監督=ペドロ・アルモドバル
主演=ペネロペ・クルス カルメン・マウラ ロラ・ドゥエニャス ブランカ・ポルティージョ
僕がペドロ・アルモドバル作品を初めて観たのは「トーク・トゥ・ハー」。人間を見つめる優しい視線が感じられて、他の映画作家では作り得ない映画であった。不勉強な僕はその後アルモドバル作品を観たい!と思いつつも結局これが2本目。これもペネロペちゃんのお陰であるな。この映画でのペネロペ・クルスは実に輝いている。でもそれは共演の女優たちの輝きあってのもの。
「ボルベール 帰郷」では、次々に銀幕の中で人が死んでいく。でもそれらの死には必ず”秘密”がつきまとう。ペネロペ扮するライムンダの夫がキッチンで刺殺。これは15歳の娘に関係を迫ったために起った事件。ライムンダはこの事実を隠そうとする。故郷に住む叔母の死。ところが叔母の家で、死んだはずの母の姿を姉ソーレは目にする。その母と父はかつて火災で死んでいたのだが、向かいに住むアグスティナの母親の失踪が関係しているということまで絡んでくる・・・。夫の死体を冷凍庫に隠し、友人の手を借りて川原に埋葬したり、母が生きていた真の理由・・・と社会的には許されぬことばかりだが、それらは男たちのインモラルな身勝手に端を発していることばかりでもある。「許して欲しくて戻ったの」という母の言葉。そして”秘密”の真相が明らかになるラスト。絆を深め合った彼女たちは、ひっそりと力強く、美しく生きていくのだ。
スペイン映画で描かれる人間ドラマは、どうしてこうもとんでもなく濃いのだろう。しかしそれらはドロドロしてはいても、どこかあっけらかんとしたユーモアで包まれている。この「ボルベール」も然り。まるでヒッチコック映画を観ているようなユーモアがあって、緊張が続く物語に安堵がもたらされるラストまで全く目が離せない。これはミステリー仕立ての家族愛についての映画。女優陣全員に女優賞をあげちゃったカンヌの心意気もこれを観れば納得がいくはず。こんな映画、アルモドバルにしか撮れない!。
私はこの作品には、先行きの読めない意外性を痛烈に感じました。
死んだと思ってたお母さんが生きてたり、急に食堂引き継ぐことになったり、お友達が不治の病になったり・・・「え~~?」って感じで必然性なく進むんですもん、やっぱりハリウッドとはまったく違うテイスト。面白いですよね~。
takさんのヒッチコックのようなユーモア、言いえて妙だと思います。なんか、あったかいんですよね。
殺伐としてないんです。
ペネロペ、素敵でした。ハリウッドに戻っても、添え物ではなく、本格迫力女優の道をひた走ってほしい!
共演の女優さんはスペイン映画ではよくみかけるお顔ばかりですが、娘役の女優さんはいかにもアルモドバル好みでした。(女優として)
ほんと、女は強い!takさんの感想、いちいち頷ける視点で捉えてらっしゃる。
そんなにたくさん観ている訳じゃないけど、スペイン映画の人を見る視線って他の国の映画とは違うと常々思うのです。「ハモン・ハモン」の愛と性の相関図、死を描くことで生を描ききる「海を飛ぶ夢」、男と女について考えさせられる「欲望のあいまいな対象」・・・。ドロドロしそうでかっけらかんとしてる。
ジルさんがおっしゃるこの映画の「意外性」には引込まれますよねぇ~。まったく先が読めなかった!。アルモドバル作品、もっと観たいです。とりあえずペネロペちゃん関連作で・・・(やっぱりそこかい!)。
おっしゃる通り、この映画では”死”がたくさんありましたし、それぞれに秘密があったりしたんですが、
なんとも主人公ペネロペが前向き&明るく頑張るお母さんであり、心に傷をもった娘でもあり、っていうのを好演してて、なんか明るくてスペイン映画らしい映画だなぁ、と思いました。
母親役やってるペネロペを見たのは初めてだったんですが、素敵でしたし♪
ほんとおっしゃる通り、スペイン映画ってドロドロ
ぐちゃぐちゃ(?(^^ゞ)があっても、妙に突きつけたところがあって、ユーモアのテイストがあるし、笑っちゃいけないってところでも、思わず笑いが混みあげてくる、っていうのもあったりしますよね。好きです^^
この映画のラストも凄く好きでした♪
余韻が残るラストシーン、僕も好きです。