115頁に25編を収める。
詩集タイトルの「球形の卵」とは地球のこと。巻頭の「母」では宇宙から見た地球の美しさを詩っており、詩集最後には「母なるガイア」という作品を置いている。小児科医でもある著者は、地球が育んだ生命への畏怖をこの詩集の作品に込めている。
この硬い殻に包まれた卵という存在は
ぼくたちに深い哲理を思わせる
殻のなかで分裂し成長しかすかに動き
やがてひとつの生命が生まれてくる神秘
鳥の卵であれ 昆虫の卵であれ
微生物の卵であれ 人間の卵であれ
すべての卵が同一の形態を取っている不思議
(「球形の卵」より)
一つの生命は一つの卵から生まれる。いいかえれば、一つの卵の中に生命として誕生してくるあらゆる要素が入っている(人間の場合は胎生なので、厳密には母体からの栄養をとって発育するわけだが)。そして地球という卵の中にわれわれの生命がすべて含まれているわけだ。個々の生命が集合した一つの生命体としてのイメージがここにはある。それを著者は”巨大な生命”と捉えている。
黎明の寒気のなかで
生まれたばかりの卵を掌に包みながら
巨大な生命に思いを馳せている
(最終連)
詩集の中頃に、美味と隣り合わせの毒をもった河豚をたとえに原子力を詩った「河豚」、また、より直接的にチェルノブイリを詩った「石棺」という作品がある。これらの作品を読み、現在の我が国が置かれた状況をあらためて思ってしまう。
詩集タイトルの「球形の卵」とは地球のこと。巻頭の「母」では宇宙から見た地球の美しさを詩っており、詩集最後には「母なるガイア」という作品を置いている。小児科医でもある著者は、地球が育んだ生命への畏怖をこの詩集の作品に込めている。
この硬い殻に包まれた卵という存在は
ぼくたちに深い哲理を思わせる
殻のなかで分裂し成長しかすかに動き
やがてひとつの生命が生まれてくる神秘
鳥の卵であれ 昆虫の卵であれ
微生物の卵であれ 人間の卵であれ
すべての卵が同一の形態を取っている不思議
(「球形の卵」より)
一つの生命は一つの卵から生まれる。いいかえれば、一つの卵の中に生命として誕生してくるあらゆる要素が入っている(人間の場合は胎生なので、厳密には母体からの栄養をとって発育するわけだが)。そして地球という卵の中にわれわれの生命がすべて含まれているわけだ。個々の生命が集合した一つの生命体としてのイメージがここにはある。それを著者は”巨大な生命”と捉えている。
黎明の寒気のなかで
生まれたばかりの卵を掌に包みながら
巨大な生命に思いを馳せている
(最終連)
詩集の中頃に、美味と隣り合わせの毒をもった河豚をたとえに原子力を詩った「河豚」、また、より直接的にチェルノブイリを詩った「石棺」という作品がある。これらの作品を読み、現在の我が国が置かれた状況をあらためて思ってしまう。