Some Like It Hot

お熱いのがお好きな映画ファンtakのつぶやき。
キネマ旬報社主催映画検定2級合格。

陪審員

2006-07-19 | 映画(は行)

監督=ブライアン・ギブソン
主演=デミ・ムーア アレック・ボールドウィン ジョセフ・ゴードン・レヴィット

 陪審員となった者は、公判中、事件に関する記事を見て影響されてはならないし、関係者と接触することももちろん許されない。この映画はそこをサスペンスの題材とした。被告人であるマフィアのボスに雇われた殺し屋に脅されるヒロインをデミ・ムーアが演じている。確かに魅力的なのだが、芸術家のシングルマザーという設定が、どうも現実味なく感じられる。生活のためにストリッパーになる「素顔のままで」の方がまだマシな設定のような気がする。

 法廷映画が好きな僕としては、スリリングな公判場面や陪審の論議を期待した訳だが、そこはほとんど出てこない。いわゆる法廷サスペンスを期待すると裏切られる。これは陪審員となった女性を脅す殺し屋、アレック・ボールドウィンこそ主人公なんだから。80年代の彼はジャック・ライアンをも演じた二枚目俳優だったが、90年代に入って「冷たい月を抱く女」のように冷酷な役柄も多くなる。だいたい無表情な人なので、「陪審員」のこうした何考えているかわからない悪役ってのは実に巧い。次第にデミ・ムーアに対して偏執的な思いを抱き始めるあたりからは見事。

 それにしても、この映画だけで陪審員制度が危険なものだ、と考える人がいるのは大変残念だ。別にこの映画は陪審員制度を否定的に描く意図はないだろう。最初にも述べたようにあくまでも”サスペンスのネタ”として用いただけだ。現実をしっかり描くドキュメンタリーでもなければ、物事は一面からしか見ることが出来ない。ましてやハリウッド映画ならなおさら。90年代のサイコ・サスペンスは”得体の知れない恐さ”を描くもの。それはこれまで我々が信じてきた常識や仕組みによっても理解、対応できない何かだ。本当に恐いのはそこなのだ。
陪審員陪審員
デミ・ムーア アレック・ボールドウィン アン・ヘッシュ


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