ミャンマーチーク屋さんのわが道を行く

日々の出来事と旅と愚痴と文句を勝手に語る日記。

父・金正日と私

2012-03-10 21:11:31 | 
「父・金正日と私」五味洋治著を読んだ。

久しぶりの北朝鮮本だった。まったく期待してなかったのだが、予想に
反して大変、おもしろかった。と、言うよりも著者である五味氏に対し
て、もし、あればの話だが、ジャーナリストがいただけるささやかな賞
でもあれば、あげてもいいのではないだろうか。

それくらいに値する、貴重な資料となったと思われる。

何せ、相手は金正日の長男である。およそ10年前に偽造パスポートで
入国しようとして、「ディズニーランドに行きたかった…」とコメント
を残し、中国に強制送還された柄の悪そうな男といえば、皆、思い出す
かもしれない。

しかし、本当の彼はあの映像のイメージとはまったくの別人といって
いいほどの常識人なのだ。また、彼からみれば自分の国だが、北朝鮮
という国を私たち日本人と同じような感覚と価値観で見ているのも新
鮮だった。

長いこと西側諸国で暮らしたせいもあるのかもしれないが、実の父親
に、様々な進言をし、次第に距離を置かれるようになってしまったに
も関わらず、後継者になるより「自由人でいたい」と思っていること。
案外、礼儀正しくて、偽造パスポート事件も、北朝鮮パスポートで
まともに行ける国がないから仕方なかったと述べるなど、その答えは
多少、?と思うものの、その多くは私たちが納得できるものばかりだ
った。また、北朝鮮が生き残るには核を放棄し、改革開放しかないと
言い切っている。

もし、そのすべてを信じるとすれば、彼が後継者になれば日本や韓国
にとってどんなにいいだろうと思えてくるのだ。
拉致問題や日本人妻の帰国もすぐに解決である。

もしや、「彼の魂胆はここにあったのか…」と、疑ってもみるのだが
しかし、もしも、話のわかる彼が後継者になるのなら、北朝鮮が韓国
と分断する理由も無くなり、経済力からいって北朝鮮が消滅してしま
うのではないのか?

やっぱりわからない…。

でも、この本の出版を本人が許可したという以上、絶対、何か裏という
か本当の理由があるはずである。わからないが…?

まぁ、そんなことはさておき、五味氏には「よくやった!」と称賛して
あげたい本であった。




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