許諾通常実施権者があるときは、実用新案登録に基づく特許出願をすることについて、これらの者の承諾を得なければならない(特46条の2第4項)。実用新案権を放棄する場合にも、専用実施権者等の承諾が必要とされるが、それとは別に、実用新案登録に基づく特許出願をすること自体についても専用実施権者等の承諾が必要である。したがって、専用実施権者があるときは、実用新案権の放棄についての承諾書と、実用新案登録に基づく特許出願についての承諾書が必要とされる。もちろん、両方の事項を1つの書面に記載して承諾書を1通とすることができる。
これらの承諾書は、実用新案登録に基づく特許出願をする際に願書に添付して提出すべきものと解される。もし、実用新案登録に基づく特許出願の際に承諾書を添付しなかったとした場合には、特許庁長官は承諾書の提出について補正命令をするものと解される(特17条3項2号)。指定期間内に承諾書を提出しなかった場合には、実用新案登録に基づく特許出願は却下されるものと解される(特18条1項)。
3.実用新案登録に基づく特許出願の効果
(1)要件を満たす場合
① 出願時の遡及効
実用新案登録に基づく特許出願は、基礎とされた実用新案登録に係る実用新案登録出願の時にされたものとみなされる(特46条の2第2項本文)。分割又は変更と同様に出願時の遡及的効果を認めるものである。
なお、国内優先権又はパリ条約の優先権の場合とは異なり、請求項ごとに出願時の遡及効があるかどうかを判断するものではないため、特許出願の全体として出願時が遡及するか、特許出願の全体として出願時が遡及しないかのいずれかとなる。すなわち、特許請求の範囲には新規事項が追加されていなくても、明細書に新規事項が追加されていれば、特許出願の全体として出願時の遡及効が認められない。
② 出願時の遡及効の例外
ただし、一定の規定については、出願時を遡及させることが不都合となるため、出願時は遡及しないこととしている(特46条の2第2項ただし書)。
()特許法29条の2又は実用新案法3条の2
()特許法30条4項
()特許法36条の2第2項
()特許法41条4項、43条1項等
()特許法48条の3第2項
③ 特許法39条4項の適用
特許法39条4項は、実用新案登録に基づく特許出願をした場合には、自己の実用新案登録出願を引用して拒絶されないことを規定したものである。
実用新案登録に基づく特許出願には、その特許出願の分割出願も含まれる。また、当該特許出願を意匠登録出願に変更し(意13条1項)、これをさらに特許出願に変更した場合の特許出願(特46条2項)も含まれる。すなわち、実用新案登録に基づく特許出願を意匠登録出願に変更することは禁止されていない(意13条1項)。さらに、その意匠登録出願を特許出願に変更することも禁止されていない(特46条2項)。そうすると、このように意匠登録出願への変更を経由して特許出願に変更された場合においても、基礎とされた実用新案登録出願を引用例から除外することとした。
なお、後記のとおり、実用新案登録に基づく特許出願を実用新案登録出願に変更することは禁止されている(実10条1項)。
④ 特許法41条1項2号
実用新案登録に基づく特許出願を基礎とする国内優先権の主張は認めないことを規定している。分割や変更の出願の場合と同様に、実用新案登録に基づく特許出願の要件まで判断することは審査負担が増大するからである。
(2)要件を満たさない場合
① 方式的要件違反
方式的要件、すなわち、出願人の要件又は時期的要件を満たさない場合には、不適法な特許出願であってその補正をすることができなものであるとして、特許法18条の2の規定により特許出願が却下される。
② 実体的要件違反
特許出願の出願時が遡及せず、現実の特許出願の時にされた特許出願であるとして取り扱われる。その結果、基礎とされた実用新案登録に係る実用新案掲載公報を引用して特許出願に係る発明の新規性が否定されることになる。
5.1つの実用新案登録に基づいて2つ以上の特許出願をすることができるか
1つの実用新案登録からは1つの特許出願しかできないとしている。すなわち、2つ以上の特許出願はできないとしている。その理由は、実用新案権が放棄された後は、実用新案登録に基づく特許出願をすることができないからであるとされている。そして、実用新案登録に基づく特許出願において発明の単一性を満たさない場合には、特許出願後に当該特許出願を分割することが必要であるとされている。
1.実用新案登録に基づく特許出願の要件
(1)形式的要件
① 実用新案登録に基づく特許出願ができる者
()実用新案権者(46条の2第1項)
()実用新案権が共有→共有者の全員が一致(46条の2第1項)
()実用新案権が有効に存続すること(46条の2第1項柱書後段)
なお、実用新案権の設定の登録がなされていない実用新案登録出願又は実用新案権が消滅した実用新案登録を基礎として実用新案登録に基づく特許出願をした場合には、18条の2の規定により特許出願を却下する。
② 時期的制限
46条の2第1項1号から4号までのいずれにも該当しないこと
()1号
その実用新案登録に実用新案登録出願の日から3年を経過したときは、実用新案登録に基づく特許出願をすることができない。
3年としたのは、出願審査請求期間の3年と均衡を図る必要があること、46条1項ただし書の3年と均衡を図る必要があること、からである。
ここで、実用新案登録出願の日とは、実用新案登録出願の願書を提出した日を意味するが、分割又は変更の出願の場合には、もとの出願日を意味する(実10条1項、準特44条2項)。国内優先権の主張を伴う実用新案登録出願については原則どおり後の出願日である(実8条2項反対解釈)。国際実用新案登録出願については、国際出願日である(実48条の3第1項)。
()2号
その実用新案登録に係る実用新案登録出願又はその実用新案登録について、実用新案登録出願人又は実用新案権者から実用新案法12条1項に規定する実用新案技術評価の請求があったときは、実用新案登録に基づく特許出願をすることができない。
この制限は、同一の技術について評価の審査と特許出願の審査という二重の審査を防止することにある。つまり、実用新案登録に基づく特許出願をする場合には、実用新案登録出願の請求の範囲に記載した考案をそのまま特許請求の範囲に発明として記載するとともに、さらに明細書にのみ記載した考案についても特許請求の範囲に発明として記載することが考えられることから、評価の請求があった後に実用新案登録に基づく特許出願を認めることとする場合には、同一の技術について一方では評価を行い、他方では特許出願の審査を行うという二重の審査をすることとなるが、これでは審査の促進に反する結果を招く。そこで、出願人又は権利者が自ら自発的に評価の請求をした場合には、その後は、実用新案登録に基づく特許出願を認めないこととしたものである。。
ここで、その実用新案登録に係る実用新案登録出願とは、出願中に実用新案技術評価の請求をした場合を意味する。その実用新案登録についてとは、実用新案権の設定の登録後に実用新案技術評価の請求をした場合を意味する。実用新案技術評価の請求があったときとは、評価の請求は、請求項ごとにすることができるが、全部の請求項について評価の請求をした場合のみならず、一部の請求項について評価の請求をした場合も含まれる。
()3号
その実用新案登録に係る実用新案登録出願又はその実用新案登録について、実用新案登録出願人又は実用新案権者でない者がした実用新案技術評価の請求に係る実用新案法13条2項の規定による最初の通知を受けた日から30日を経過したときは、実用新案登録に基づく特許出願をすることはできない。
他人が実用新案技術評価を請求することを権利者は止めることができないので、実用新案権の設定の登録後に実用新案掲載公報を見た他人が実用新案技術評価を請求した場合に、直ちに実用新案登録に基づく特許出願をすることができないとすることは、権利者に酷である。その一方、他人が評価の請求をした後にいつまでも実用新案登録に基づく特許出願をすることができるとすると、権利者が他人に評価の請求を依頼することもあり得ることから、2号との衡平の問題が生ずる。そこで、他人が評価の請求をした場合には、その旨の最初の通知があった日から30日以内に限り、実用新案登録に基づく特許出願をすることができることとした。
ここで、実用新案登録出願人又は実用新案権者でない者には、共有者の一部の者は含まれない。したがって、共有者の一部の者が請求した場合には、出願人又は実用新案権者の請求となるので、3号ではなくて、2号が適用される。
最初の通知とは、同一の実用新案登録について他人による評価の請求が複数回行われることがあるので、複数回の請求のうち一番最初の通知を意味する。
30日の期間は、実用新案登録に基づく特許出願をするかどうかの判断期間としては短期間である。ただし、権利者が外国人の場合には特許法4条により期間の延長を請求することができる。また、不責事由がある場合には、特許法46条の2第3項により追完をすることができる。
()4号
その実用新案登録について請求された実用新案法37条1項の実用新案登録無効審判について、同法39条1項の規定により最初に指定された期間を経過したときは、実用新案登録に基づく特許出願をすることができない。
無効審判において審理が相当に進んだ段階で実用新案登録に基づく特許出願が行われると、審判請求人の負担が徒労に帰する可能性がある。また、無効審判において審理が相当に進んだ段階で実用新案登録に基づく特許出願が行われ、特許権が発生し、その後に特許無効審判が請求されると、同一の技術について実用新案登録無効審判と特許無効審判の両方において二重の審理が行われることになる。そこで、このような弊害を防止するために、最初の答弁書提出期間を経過した後は実用新案登録に基づく特許出願をすることができないこととしたものである。
最初に指定された期間とは、同一の実用新案権について複数の無効審判が請求されることがあるので、複数の無効審判の請求を含めて複数回の答弁書提出期間のうち一番最初の答弁書提出期間を意味する。
実用新案登録が無効になった場合であっても、実用新案登録に基づく特許出願が特許法46条の2に規定する要件を満たせば、有効である。したがって、たとえその後に、実用新案登録が無効審判において無効にされたとしても、実用新案登録に基づく特許出願に影響を与えることはない。
実用新案登録に基づく特許出願をした場合には、実用新案権は放棄によって将来に向かって消滅することになる。その後、過去の実用新案権の侵害行為について原権利者が損害賠償請求ができるかについて検討すると、実用新案登録に基づく特許出願をした後は、原権利者も他人も評価の請求をすることができないし(実12条3項)、他人がすでに評価の請求をしていたとしてもされなかったものとみなされることから(実12条7項)、原権利者が評価書を入手することはできない。そうすると、実用新案法29条の2に規定する評価書を提示した警告を相手方にすることができず、結局は、損害賠償請求をすることができないといえる。
しかし、第三者が実用新案法29条の3の規定に基づいて原権利者に損害賠償請求をする場合や、実施許諾を受けていた者が実施契約の内容として無効審決が確定した場合にはすでに支払った実施料を返還する旨が明記されていた場合には、実際に無効審判を請求して無効審決を確定させる利益があるといえる。したがって、実用新案登録に基づく特許出願がされた後においても、当該実用新案登録に対して無効審判の請求をすることは可能である。
(3)実体的要件
① 実用新案登録に基づく特許出願が、その登録に係る実用新案登録出願の時にしたものとみなされるためには、次の2つの実体的要件を満たしていなければならない。
()第1要件
特許出願の願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項が、当該特許出願の基礎とされた実用新案登録の願書に添付した明細書、実用新案登録請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内にあること(46条の2第2項本文)
()第2要件
特許出願の願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項が、当該特許出願の基礎とされた実用新案登録に係る実用新案登録出願の出願当初の明細書、実用新案登録請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内にあること(46条の2第2項本文類推)
② 特許出願の願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項が「実用新案登録の願書に添付した明細書、実用新案登録請求の範囲又は図面」又は「実用新案登録出願の出願当初の明細書、実用新案登録請求の範囲又は図面」に記載した事項の範囲内のものであるか否かの判断は、新規事項の判断と同様に行う。
③ 第1要件において、実用新案登録後に明細書、実用新案登録請求の範囲又は図面の訂正があったときは、訂正後の明細書、実用新案登録請求の範囲又は図面が、実用新案登録の願書に添付した明細書、実用新案登録請求の範囲又は図面となる。
④ 実用新案登録に基づく特許出願がその実用新案登録に係る実用新案登録出願の時にしたものとみなされるという特許法46条の2第2項本文に規定する効果を考慮すると、前記第1要件に加えて第2要件も満たすことが必要である。
⑤ 特許法の願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項とは、特許出願の審査時における明細書等の記載事項を意味する。具体的には、査定時の明細書等に記載した事項を意味する。すなわち、特許出願後に補正をした場合には、補正後の明細書等に記載した事項を意味する。
⑥ 実用新案登録の願書に添付した明細書、実用新案登録請求の範囲又は図面に記載した事項とは、前記のとおり、訂正がされていなければ、実用新案権の設定の登録時の明細書等に記載した事項を意味する。実用新案権の設定の登録後に訂正をしている場合には、訂正後の明細書等に記載した事項を意味する(実14条の2第11項)。
訂正がされていなければ、実用新案権の設定の登録時の明細書等に記載した事項の範囲内で特許出願をすることができることを意味する。したがって、特許出願の請求の範囲に記載できる発明は、実用新案権の設定の登録時の請求の範囲に記載されている発明のみならず、明細書又は図面にのみ記載されている発明も含まれる。したがって、実用新案登録請求の範囲には物品の構造に関する発明イが記載されており、明細書には発明イに係る物品の製造方法の発明ロが記載されていたとすれば、特許出願の請求の範囲には、発明イと発明ロの両方を記載することができる。
しかし、すでに訂正がされている場合には、訂正後の明細書等が基準となるため、例えば、実用新案登録請求の範囲に記載された考案イを考案ロに減縮する訂正をするとともに、明細書及び図面からも考案イを削除する訂正をした場合には、訂正後の明細書等には考案イはまったく記載されていないため、考案イを発明イとして特許出願をすることはできないこととなる。特許法46条の2第2項の規定は、このような発明イを特許出願することを禁止するためのものと解される。
ところが、訂正の実体的要件については判断しないで訂正の効果を認めることとしているため(実14条の2第11項)、実用新案権の設定の登録時の明細書等には記載されていない考案イを訂正によって請求項に記載することが現実にはあり得る。この場合に、当該考案イについて実用新案登録に基づく特許出願をしたとすれば、2項本文の適用がどうなるのか、問題が生ずる。確かに、考案イは訂正後の請求の範囲に記載された事項であるので、2項本文の要件は満たすといわざるを得ない。しかし、このような考案イについて特許出願をした場合に出願時の遡及効を認めるのは、誰が見ても不当である。そこで、この場合は、特許出願の請求項に記載した発明は、実用新案登録出願の願書に最初に添付した明細書等に記載された事項の範囲外となっているので、出願時の遡及効は認められない、とする第2要件が適用されることになる。
⑦ 実用新案登録出願の出願当初の明細書等に記載した事項の範囲外となる場合について検討すると、実用新案登録に基づく特許出願も、分割や変更の出願と同様に出願の全体について出願時の遡及効を認めるものである。そうすると、条文上は規定がされていなくても、特許法44条及び46条と同様に、もとの出願当初に記載されていない新規事項を含むものである場合には、出願時の遡及効を認めるのは適切ではない。そこで、実用新案登録に基づく特許出願においても、実用新案登録出願の出願当初の明細書等に記載された事項の範囲内であることの要件(前記第2要件)、すなわち、出願当初の明細書等から見て新規事項の追加に該当していないことも要件となるものと解すべきである。
そうすると、特許出願において出願時の遡及効が認められるためには、前記のとおり、実用新案登録出願の出願当初の明細書等に記載した事項の範囲内であること(前記第2要件)、かつ、実用新案権の設定の登録時又は訂正がされた場合には訂正後の明細書等に記載した事項の範囲内であること(前記第1要件)、の2つの要件を満たすことが必要とされる。
例えば、実用新案登録出願において明細書等について新規事項の追加となる考案イを追加する補正をしたとすると、補正の要件は審査しないので、補正後の内容で実用新案権の設定の登録がされる。その後、実用新案登録に基づく特許出願をした場合に、特許出願の明細書に考案イが含まれていたとすれば、そのことにより、出願時の遡及効は否定されるべきものである。したがって、請求の範囲に記載された発明は、ことごとく自己の実用新案掲載公報を引用して新規性が否定される結果となる(29条1項3号)。この拒絶理由を解消するためには、特許出願の明細書を補正することにより新規事項である考案イを削除することが必要とされる。考案イを削除する補正をすれば、出願時の遡及効が認められて、自己の実用新案掲載公報を引用して拒絶されることはない。
2.実用新案登録に基づく特許出願の手続
(1)特許出願
所定の様式に従って実用新案登録に基づく特許出願をしなければならない。すなわち、特許出願の願書には、実用新案登録に基づく特許出願である旨を記載し、この願書には明細書、特許請求の範囲、必要な図面、要約書を添付しなければならない(特36条)。
(2)実用新案権の放棄
① 実用新案登録に基づく特許出願をする際には、その実用新案権を放棄しなければならない(特46条の2第1項柱書後段)。
実用新案登録の請求項に記載された考案をそのまま特許出願の請求項に記載した場合において、実用新案権を存続させたままとすると、同一内容について、実用新案権については実用新案技術評価の請求がされ、特許出願については出願審査の請求がされることがあり得る。この場合は、同一内容について二重の審査をすることとなり、審査負担の増大を招き、審査促進のために設けた実用新案登録に基づく特許出願の制度趣旨が没却される。そこで、実用新案登録に基づく特許出願をした場合には、実用新案権は放棄させることとしたものである。
② 実用新案権の放棄は、実用新案権者の意思によってなされるものである。そして、実用新案権の放棄は、登録しなければ、その効力は生じない(準特98条1項1号)。したがって、実用新案権者は、登録令に従って、実用新案権の抹消登録の申請をしなければならない(準特登録令50条、55条、施規53条)。
③ 実用新案権が共有に係る場合には、共有者の全員によって実用新案権の抹消登録の申請をしなければならない。
④ 実用新案権について、専用実施権者、質権者、職務考案に基づく通常実施権者、許諾通常実施権者があるときは、これらの者の承諾を得なければならない(準特97条1項)。つまり、実用新案権の抹消登録の申請の際に、承諾書を添付しなければならない。
⑤ 実用新案登録に基づく特許出願をしたときに、実用新案権者が実用新案権を放棄しなかった場合には、すなわち、抹消登録の申請をしなかった場合には、特許法46条の2第1項柱書第2文の要件を満たさないこととなる。この場合は、特許法18条の2の規定により特許出願を却下する。ただし、実用新案登録に基づく特許出願をすることができる期間内に抹消登録の申請をした場合には、特許出願を却下しない。
また、抹消登録の申請に不備があって申請が却下された場合にも、特許法18条の2の規定により特許出願を却下する。
(3)特許出願についての承諾
実用新案権者は、専用実施権者、質権者、職務考案に基づく通常実施権者、許諾通常実施権者があるときは、実用新案登録に基づく特許出願をすることについて、これらの者の承諾を得なければならない(特46条の2第4項)。実用新案権を放棄する場合にも、専用実施権者等の承諾が必要とされるが、それとは別に、実用新案登録に基づく特許出願をすること自体についても専用実施権者等の承諾が必要である。したがって、専用実施権者があるときは、実用新案権の放棄についての承諾書と、実用新案登録に基づく特許出願についての承諾書が必要とされる。もちろん、両方の事項を1つの書面に記載して承諾書を1通とすることができる。
これらの承諾書は、実用新案登録に基づく特許出願をする際に願書に添付して提出すべきものと解される。もし、実用新案登録に基づく特許出願の際に承諾書を添付しなかったとした場合には、特許庁長官は承諾書の提出について補正命令をするものと解される(特17条3項2号)。指定期間内に承諾書を提出しなかった場合には、実用新案登録に基づく特許出願は却下されるものと解される(特18条1項)。
3.実用新案登録に基づく特許出願の効果
(1)要件を満たす場合
① 出願時の遡及効
実用新案登録に基づく特許出願は、基礎とされた実用新案登録に係る実用新案登録出願の時にされたものとみなされる(特46条の2第2項本文)。分割又は変更と同様に出願時の遡及的効果を認めるものである。
なお、国内優先権又はパリ条約の優先権の場合とは異なり、請求項ごとに出願時の遡及効があるかどうかを判断するものではないため、特許出願の全体として出願時が遡及するか、特許出願の全体として出願時が遡及しないかのいずれかとなる。すなわち、特許請求の範囲には新規事項が追加されていなくても、明細書に新規事項が追加されていれば、特許出願の全体として出願時の遡及効が認められない。
② 出願時の遡及効の例外
ただし、一定の規定については、出願時を遡及させることが不都合となるため、出願時は遡及しないこととしている(特46条の2第2項ただし書)。
()特許法29条の2又は実用新案法3条の2
()特許法30条4項
()特許法36条の2第2項
()特許法41条4項、43条1項等
()特許法48条の3第2項
③ 特許法39条4項の適用
特許法39条4項は、実用新案登録に基づく特許出願をした場合には、自己の実用新案登録出願を引用して拒絶されないことを規定したものである。
実用新案登録に基づく特許出願には、その特許出願の分割出願も含まれる。また、当該特許出願を意匠登録出願に変更し(意13条1項)、これをさらに特許出願に変更した場合の特許出願(特46条2項)も含まれる。すなわち、実用新案登録に基づく特許出願を意匠登録出願に変更することは禁止されていない(意13条1項)。さらに、その意匠登録出願を特許出願に変更することも禁止されていない(特46条2項)。そうすると、このように意匠登録出願への変更を経由して特許出願に変更された場合においても、基礎とされた実用新案登録出願を引用例から除外することとした。
なお、後記のとおり、実用新案登録に基づく特許出願を実用新案登録出願に変更することは禁止されている(実10条1項)。
④ 特許法41条1項2号
実用新案登録に基づく特許出願を基礎とする国内優先権の主張は認めないことを規定している。分割や変更の出願の場合と同様に、実用新案登録に基づく特許出願の要件まで判断することは審査負担が増大するからである。
(2)要件を満たさない場合
① 方式的要件違反
方式的要件、すなわち、出願人の要件又は時期的要件を満たさない場合には、不適法な特許出願であってその補正をすることができなものであるとして、特許法18条の2の規定により特許出願が却下される。
② 実体的要件違反
特許出願の出願時が遡及せず、現実の特許出願の時にされた特許出願であるとして取り扱われる。その結果、基礎とされた実用新案登録に係る実用新案掲載公報を引用して特許出願に係る発明の新規性が否定されることになる。
5.1つの実用新案登録に基づいて2つ以上の特許出願をすることができるか
1つの実用新案登録からは1つの特許出願しかできないとしている。すなわち、2つ以上の特許出願はできないとしている。その理由は、実用新案権が放棄された後は、実用新案登録に基づく特許出願をすることができないからであるとされている。そして、実用新案登録に基づく特許出願において発明の単一性を満たさない場合には、特許出願後に当該特許出願を分割することが必要であるとされている。