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キネマ旬報社主催映画検定2級合格。

シャーキーズ・マシーン

2013-11-07 | キル・ビルのルーツを探せ!
「キル・ビル」のルーツを探せ!(その18)★バート・レイノルズとタランティーノの関係?

■「シャーキーズ・マシーン/The Sharky's Machine」(1982年・アメリカ)

監督=バート・レイノルズ
主演=バート・レイノルズ レイチェル・ウォード ビットリオ・ガスマン ブライアン・キース

 この映画も「キル・ビル」元ネタ映画である。え?そんなこと、どの本にもパンフにも載ってないって?。まぁそう言わずに僕の話を聞いてよ。この映画はバート・レイノルズが監督・主演したポリス・アクションの快作。レイノルズと言えば「トランザム7000」などでみられるように、鼻ひげはやしたセックスアピールぶんぶんの男というのが典型的なイメージではないだろうか。そうした役柄がお気に召さない映画ファンは、この「シャーキーズ・マシーン」の人情派ハードボイルドな彼を観たら、きっとイメージが変わるに違いない。麻薬課から風紀課に移された腕きき刑事シャーキー。彼が追うある事件が、知事選挙や裏社会の黒幕とつながっていることが次第に判明。上層部からの圧力がかかったりで彼も命を狙われることになる。知事候補と関係する高級コールガールとの恋も交え、シリアスでカッコよくて、いい女も出てきて、チャールズ・ダーニングを始めとする癖のある脇役陣が渋くって、実に見応えのある映画に仕上がっている。レイノルズの監督作は本作と「ゲイター」がある。他にもテレビ番組「新作・ヒッチコック劇場」の一本「俳優悪夢」というエピソードも彼の監督作。マーチン・シーン扮するベテラン俳優がバラバラ殺人をするのだが、この過程をユーモラスに描いた佳作となっている。

 「シャーキーズ・マシーン」で特に強烈な印象を残すのは、ジャンキーの殺し屋を演ずるヘンリー・シルバだ。現在も悪役一筋で活躍するいかにもワルそうな顔の俳優さんだが、この映画での彼は他とは違う。黒幕である兄に偏愛の感情を抱くちょっとホモセクシュアル的な役柄なのだ。悲しみをこらえながら兄に向かって引き金を引く何とも言えない表情。そして大詰め、シャーキーたちとの銃撃戦は緊張感あふれた見せ場となっている。何よりもこの映画は80年代に製作されているけれど、どこか70年代ポリスアクションの雰囲気が色濃く漂う。それにバイオレンス的な要素もしっかりあり、途中現れる殺し屋二人組は何故かカンフー使いの中国人!。まさにタランティーノ好みのテイストなのだ。実際にタランティーノ自身もこの映画はお気に入りらしく、オープニングで使用されたランディ・クロフォードの Street Life は、「ジャッキー・ブラウン」でも使用されている。また主人公シャーキーが、敵のアジトで匿っている女性の居場所を問いつめられる拷問シーン。主人公は何と2本も指を切り落とされる。こんなに主人公が痛めつけられるポリスアクションはなかなか見られない。これは「vol.1」のジュリー・ドレフュスが手を切り落とされる場面にも通ずるし、「レザボア・ドッグス」では拷問の方法について会話する場面でまさに「指を切り落とすのが一番だ」と言っている。そして「vol.2」でブライドの妊娠が判明する回想シーン。中国人の殺し屋がドアの向こうからショットガンでブライドの頭を撃ちぬこうとするが、この殺しの手口は「シャーキーズ・マシーン」でのヘンリー・シルバの手口と同じ。

 タランティーノの母親コニーは、バート・レイノルズと同じくチェロキーインディアンの血をひく女性だった。コニーは、バート・レイノルズがTV映画「ガンスモーク」で演じていた役柄であるインディアン、クイントのファンであった。その名にちなんで、我が子にクエンティンと名付けた。父親を知らないタランティーノにとって、バート・レイノルズは名付け親のようなものとも言えるか。







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