Some Like It Hot

お熱いのがお好きな映画ファンtakのつぶやき。
キネマ旬報社主催映画検定2級合格。

ツルネ つながりの一射

2023-07-26 | テレビ・アニメ


高校弓道部の青春アニメ第2シーズン。チームとしての結束、それぞれが抱える思いや悩みが絡み合っていく過程が、ライバル校のメンバーをも巻き込んでストーリーが幾重にも重なっていく。個人競技と思われがちな弓道だが、一人がみんなをリードする様子やチームのために自分ができることを探す様子が描かれて、個人の立ち直りが中心に描かれた第1シーズン以上に引き込まれる要素が強い。

緊張感が画面から伝わってくる試合シーン。的に当たる🎯と、こっちまで「よーし!」と叫びたくなる。彼らが矢を放つまでにどんよりした気持ちに襲われると、足元に澱んだものがたちこめたり、それぞれが意識を集中するポイント(?)に波紋のような描写が添えられる。心情をビジュアルに変換するうまさ。緑の葉🌿が舞い落ちる描写は、青春の表現なんだろう。とても爽やかに映る。これが薔薇🌹の花びらだったら「パタリロ !」になるよな、とつまらない想像をする私💧(失礼しました)。

第2シーズンで印象的なのは、登場人物それぞれのキャラクターが掘り下げられている事だろう。風舞高校の5人だけでない。桐先高校の貴公子愁くんの生い立ち、リッチな家庭に育った彼が弓道を通じて周囲とどう関わってきたのかが描かれる。特に人懐っこい遼平との交流で、彼を取り囲んでいた壁が取り払われていくのが印象的だ。第1シーズンで嫌われ役だったドッペル兄弟もはやけを経験して人間的な成長を見せる。そして湊や静弥、愁とは中学の先輩でもある辻峰高校の二階堂の存在が、ドラマをかき回してくる。何のために弓を引くのか、射場に立つのか。その意味を考えさせるきっかけとなる大きな存在だ。

脇役キャラも素敵な存在。風舞女子部員のいかにも京アニらしいキャラクターも相変わらずいい。男子たちを冷やかに見ているようで、理解者でもある。今期では桐先のアイドルヲタ佐瀬先輩が好き。「のりりんにこの射を捧げる!」に爆笑🤣。いやいや、好きって万事に置いて強烈な推進力になるのです。辻峰で二階堂を見守る不破、豪快な大田黒もいい存在感を示す。

OP曲はラックライフの「℃」。仲間とのつながりから感じるぬくもりが、前向きな力になっていくことを高らかに歌う。サビの四分打ちドラム🥁に、思わずヘドバンしてしまう長女と私w。なんか四分打ち好きなんよねー。変ですか?






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笹の葉ラプソディ

2023-07-10 | テレビ・アニメ


雨の七夕🎋。
ふと「笹の葉ラプソディ」を見たくなって配信で見返す。
何度も見てるもんだから、台詞をタイミングよく唱和できる💧
「禁則事項です…」
「あんた名前は?」
「ジョン・スミス」
「16年か、遠いなぁ」

初放送からハルヒが言う16年目がもう少し。朝日奈さんは裁縫が上手になるだろか。ハルヒを中心に世界は回るだろうか。古泉君が望んだ世界平和は実現するだろうか。キョンはお金が増えただろうか。長門が望んだ調和と変革は起こるのだろうか。

時々、無性にSOS団に会いたくなる。




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推しの子

2023-07-02 | テレビ・アニメ


全11話完走。原作未読。今、僕の脳内でいろんな困惑が起こっている。その原因は、間違いなく、「推しの子」が掛け値なしに面白いからだ。

あれこれ見てきた今の年齢になってると、映画やアニメやドラマ見ながら、これまで見てきたいろんなものが脳内で勝手に結びついてくる。あれに似てるよね、でも期待を超えない、うーん既視感あるなぁ。大人たちが経験というアドバンテージを振りかざして、作品を評する時に使う言葉たち。逆に共感できず、ヤングの感覚(死語)についていけないと思ったら、おじさんにはわっかんねぇなーと逃げちゃえばいい。大人ってズルい。

僕も最初はこの流行ってるアニメをナメてた。美男美女キャラが出るだけの混みいった話だとしか思ってなかった。ところが初回の90分で度肝を抜かれたのだ。難病ものかぁ、ドライな台詞で笑わせちゃって、えっ?殺人ミステリー?、流行りの転生もの?、喋る不気味なベイビー、ネットの闇、青春、業界の内幕もの、猟奇殺人、そして復讐劇。あらゆる要素がてんこ盛り、目まぐるしく変わる演出テイストと怒涛の展開。僕のおじさんな脳髄がこの「推しの子」って作品をどこかにカテゴライズしようとするのだが、結論を出せずに困っているのだ。そして脳髄はこう結論を出した。

「どれにも似ていない。」

各話でテイストが変わるからそれぞれを深く考え、楽しみ、ケラケラ笑い、シリアスに社会問題を考え、ラブコメにドキドキして、手に汗を握る。1期最終話を終えてドキドキが止まらない。

初回や転生場面前後で使われていた"推しの子"という言葉が、11話の有馬かなのひと言「アンタの推しの子になってやる」で違うベクトルを示された時、背筋に電気が走った。
ああ、そうか、
好きになるってこういうことなんだね
どっかのアニソンの歌詞と同じフレーズが浮かぶw

アクアの冷静沈着なキャラが好き。登場人物それぞれを結びつけ、主軸のストーリーでは探偵役になる。女性陣では有馬かなが好き。自虐と自信と不安と信頼と疑い、そして恋する乙女が同居するめんどくさいヤツ。脇役では少年アクアを早熟と呼ぶ監督がいい。

それにしても恐ろしいのは、YOASOBIが手がけたOP曲「アイドル」。本編とリンクする歌詞、音が飛びまくるメロディを歌いこなすテクニカルなボーカル、1分29秒に怒涛の展開を見せつけるアレンジの凄さ。ルビーのキャッチーな魅力と、アクアの計算づくな思惑が楽曲で同居してるようだ。すげっ。

ちょっと気になるのはストーリー上でのインターネットやSNSの描写。アイが活躍していた時代と現在とで情報技術的な部分の時代の差があまり感じられないところ。いや、そんなところを気にするのはおっさん世代だからかもしれないな。

ともかく2期を座して待つ。
アニメ『【推しの子】』公式サイト

アニメ『【推しの子】』公式サイト

「この芸能界において嘘は武器だ」赤坂アカ×横槍メンゴの豪華タッグが全く新しい切り口で”芸能界”を描く衝撃作、ついにアニメ化決定!

アニメ『【推しの子】』公式サイト

 




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メーテルレジェンド 交響詩宿命 第一楽章・第二楽章

2023-06-03 | テレビ・アニメ

◼️「メーテルレジェンド 交響詩宿命 第一楽章」・「第二楽章」(2000年・日本)

声の出演=雪乃五月 池田昌子 榎本温子 潘恵子 松山鷹志

(第一楽章)
「銀河鉄道999」は他の松本零士作品と関連がある。それぞれを読んでいた当時は、関係を感じさせるひとコマを見て、そうだったのか!と驚いたり感動したり。OVAとして発表された本作はメーテル、エメラルダス、女王プロメシュームとの関係を描いた「銀河鉄道999」の前日譚。

長大な楕円軌道をもつ惑星ラーメタルは、太陽に近づく期間がわずかしかない。人工太陽にも限界があり、寒さに凍えて滅びを待つばかりであった。生き延びるために機械の身体になり、国民にも機械化手術を受けさせることを選んだ女王。しかしその裏には機械人間ハードギアの陰謀があった。女王の2人の娘は陰謀に立ち向かうことを決意する。

本編となる各作品への思い入れが強い人向き。「999」本編を知らずに、時系列で「メーテルレジェンド」を最初に見ると「999」のミステリアスな面白さが半減してしまうだろう。だがオールドファンが本作前後編を観て、劇場版「銀河鉄道999」第1作を再度観ると、感慨深いものがあるに違いない。

前編はラーメタルの人々が機械化を選択せざるを得なかった事情が語られる。自ら滅びる選択はできないだけに、確かに仕方なかったのかもしれない。しかし、機械が体内で自己増殖を始めて、プロメシュームの身体から人間としての感覚や感情が失われていく過程が見ていて辛い。生身の人間が次々と命を奪われていく様はホロコーストと重なって見える。

メーテルと言えばあの黒服なのだが、その白服で登場するのも印象的。二人の娘を助ける老人はヤマトの沖田艦長を思わせるキャラデザイン。老人が造る光線銃は、"戦士の銃"コスモドラグーンの原型。

10代の頃、松本零士の描く女性を何度も描く練習した。特にあの眼を描くのに力が入るから、自分で描くと眼が大きくなりがちでバランスが悪い。スッとしたあの顔にならなかったっけ。本作をディスする気持ちはないけれど、本作のメーテルとエメラルダスの作画も眼がデカいw。でも眼をちゃんと描いてこそ松本作品の女性なのだよ。

(第二楽章)
メーテルとエメラルダスが機械人間の陰謀に立ち向かう物語の後編。機械人間ハードギアの支配はなおも続く中。女王プロメシュームの身体は次第に機械に支配され、人間としての母としての感情が失われようとしていた。ハードギアの魔手から娘を逃れさせようと脱出することを勧める女王だが、娘二人は悪に立ち向かう、母を救いたいと首を縦に振らない。正気を失いつつある女王と娘に決断の時が近づいていく。

松本零士のメカ表現は、「999」の機関車内部に見られるように無数の計器やインジケーターが描かれることだ。子供の頃はよく真似て描いて楽しんでいた。しかし、本作ではそれらがプロメシュームの美しい身体からケロイドのように浮き上がってくる。この場面は、前作から続くホロコーストを思わせる描写と重なって不快な気持ちにさせられる。

娘を思う気持ちを口にした次の瞬間には、ハードギアの命令に従い、メーテルに殺意をむき出しにする。母に銃を向けてでも立ち向かうと言うエメラルダスと、それでも母を救えないかと迷うメーテル。葛藤のドラマはますます混沌としていく。

二人を助ける老人ダガーとその息子も印象的な存在。「メーテル様のおかげで人間の心のまま死ねます」のひと言に泣ける。

プロメシュームが正気に戻るたびに、それまでの会話が蒸し返されるので、中盤は話が遅々として進まない印象を受ける。しかし、脱出艇を失った後、惑星ラーメタルに停車しなくなっていた999号で二人を脱出させることを思いついてから、ドラマは一気に濃厚さを増していく。悪党ハードギアと対峙する女王プロメシューム。劇場版「999」でお馴染みのあの姿になる瞬間が訪れる。そしてプロメシュームが娘に告げる遺言とも言えるひと言が重い。そして空からあの汽笛が聞こえてくる。

母から託されたトランクを開けるラストシーン。「銀河鉄道999」「宇宙海賊クィーンエメラルダス」「新竹取物語1000年女王」の物語が繋がっていく。ドクターバンが封じ込められたペンダント、機械伯爵も登場。

(蛇足ながら)
松本零士のこうした作品でテクノロジーの発達とそれに支配される人間の構図を散々見てきた僕ら世代は、現実世界でDXやら生成AIやらデジタル化の波に直面している。結構なことだし、合理的で便利なのは間違いない。でも、一方で失われるものがありはしないか、とつい思いを寄せてしまうのだ。ツールとして使いこなせればいいけれど、応酬の為だけに国会答弁がAIで生成されたり、芸術作品が機械によって模倣を繰り返されたり、いろんなお伺いをAIに委ねてそれに盲目的に従ったりする未来が来やしないか。そんな思いが心のどこかにある。大袈裟なのは百も承知だが、松本零士作品に触れることは、そうした未来を人間の気持ちに寄り添ったものにしていく良心回路になるのかもしれないな。







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SPY x FAMILY

2023-04-07 | テレビ・アニメ


夫婦で隠し事があってそれがスパイや殺し屋でした、と言うお話なら世間にいくらでもある。アンジーやブラピ、トム君の顔が浮かぶことだろう。だけどそこに子供という要素が加わり、偽装するのが家族となると事態は一変する。この作品の基本設定を聞いて、最初は「なんぼのもんじゃい」と思っていたが、気づくとどハマりしていて、全12話を長女とキャアキャア言いながら完走。

任務に忠実になればなる程、隠し事を貫こうと思えば思う程、世間から魅力的に映る家庭にならなければならない。そのギャップ、ジレンマ、スパイの立場を利用しまくった家庭円満作戦、受験合格作戦の数々が楽しい。

ロイド・フォージャーがひたすらカッコいい。ああいう色のスーツいいな、そー言えばバブル期にモスグリーンのスーツ持ってたな。ED曲歌ってる星野源もPVでこんな色のスーツ着てるな。007、ジェームズ・ボンドこそ男子の理想と育てられた僕だけに、ロイドのキャラクターに憧れる。ヘンダーソン先生と一緒に「エレガント!」と称えたくなる。

長女に言ってみた。
😏「将来男の子の母親になったら、こういう男になりなさいって、このアニメ見せるんやろ」
🧒🏻「いいかもね、ちち(アーニャの口調)」
まあ、もともとうちは"ちち""はは"と呼んでいたから違和感はないのだが。

わが家は一応お受験を経験しているので、両親と子供での面接の回は、嫌な記憶が頭をよぎる。
😐「オレが質問に答えてる時に、お前立ち上がって走り回ったんだぞ。覚えてるか?」
🧒🏻「知らない。覚えてないよ、ちち(アーニャの口調)」

ヨルさん(大好き)の特訓が成功しないオチも笑わせてくれる。
🧒🏻「ははの教え、役に立たない(ここまでアーニャの口調)…って、近頃マぁジそう思う」
😟「まぁまぁ」
早見沙織のボイスアクトは、落ち着きを感じさせるのに、少女のような茶目っ気もあるキャラを見事に演じていて好感。「平家物語」の建礼門院徳子もよかったしな。

隠し事があるかないかは別としても、世間が考えるよき家族を演じなければならない場面って人生について回ることは得てしてあるものだし、関係を守るために真剣になることはどこの家庭にもある。それはフォージャー家となんら変わらない。フツーじゃないのに、どこか共感できる不思議な感覚。









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ユー・メイ・ドリーム

2023-02-15 | テレビ・アニメ


鮎川誠と悦子(シーナ)の出会いから、シーナ&ロケット結成、ブレイクまでを描いたNHK福岡製作の地域ドラマ。シーナが亡くなった2018年に放送されたものを、鮎川誠の死去に伴い2023年2月に再放送。

地域ドラマは、全国放送では取り上げないテーマを扱う作品が多いが、単発だし物足りないものが多いのも現実。しかし、本作は挿入されるロックの名曲や当時の福岡の音楽シーンについての解説も巧みに盛り込まれていて、単に人情や家族愛のドラマにとどめていない。そして地元愛をたっぷり詰め込むのは、地域ドラマのお約束。これも方言コテコテ、ローカル地名も生々しく入ってくるから、全国放送じゃ伝わらないのでは?と心配になるw。

石橋静河がヒロイン悦子を好演。負けん気の強いキャラクターが最初のシーンから伝わってくる。グループサウンズのライブに行くのを大人に阻止され、夢中になれる音楽を大人は理解してくれない。ドアの向こうから聞こえてきたヤードバーズに惹かれて、誠と出会う場面。二人で音楽の話で盛り上がっていく様子が素敵だ。「電車男」で山田孝之が「マトリックス」を語り倒す場面みたいに、誠がブルースロックを話題に口が達者になる様子に、こっちまで表情がゆるむ。
「あんたはキース・リチャーズよりカッコいい♡」
そんなこと女の子に言われたら舞い上がっちゃうよ!😂。「好き」のベクトルが一致するのは男女の出会いでは大切なこと。そして音楽でつながれた絆はとてもとても強い。

悦子の妊娠、結婚を経て、生活という現実に悩む誠の生真面目な姿。悦子の厳格な父を演ずる松重豊の「東京で勝負してみんね」のひと言が事態を動かす。

今も続く若松の高塔山ロックフェスのきっかけは悦子のこんなひと言だったのか。アルバム「真空パック」のジャケット撮影シーンも再現してみせて、ラストはYou May Dreamを歌うライブシーン。二人の活躍の陰に、福岡の温かさがあったことが伝わる良作。父と娘が見つめる若戸大橋の場面は胸にくるね。

鮎川誠氏のご冥福を改めてお祈りいたします。




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ぼっち・ざ・ろっく!

2022-12-29 | テレビ・アニメ

若い頃を音楽と過ごした自分には、「ぼっち・ざ・ろっく!」はたまらなく愛おしい青春音楽アニメ。



最初からスキルの高い主人公が活躍する話は成長がなくて嫌い。しかし。このアニメのヒロイン後藤ひとりは、ギターすご腕なのになかなか活躍できない。それは周囲とうまくやれないコミュ障だから、陰キャだから。バンドメンバーとの日常や彼女のキャラが巻き起こす騒動を描いたストーリー。

(ごめんなさい、自分の話ですが)
大学時代に軽音楽系のサークルに入った時、変に陽気でノリのいい先輩方が怖くて仕方なかった。高校時代からオリジナル書いてて、幅広く音楽の知識も心意気も、拙いテクニックもあった(つもりの)僕。しかし、"コピーを突き詰めて演奏や情感から学ぶことこそ探究である"みたいな風潮があって、自作曲やりたい!とか絶対言えない空気があった。今で言うパリピ系の先輩方からはイジられたし、そういう関わりからはいつも逃げて回っていた。それでも、使える鍵盤弾きだとキャラも含めてだんだん理解されるようになった。

だからヒロイン後藤ひとりに共感できる自分がいる。彼女が乗り越えなければならない障害物は自分自身。「敵を見間違えるんじゃないぞ」とのひと言をかけられる回は泣くかと思った。好きなことをやっているはずなのに、僕も顔を上げられなかったんだもの。

ロックは反体制の音楽と呼ばれた時代もあった。一般に浸透するものとなってからも、社会や文化に様々な影響を与えてきた音楽だ。デビッド・ボウイがHEROSを歌わなかったら、ベルリンの壁崩壊はもっと先だったかもしれない。しかし現在の多様化した音楽シーンの中で、ロックはそうした位置づけではなくなっている。

それでも何かを打ち破るのがロック。後藤ひとりが少しずつ成長に向かう姿こそが、自分という壁を打ち破るロックなのだ。

それがロック、君のロック。
(これ、みうらじゅんの「アイデン&ティティ」に出てくるフレーズだ)

周囲の波長とうまく合わせられないし、妄想激しいから、突飛な言動をしてしまう。アニメはそこを痛々しいまでに描いてみせる。陰キャを笑いものにして、と不快に感じる視聴者もいるかもしれない。でもこのアニメは社会不適合者めいた存在にして笑いのネタにしてるのとは違う。その言動の背景にあるものをきちんと示してくれている。だから共感できるし、支持がある。

僕らだって、苦手な上司の前でドギマギしたり、得意なことをわかって欲しいけどチャンスがなかったり。そんな日々を過ごしてるじゃないか。何が違う、そんなに変わりはしないじゃない。

初ライブ回、「このままじゃ嫌だ!」演奏中に覚醒する場面のカッコ良さ。学園祭ライブでギターのトラブルを乗り越える妙技。君はまさにギターヒーローだ。ドラムの虹夏から「ぼっちちゃんのロックを聴かせてよ!」と言われるタイトル回収エピソードは泣けた。最終回のEDがアジカンのカバーとか、素晴らしいじゃん。

新しいギターを手にする最終回。本作のようなアニメがきっかけで、誰かが音楽を始めてくれたら嬉しい。「響けユーフォニアム」の時は久美子の立て看が、「バンドリ!」の時はRoseliaのポスターが楽器店を飾った。きっと今度はぼっちちゃんだ!w






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超訳百人一首 うた恋い

2021-12-06 | テレビ・アニメ






言葉を大切にする作品が好きだ。「うた恋」は百人一首のお話。古(いにしえ)の言葉を今どき現代人の共感を呼ぶように作るというのは、なかなか難しい。障子や御簾を挟んで、三十一文字で想いを伝え合うなんて、メールやSNS慣れした世代からすると焦ったくてしかたないかもしれない。

でも限られた言葉数で、込められた想いを読み取るって実にスリリング。しかも家や身分という不自由さの中で、恋する気持ちを密かに伝えるのだから、バレたら社会的な制裁を喰らうことだってありうる。道ならぬ色恋沙汰がバッシングされる昨今。確かに良くないことではあるけれど、節操がない人ばかりじゃなくて、真剣な想いがある人もいる。和歌で詠み込まれた気持ちに触れるのは、きっと学びになる。昔から思ってたけど、恋の和歌を授業で教える先生って、どう伝えるかって気をつかってたんだろうな。

「超訳百人一首 うた恋。」のアニメ版は、そうした百人一首の世界をわかりやすく届けてくれる。藤原定家を語り部に、名だたる人物の歌の裏にあるドラマが面白い。

平安時代の女性の生き方を描いた紫式部の回。今の時代にも通ずる生きにくさ。身分違いの恋に身を焦がす藤原道雅の回。二人を隔てるいろんな事情は、現代なら解決できるものでもない。定家と式子内親王のエピソードが特に好き。三十一文字の自由と、秘めなければならない苦しみが胸にグッとくる。

OP曲がロック、ED曲がラップというのに、放送当時の僕は違和感を感じていた。けれど、言葉を大事にする仕事であるのはジャンルが違えども同じ。







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冴えない彼女の育て方♭

2021-11-28 | テレビ・アニメ






全11話プラス#0、配信にて完走。

怒涛のラブコメ展開になるもの…と思って見始めたら、とんでもない刺激物だった。え?#0の全編サービス回や某時代劇のようなお約束入浴シーンのサービスカットにええ歳したおっさんが刺激されたのかって?

敢えて言おう!それは違うと!

…敢えて言うってことは少しは認めてるってことなんだけどね
(加藤恵風に読んでください)

いやもう、クリエイティブマインドにグサグサ刺さりまくる展開と台詞。誇りをもって物事に取り組むとはどういうことなのか。ハンパで終わるとはどういうことなのか。成し遂げる為の覚悟とはどういうものなのか。そしてその原動力となるものは何なのか。モノづくり系作品も数あれど、まさか「冴えカノ♭」がそこに着地するとは思わなかった。

追加された第3のルートをめぐる詩羽とのせめぎ合い、英梨々の根性に数回に渡って感動させられた後の冬コミ回。恵の痛烈なひと言にカウンターパンチを喰らったのは、倫也だけではなく僕らも同じだ。ゲームづくりに巻き込まれただけだったはずの恵が、クリエイター2人の間でどういう気持ちでいたのか。そして恵がいかに重要な存在になっていたのか。

2期後半の寂しさと葛藤と悔しさが入り乱れる展開に、どう着地するのかとハラハラ。そして恵があの坂の上で倫也に告げる言葉に涙。あんなこと言われたら泣く、ぜってぇ泣く。もう僕にとっても君はメインヒロインだ、僕の推しは君だ。うん。

そしてやっぱりラブコメ?という最終回の着地点が見事。倫也の鈍感ぶりにいいのか?と思いつつも、だからこその安心感でもある。

うーん、やっぱりみんな好き。
ダメじゃん、オレ💧



TVアニメ『冴えない彼女の育てかた♭』公式サイト

TVシリーズ第一期・第二期全25話を収録したBlu-ray Disc BOX 2019年9月25日(水)発売

 
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冴えない彼女の育て方

2021-11-26 | テレビ・アニメ






いわゆるハーレムアニメと呼ばれる男子願望系は数多く存在する。その多くの作品では、主人公の男子は女性に囲まれている状況に鼻の下を伸ばしている輩。こんなんだから今どきのアニメはけしからんという同世代もいるけれど、高校時代に「うる星やつら」で本格的にアニメ開眼した自分としては、諸星あたるに比べたら大したことないじゃん!と完全に免疫ができているようだ(笑)ついでに言うと、本編でほぼ流れないキャラソンを許容できるのも「うる星」の影響だと思うのだ。

話を戻そう。

ノイタミナ枠で放送された「冴えカノ」も御多分に洩れずいわゆるハーレム系。だが主人公の安芸倫也くんは、これまでのどっちつかずな主人公像とはひと味違う。恋愛ゲーム製作に類い稀なる情熱をもつ彼にとって、それぞれ才能あふるる周りの女子たちを恋愛の対象と思っていない。時々、オンナを感じてドキリとはするけれど、そこでガツガツ攻めたりはしない。一方で彼女たちは倫也にただならぬ思いを抱いているというのに。彼の鈍感ぶりと彼女たちのすれ違いがロマコメとして格段に面白い。そして、ストーリーが進むにつれて一般男子がもつであろう恋心やときめき、乙女心を少しずつ理解していく過程にキュンとくるのだ。まあ、最終回を迎えても、倫也くんが女心を学んだとは言い難いけど。

彼をとりまくヒロインたち、それぞれ個性があって、キャラの色分けができてるのが楽しい。ED曲のとおり、まさに「カラフル」。安野希世乃演ずる加藤恵が個人的にはお気に入り。坂道での出会いシーン、ショッピングモールの買い物のエピソードがいいね。あー、でも詩羽先輩とお泊まりの回はたまらんね。英梨々とロミオとジュリエットの回もよかったなー。美智留のバンドが空色デイズ演奏する回も名場面。

あー、もう、みんな好き。ダメじゃん、オレ(汗)



TVアニメ『冴えない彼女の育てかた』公式サイト

TVシリーズ第一期・第二期全25話を収録したBlu-ray Disc BOX 2019年9月25日(水)発売

TVアニメ『冴えない彼女の育てかた』公式サイト

 
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