Some Like It Hot

お熱いのがお好きな映画ファンtakのつぶやき。
キネマ旬報社主催映画検定2級合格。

パプリカ

2007-01-18 | 映画(は行)


◾️「パプリカ」(2006年・日本)

監督=今敏
主演=林原めぐみ 古谷徹 江守徹 堀勝之祐 大塚明夫

90分程度の時間でお腹いっぱいにしてくれる映画。そんな映画は滅多にない。でも「パプリカ」はそういう優れた映画だ。最初の5分で僕はもう夢中になってた。「パプリカ」という”夢”の中へ。粉川刑事の夢の中を描くめまぐるしいイマジネーションの世界。えっ?「ロシアより愛をこめて」?「ローマの休日」?・・・これは後で映画ファンを泣かせる伏線。夢の中で救ってくれる美女パプリカの奔放な姿を追うタイトルバックと、それを彩る平沢進のテクノミュージック。な、なんて心地よいんだろう。

他人の夢を分析するサイコテラピー機器DCミニが盗難された。アクセス制限をかけていなかったため、悪用すれば他人の夢に侵入して精神を害する危険が。ヒロイン千葉敦子と開発者時田、島博士は正体がわからない犯人を追って、危険な夢に侵入する・・・。科学に次々と解明されていく人間の細部だが、夢という脳髄の働きはまさに神秘。事件の黒幕はDCミニを使って夢の番人として君臨しようと企むのだが、これに千葉敦子と島、粉川刑事、そしてパプリカが立ち向かう。夢の中だけに、変幻自在、何でもあり。現実世界に夢が入り込んでくるラストの大スペクタクルはアニメだからこそできたド迫力だ。映画でしか表現できない手法で描かれると僕ら映画ファンは感動するけど、「パプリカ」はアニメでないとできない世界。しかしこれを文章で表現していた筒井康隆ってもっとすごい人なんだ!と再認識。脳髄や人の意識について考えさせる日本映画は、これまでにも「イノセンス」や「ドグラ・マグラ」があった(どちらも大好き)。しかし「パプリカ」はそれらにはない派手さをもった極彩色のファンタジー。技術的なことをどうこう言うようなアニメ通ではないけれど、ベテラン声優陣の活躍がまた嬉しい。だって綾波レイとアムロ・レイという夢の共演なんだよ!(笑)。

粉川刑事が実は自主製作で映画を撮っていたというエピソードがいい。ラストシーンで悪夢から解放された刑事が、2時間ばかしの夢を売ってくれる映画館へと進んでいく姿に、僕らは作品のテーマとしての夢と映画が与えてくれる夢が重なる瞬間を見る。そして日々の煩わしさから逃れるため、僕らは銀幕に夢を託すのだ。これは傑作。




コメント (2)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 電影少女 Video Girl Ai | トップ | シカのくらし »
最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (ジル)
2007-01-18 23:39:14
やっぱりこれってすごくいいんですね~。
巷の評価すごく高くて、気になります。
私、かなり筒井作品好きなんですが、これは読んでないです。
「時をかける少女」アニメ版といい、筒井さんとアニメ熱いですね!
返信する
筒井ワールド (tak)
2007-01-19 07:04:36
筒井康隆を一番熱心に読んだのは、中学~高校にかけて(なんておマセな)。エッチなネタとかぜんっぜんわかんなかったし(?)。「パプリカ」は僕も原作読んでいません。でも映画観るのにそれは特に必要ありませんよ。実写化が難しいものが多いからアニメもひとつの表現方法かもしれませんね。ご本人も「自分の小説のライバルはマンガだ」とおっしゃっていまそうだし。
返信する

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。