松尾エリの黒を基調とした装幀デザインが重々しくも尖っている。同人は8人で、詩7編のほかに書評、翻訳詩がそれぞれ1編ずつ載り、44頁。
「卒業研究から」細見和之。
被爆体験を持つ祖母についての卒業研究をしている女子学生が詩われている。長崎原爆を知るにつれて変化していく彼女からのメール、そしてその彼女に対峙している話者の思い。とても繊細な真面目さで書かれている。
「音和歌」萩原健次郎。
即興のソロ演奏を聴いているような趣がある。それもピアノではなく、テナー・サックスか。次々に描かれる事象はうねっては変容していく。ついには自分の中の螺旋階段をどこまでも降りていくようだった。
「limited」荒木時彦。
6連からなる散文詩。朝からの私の行動や、私に見えるもの、聞こえるものが静かな口調で語られる。そこには恣意的なものはなく、やがて「私もまた、その、ごくあたりまえの風景の一部」になっていくのだ。奇妙な心地よさがある作品。
「殺風景のか、それとも殺気の仕業か、それとも順不同のざわめきか」たなかあきみつ。
挑戦的でふてぶてしいタイトルの作品。5行14連からなり、「松井良彦監督「追悼のざわめき」の気圏にて」という副題があり、1頁分の補注もついている。 映画についてはなにも知らないのだが、描かれたイメージはそれこそ「どす黒い眼窩の《泥水を/撥ね散らしながら/疾走していく》」ようであった。
「卒業研究から」細見和之。
被爆体験を持つ祖母についての卒業研究をしている女子学生が詩われている。長崎原爆を知るにつれて変化していく彼女からのメール、そしてその彼女に対峙している話者の思い。とても繊細な真面目さで書かれている。
「音和歌」萩原健次郎。
即興のソロ演奏を聴いているような趣がある。それもピアノではなく、テナー・サックスか。次々に描かれる事象はうねっては変容していく。ついには自分の中の螺旋階段をどこまでも降りていくようだった。
「limited」荒木時彦。
6連からなる散文詩。朝からの私の行動や、私に見えるもの、聞こえるものが静かな口調で語られる。そこには恣意的なものはなく、やがて「私もまた、その、ごくあたりまえの風景の一部」になっていくのだ。奇妙な心地よさがある作品。
「殺風景のか、それとも殺気の仕業か、それとも順不同のざわめきか」たなかあきみつ。
挑戦的でふてぶてしいタイトルの作品。5行14連からなり、「松井良彦監督「追悼のざわめき」の気圏にて」という副題があり、1頁分の補注もついている。 映画についてはなにも知らないのだが、描かれたイメージはそれこそ「どす黒い眼窩の《泥水を/撥ね散らしながら/疾走していく》」ようであった。