北九州市立美術館で開催中の展覧会「フランス写実主義の巨匠クールベ展 印象派への架け橋」に行ってきた。ギュスターヴ・クールベは理想化された保守的なものが好まれた時代に、庶民の生活や生々しい裸婦などありのままを描いた写実主義の画家。パリコミューンにも参加していただけに反政府的な存在でもあった方なのだろう。
今回の展示は、スキャンダラスだと批判を受けた彼の主要な作品たちが見られる訳ではない。スイスに亡命した晩年の作品や、彼が愛した美しい風景を描いた作品や初期のデッサンなど、クールベの静的な穏やかな一面を見ることができる展覧会。また彼が登場する当時の風刺画や写真で世間が見た彼のイメージを知ることができる。その一方、フォロアーの画家たちが彼にオマージュを捧げた作品を通じて、クールベが与えた影響力を思い知らされる。どの作品がよかった、というよりもクールベ自身への興味をそそられる展覧会でした。9月2日まで開催中。