Some Like It Hot

お熱いのがお好きな映画ファンtakのつぶやき。
キネマ旬報社主催映画検定2級合格。

死刑台のエレベーター

2011-12-03 | 映画(さ行)

■「死刑台のエレベーター/Ascenseur Pour L'Echafaud」(1957年・フランス)
監督=ルイ・マル
主演=ジャンヌ・モロ- モーリス・ロネ ジョルジュ・プールジュリイ リノ・ヴァンチュラ

北九州映画サークル例会で久しぶりに鑑賞。初めてこの「死刑台のエレベーター」を観たのはかれこれ20数年前。その頃の僕は世間が認めているクラシック映画を片っ端から観たいという意欲に駆られていた。きっかけは「ロードショー」誌の付録についてた「名作映画ダイジェスト」。いわゆるヒット作は少なめ、新旧200本余りの映画が掲載されている小冊子だった。映画の面白さを知り尽くす!それが(今でも)僕の映画鑑賞行動の根底に流れている。今はボロボロになった小冊子は僕にとっては映画の教科書だった。載っている映画がテレビや映画館で観られるチャンスを探していた。

たいへん幸運なことに、僕の学生時代はそんな名作を映画館で観るチャンスが満載だった。大分のシネマ5は低価格で名作映画2本立て。「ローマの休日」と「ロミオとジュリエット」を観て味をしめた僕は通い詰めた。郊外のパチンコ屋2階にあった映画館では、「風と共に去りぬ」や「愛情物語」と「グレンミラー物語」の2本立て。熊本に住んでた大学時代は、クラシック専門館もあったしミニシアターが特集上映を組んだり・・・。おかげで名だたる名作は映画館で観ているものが多い。「モダンタイムス」「麗しのサブリナ」「昼下がりの情事」「マイ・フェア・レディ」「アラビアのロレンス」「第三の男」「燃えよドラゴン」「ウエストサイド物語」「禁断の惑星」「時計じかけのオレンジ」「赤ひげ」・・・みーんな映画館。今思えばすっごく幸せだし貴重な時間だった。この時間があったから、父親世代の人々とも映画をキーワードにすれば会話が成立する。

ルイ・マル監督デビュー作「死刑台のエレベーター」を観たのは熊本市のセンターシネマ。監督第2作の「恋人たち」と2本立て。サスペンス映画とメロドラマ。作風のギャップにも驚いたが、何よりも緊張感と説得力のある90分の濃密さに圧倒された。上映時間が長い映画はそれだけ観客を引っ張る仕掛けが必要だ。短い時間で納得させられる映画を好むようになったのは、もしかしたらこれがきっかけかもしれない。

初めて観たときは、マイルス・デイビスのトランペットが響くクールなサスペンス映画ということに感動した。しかしあれこれ映画を観てきた今の年齢で改めて観ると、雨に濡れて街をさまようジャンヌ・モローに共感している自分に気づいた。あの頃、この映画のジャンヌ・モローに、思い詰めた女性の怖さを感じていた。それは恋に身を焦がした故の人間の姿。それは殺人に手を染めてしまうモーリス・ロネも同じだ。映画を見直すことはあの頃とは違った気づきがある。現像している写真に愛し合う二人の姿が浮かび上がるラスト。この後渋さを増していくリノ・ヴァンチュラ刑事が「カメラはまずかったですな。」と言う。自分たちの秘密の逢い引きを写真に撮るのは、冷静に考えれば軽はずみな行為。あの頃は映画に「すげぇ」と思いながらも、誰かに自分たちの幸せな姿を撮らせるっておかしい・・・と不思議に思っていた。でも今観ると思うのだ。誰かに撮ってもらって逢い引きの証拠が残ったとしても、その愛し合う瞬間を焼き付けたかったんじゃないか・・・って。これは愛の映画。そう考えると、あの頃第2作「恋人たち」に作風のギャップを感じたけれど、実は同じ愛の映画の延長上なのかもしれない。



コメント (2)
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今日の映画台詞・「僕の彼女を紹介します」(2004)

2011-12-03 | 今日の映画台詞
23:53 from web
今日の映画台詞◆

「私の辞書に”ごめん”はないの。”ごめん”に改名したら”ごめん”って呼んであげるわ。」 
「僕の彼女を紹介します」(2004)


◆「猟奇的な彼女」のチョン・ジヒョン主演作。
この”ごめん”が映画の最後に重要な言葉となる。

うちの配偶者Mも決して”ごめん”と言わないのだがw
by t_somelikeithot on Twitter

「ごめん」と言わない彼女が、最後の最後に口にするクライマックス。
このひと言が出た瞬間に一気に涙腺がゆるんだっけ。

夫婦間でも「ありがとう」と「ごめんなさい」は言える間柄でありたいね。
・・・ったく。

僕の彼女を紹介します [DVD]

僕の彼女を紹介します


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11月のBGM

2011-12-02 | 音楽
2011年11月に聴いていた愛すべき音楽たち。

■バクチダンサー/DOES
4曲入りシングルを中古盤で入手。tommy heavenly6の「pray」やら栗山千明の「可能性ガール」やら、アニメ「銀魂」は選曲がナイス。硬派な印象の男性バンドもかっちょいい。「曇天」や「修羅」がまたいいんよね。通勤中に歌い出したい気持ちをグッと堪える。
バクチ・ダンサー(初回限定盤)

■Womanism 2/Ann Lewis
中古盤で新旧ベスト盤を入手。アン・ルイスは僕のカラオケ十八番。買った日の夕方からパワープレイしっぱなし。「天使よ故郷を見よ」も「ああ無情」も「立ちっぱなしのBad Boy」も歌詞見ないで歌えたっ!
WOMANISM II WOMANISM Ⅱ - アン・ルイス

■しあわせの雨傘/フィリップ・ロンビ Original Soundtrack
今年観た映画の中でもお気に入りのフランソワ・オゾン監督作。劇中流れたダンスチューンやフレンチポップスが聴きたくて、サントラを購入。カトリーヌ・ドヌーブも唄ってます。
Potiche

■男と女/フランシス・レイ Original Soundtrack
「午前十時の映画祭」で上映された「男と女」。大人になった今だから、これがいちばん観たかったのに!・・・観られなかった(泣)。サントラ聴きながら我慢。だばだばだ、だばだばだ♪「部屋を頼む」・・・きゃーっ!中学生の時にテレビで観た(おませ)場面を思い出す。もうDVD買おうかなぁ・・・。
男と女 オリジナル・サウンドトラック 男と女 オリジナル・サウンドトラック - Various Artists

■Little Bit.../WANDS
何故か「愛を語るより口づけをかわわそう」が聴きたくなって、iPodに搭載。改めて聴くと似たようなアレンジで押しまくるアルバムですな・・・。あれ?「天使になんてなれなかった」のバッキングは、TOTOの「Girl Goodbye」じゃん。そんなことも見えてくる。
Little Bit・・・

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今日の映画台詞・「アデルの恋の物語」(1975)

2011-12-01 | 今日の映画台詞
12:45 from Twitter for iPhone
今日の映画台詞◆

「私を愛することができないなら、私に愛させて。」
「アデルの恋の物語」(1975)


◆今の視点で見れば完全にストーカー。されどこれは究極の片思い。相手を思っている時のしあわせ…時にそれは苦しみにもなるのだが。身も心もボロボロな場面でもイザベル・アジャーニは美しい。
by t_somelikeithot on Twitter

アデルの恋の物語 [DVD]

Story of Ad醇Qle H. Trailer


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