「夜のキリン」鷲谷峰雄の第1連は次のようなのだが、あまりに見事なとらえ方で唸ってしまった。
キリンが走るとき
首から上は貧血だ
だから
ながい首は木の固さになって走る
走るときのリズミカルな振動でぐらぐらしてしまいそうなキリンの首は、たしかにどうなるのだろうと思ってしまうが、まさか木の固さになっているとは知らなかった。さらに、貧血が治らないキリンは「ときどき/木の表情をする」のだという。これも知らなかった。
寝つきのわるいキリンは
夜のような暗いアコーディオンを
首のうちがわへたてかけている
キリンが寝るときにどのような姿勢をとるのかは知らないが、キリンの首の長さのイメージが的確である。キリンの夢は足の方から次第に高みへ上がっていくのだろうし、それはとてもゆっくりとした早さなのだろう。キリンがいるだけで、夜自体にも音があるような気がしてくる。これに続くのは、
その
アコーディオンが
ひとりでに高く鳴り始めるのは
きまって キリンが
深手を負ったときだ
(最終部分)
顔が遠くの高みにあるので、キリンには何を考えているのかがよく判らない不思議さがある。表情はいつも穏やかで、どんなことにも平然と対処しているような雰囲気があるのだが、実はキリンも耐えていたんだ。そして、キリンについて語っている人も。
キリンが走るとき
首から上は貧血だ
だから
ながい首は木の固さになって走る
走るときのリズミカルな振動でぐらぐらしてしまいそうなキリンの首は、たしかにどうなるのだろうと思ってしまうが、まさか木の固さになっているとは知らなかった。さらに、貧血が治らないキリンは「ときどき/木の表情をする」のだという。これも知らなかった。
寝つきのわるいキリンは
夜のような暗いアコーディオンを
首のうちがわへたてかけている
キリンが寝るときにどのような姿勢をとるのかは知らないが、キリンの首の長さのイメージが的確である。キリンの夢は足の方から次第に高みへ上がっていくのだろうし、それはとてもゆっくりとした早さなのだろう。キリンがいるだけで、夜自体にも音があるような気がしてくる。これに続くのは、
その
アコーディオンが
ひとりでに高く鳴り始めるのは
きまって キリンが
深手を負ったときだ
(最終部分)
顔が遠くの高みにあるので、キリンには何を考えているのかがよく判らない不思議さがある。表情はいつも穏やかで、どんなことにも平然と対処しているような雰囲気があるのだが、実はキリンも耐えていたんだ。そして、キリンについて語っている人も。