Some Like It Hot

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キネマ旬報社主催映画検定2級合格。

さよならエマニエル夫人

2020-08-14 | 映画(さ行)



◾️「さよならエマニエル夫人/Goodbye Emmanuelle」(1977年・フランス)

監督=フランソワ・ルテリエ
主演=シルビア・クリステル ウンベルト・オルシー二 アレクサンドラ・スチュワルト ジャン・ピエール・ブーヴィエ

「エマニエル夫人」シリーズ第3作。互いを束縛しない夫婦の物語は、第3作にしてついにその大前提が崩れていく。それは、エマニュエルが初めて恋を知ったこと、夫ジャンがそれに嫉妬を初めて覚えたことだ。それだけに大人の恋愛映画として観ればなかなかグッとくるところもあるのだが、いかんせんこれはあの「エマニエル夫人」の続きであって、観客の期待はそんなとこじゃない。

セイシェル島(松田聖子の歌が頭をよぎる人は80年代育ち・笑)で暮らしているジャンとエマニュエルは、友人や時に観光客を交えて自由な生活を送っていた。ある日、ロケハンにやって来た映画監督グレゴリーと出会う。彼の視線に何かを感じたエマニュエルは彼に近づき誘惑する。しかし、グレゴリーはエマニュエルと夫の自由な性生活に理解を示さなかった。そんな拒絶を示されたことのなかったエマニュエルはショックを受けるが、そんな彼にますます惹かれていく。再び会った時にエマニュエルは「あなたを知りたい」と言う。それはこれまでにない順当な恋の手順。やがてエマニュエルはそれまでの大胆さを失っていく。夫ジャンはグレゴリーのせいだ、と嫉妬心を露わにし始める。それは初めて抱いた感情だった。

純粋に男と女の物語として観ると、深いなぁ…と感心する台詞が随所に散りばめられている。エマニュエルの友人が、「女として欲してもらえなくなるけど、それでも一緒にいれるのは彼だけ。他の女と情死するでしょうけど、それは私のおかげよ」という台詞は、男の立場で聞くとドキッとする。またエマニュエルがグレゴリーに本気になりながらも「また違ったタイプの暴君かもね。新しい発見があるわ」と言うひと言も印象に残る。

男ってこんなふうに見られているのか、とまさかソフトポルノを観ながら考えるなんて思わなかった。さすがフランス映画。しかしながら映画のクライマックスはジャンの見苦しい悪あがき。そんな男女の駆け引きが観る目的じゃないという人が大多数だろう。他の2作と比べて低評価なのはきっとそのせい。この映画のハイライトと言える浜辺のラブシーンは、夜明けの海岸なので画面が暗いのがますます残念。

この映画のもう一つの魅力はセルジュ・ゲンスブールが担当した音楽。ミディアムテンポのレゲエ調の曲に、セルジュの呟くような歌声が乗る。カッコいい。

コメント
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