■「素晴らしい一日/My Dear Enemy」(2008年・韓国)
監督=イ・ユンギ
主演=チョン・ドヨン ハ・ジョンウ キム・ヘオク キム・ジュンギ
●2009年釜山映画評論家協会賞 主演男優賞
主人公ヒス(チョン・ドヨン)は、元恋人ビョンウン(ハ・ジョンウ)に貸した金を取り戻すために会いにやってきた。そもそもビョンウンのだらしなさに耐えかねて別れたのだったが、競馬場で再び会った彼はさらに金に困っている様子。結局すぐに返すと約束したビョンウンは、あちこちから金を借りてヒスに返すことに。そしてビョンウンの借金行脚にヒスは一日付き合うことになる。言葉厳しく接するヒスに、のらりくらりと受け答えするビョンウン。苛立ちはおさまらないが、様々な人と関わる彼を知ることで少しずつ彼を憎めなくなってくる・・・。
競馬場で詰め寄ってから、返済の為の借金に走り回る一日を追った物語。淡々と時間が過ぎていく展開で、正直なところ前半は睡魔との戦いだった。何事も起こらないし、ひたすら車の中での言い争いが続く。しかし後半。ビョンウンが甲斐性無しで頼りない男と思っていた主人公が、彼と接する様々な人々を通じて彼のいい面をだんだん理解していくところで映画は俄然面白さが増してくる。原作は平安寿子の短編小説で、ソウルに舞台を置き換えて翻案した映画。日本文化が解禁になってから、韓国では日本のコミックや小説の映画化ドラマ化が見られるようになった。韓国映画は脚本にソツがなく、伏線の張り方が緻密な印象がある。この映画でも脇役のちょっとした台詞が主人公の気持ちに変化を及ぼしていく過程が上手だ。ビョンウンと別れた後、車を引き返して彼の様子を見るヒスの表情が印象的だ。全編ずっと苛立っていたトゲトゲしい表情から静かな変化を遂げるラストシーンの余韻がいい。だが全体が間延びした感じも否めず、せっかくのクライマックスの良さが残念な気も。
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