◾️「劇場版Fate/stay night Heaven's Feel 3. spring song」(2020年・日本)
監督=須藤友徳
声の出演=杉山紀章 下屋則子 神谷浩史 植田佳奈
「Heaven's Feel」最終章に参戦。前作のあのラストで絶望を叩きつけられて途方に暮れた人々の期待が高まる中、2020年3月の公開は新型コロナウィルスの感染拡大で延期になった。焦らされて焦らされて、サマーシーズンに公開された本作。今回も容赦なく前作の続きから始まる。
「誰が殺したのか知っておるな」
また出たか、蟲じじい!ああわかってらい!…とスクリーンに向かって心の中で呟くww
正義の味方に憧れていた士郎が、「桜だけの正義の味方になる」と宣言した第2章。誰もが困難だと思う中、桜を救うという士郎の思いは叶うのか。その一点が貫かれたストーリーになるかと思いきや、登場人物それぞれの思いがみんな炸裂してるから、これまでの2作品と比べてもかなりエモーショナル。
士郎のあまりのカッコよさに身震いする。遠坂凛(推しキャラです)の活躍も、言峰綺礼の執念も、もちろん間桐桜の狂いっぷりも素晴らしい。だけど、美味しいところを見事にかっさらうのは、なんと言ってもライダーとイリヤ。マスターである桜を思う気持ちがひしひしと伝わるライダーのひと言ひと言。そして物語を総括するイリヤの存在感。いやもうロリコン呼ばわりされてもいいよ、イリヤ万歳ww。それだけに、桜の影がやや薄くなった感もある。
セイバーオルタ対ライダーのバトルが激しくって荒々しくって。でも美しいバトル。これはアニメだからこそ描ける名場面。最後に「士郎…」と名を呼ぶセイバーに泣きそうになる。でもそんな感情に浸る暇も与えない。クライマックスは見せ場の波状攻撃。待った甲斐があった完成度の高い最終章。
桜のように世の中にネガティブな感情を抱いている人って、現実多いと思う。第2章でダークサイドに堕ちていく彼女を見て、ちょっとだけ「ジョーカー」が頭をよぎった。気持ちが参っている時に観る第2章は、あの映画並みにどんよりとした気持ちにさせられそうだ。でも、この物語には第3章があり、彼女を見守る誰かがいた。青空を見上げたくなるエンディング。この映画の結末を、映画館の外も桜の花びらが舞い散っている3月に観られていたら…と思うとそこは残念な気がする。
黒桜みたいな黒と赤のストライプのシャツ持ってたよなあ…と帰宅してワードローブをあさるオレ。あった、あったぞww