瀬崎祐の本棚

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エウメニデスⅡ  38号  (2010/10)  長野

2010-11-10 23:04:44 | 「あ行」で始まる詩誌
 「空の道」小島きみ子。
 「カワラヒワ」「鳶の冷たい息が両目を刺した」の2編からなる。カワラヒワや鳶が飛んでいく道が”空の道”であるようなのだが、はて、空に道があるのだろうか? 小島が言う”空の道”とはいったい何なのだろうか?
 鳶がわたしを「ママ」と呼ぶ。鳶は鳥のままで、わたしは人のままで会話をしている。鳥が家族の一員であるのは、小島の作品ではおなじみの設定だ。違和感を覚える家族でなければ、家族とは言いたくないのだろうか。その感覚には惹かれるものがあるのだが、私(瀬崎)にはまだ捉えきれていない。

   鳶は鼻をひくひくさせて笑ったあとで、
   (僕はパパとうまくやっているよ)と言って青い「空の道」へ消えて行った。

   鳶の飛ぶ道筋には、他の鳥はいない。
   この地上に私を一人残して、
   鳶はまっすぐに「自分の道」のほうへ飛んで行った。
                                  (最終部分)

 境界も制限もない空ではどこを通るのも自由だろう。そんな空では、道はあとからできるのではないだろうか。歩んだあとに初めてできる道、それが”空の道”なのだろう。ルートが選び取られ”道”と名付けられるものは、その人の道の求め方によって異なってくるのだろう。小島が求めている道も、そんな道なのだろう。
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