ここのところ毎年恒例としている9月の久米島釣り旅に今年も行ってきた。
今回は、久米島ウミンチュ仲間らとスロージギングにてスローライフを満喫してきた。
初日は夕方のフライトにて、その日に函館のマンションで半月ほど静養するという両親をクルマに乗せて関西空港へ向かい、そこでクルマを預け両親と別れてから僕は那覇へ向かったのであった。
生憎、その日の内には時間的に久米島へ入れないので、もうかれこれ四半世紀の付き合いとなるウミンチュ仲間のナカに予約を頼み、那覇空港からモノレールの隣駅にあるグランビュー沖縄に宿泊し、翌朝一番のフライトにて久米島入りした。
那覇へのフライトの中で読んだ沖縄の本『週末沖縄でちょっとゆるり』に感化された僕は、那覇の安里にある栄町市場界隈をぶらりと歩いたのだが、これがまたなかなかディープなアジアンの匂いするエリアでひとり屋台でオリオンビールで串を食らい、沖縄そばを食べたのであった。
栄町市場界隈はまた覗いてみたいエリアである。
翌朝、久米島へのフライトの窓からはての浜が見えた。変わらず海が美しい。
そして久米島空港に降り立った僕をナカと今回も釣り船でお世話になる友人エンドー君が待っていてくれた。
早速、久米アイランドに荷を解き、先に宅配便で送っておいたスロージギングタックルを持って海に向かった。
初日はゴーヤルー店主のツーさんも朝から合流である。
今回、ナカとツーさんはスロージギング初体験である。
予定では二日間フルにスロージギングを楽しむ予定だったが、最終日が夕方のフライトでの帰途と知ったエンドー君は、最終日も午前中大海原に出ようと嬉しい提案をしてくれたのであった。
初日は海が良かった。
先ずスロージギング開始早々、早巻きしていた僕の竿がズズッとひしゃげた。
上がってきたのは50cm弱のカマスであった。この魚は美味いから自分が釣ったときはセリに出さず家に持ち帰るとエンドー君が話す。
この日はその後、カンパチ、オオヒメ、オジロバラハタ、イソマグロ、アカハタモドキらが釣れた。
またナカとエンドー君も巨大カンパチや、更に80cmはある驚くほど巨大なフエフキを釣り上げた。
この海は魚種が豊富で本当に驚くばかりであった。
カンパチはやはりトルクがあり、グングンとラインを引きドラグを鳴らす。
エンドー君が、僕にドラグをもっと締めるようにアドバイスしてくれる。このサイズ程度でドラグが鳴るようでは最高級魚アカジンや巨大カンパチが掛かったとしても根から引き上げれないとの話であった。
手で引っ張ってもラインが出ていかないくらい強くドラグをしめる。
しかしそれでも、イソマグロはいとも簡単にそのドラグを鳴らしラインを引くのであった。
最高の釣りである。
まさにストレスフリーであった。
夕方、釣れた魚を久米アイランドのレストラン厨房にいるジュンに廻し、刺身と握りを作ってもらい、ガーデンでウミンチュ仲間らと酒を飲んだ。
僕を除く皆は日焼けし黒すぎて、闇に入るとわからないくらいである。アフリカ人並の肌色なのだ。
酒を飲みながらナカやツーさんが、どんどんスロージギングにハマっていくのが手に取るように分かり内心ワラける。
2人でフィリピンへ旅行しようとしていた計画を延期しスロージギング用のタックルを求める話をしている。
来年がまた楽しみだと思いつつオリオンビールを飲む。
翌朝の出港は、ナカとジュンと今回初対面となったオオゼキ君、そして僕がエンドー君の大洋丸に乗り込んだ。
オオゼキ君は釣り自体が素人の様子にて、沖に出たところでスロージギングの釣り方を伝授しようとジグを落としつつデモンストレーションした途端にジグがガツンと引ったくられた。
オオゼキ君はあまりに簡単に魚が掛かったので大声を出して興奮している。
しかしこれはたまたまで、ジギングとは忍耐の釣りだということをその後、船上の全員は認識再認識することになるのであった。
この日は前日とは真逆で、本当に海が渋かった。
魚探には驚くほど魚影が映るのだが、ジグを落としシャくれどシャくれど全く魚は無視なのである。
竿を持つ4名が別々の色、種類のジグを落とせどどれにも反応がほとんどないのであった。
エンドー君も首を傾げている。困っている。
この日は結局、僕は最初にリリースした大きめのカワハギ以外には、オジロバラハタを釣ったのみであった。
そんな中、ナカが大きめのミーバイ、オオゼキ君がジグをフォール中にスマガツオを釣り上げ、それがこの日の主な晩飯となった。
不完全燃焼のこの日の釣り、なんとか最終日の午前に結果を残したい。
居酒屋にて酒を飲みながら、僕はエンドー君に海況に無理がなければ初日にイソマグロを釣り上げたトンバラのポイントへ向かいたいと希望した。
2日目から台風の影響によるウネリが3mくらいあるのだが、幸い風がないのが救いである。
腕と顔にSPF+50の日焼け止めを塗っていたのに関わらず、真っ赤でヒリヒリ状態である。
皆と別れた後、ナカと2人で沖縄そばを食べに行き、最近の近況を話した。
僕はオリオンビール、ナカは泡盛を飲みながら…
しかしナカは本当に釣りのセンスがあると思う。アドバイスを素直に聞いて実行するからであろう。
翌朝、僕の希望通りエンドー君は船をトンバラに向けた。
トンバラとは久米島南に浮かぶ小島の事である。
この小島の周囲50mも離れると水深が100m近くにストンと落ちるのだ。
久米島の周りにはこのような瀬が山ほど存在するのだが、その界隈はなんだかとても海が動いているように思えてならないのであった。
僕はこの最後の釣行を初心に戻り、ジグを引くことにした。
海底は丁寧にゆっくりと~
中層は速めにグングンと~
茶色のブースFを底から10mほどシャり上げた時…
ガツン‼︎
食った‼︎
良い引きである!
前日には味わえなかった引きだ!
青物の様な走り方はしないのだが、竿先がギュンギュンと海中に引き込まれる。
ハタにしては強い引きだと思いつつ巻き上げたら…
アカジンだ‼︎
最後の最後で僕は沖縄最高級魚であるアカジンを釣ることが出来たのであった。
同じタイミングでナカも小ぶりのアカジンを、そしてツーさんは僕の釣ったアカジンと同じくらいのオジロバラハタを釣り上げた。
いやはやこれ以上はないと思えるくらい至福の3日間であった。
ナカが楽しいことはあっという間だなとボツリもつぶやいた。
ツーさんとエンドー君と遅めの昼食として沖縄そばを食べた後、ツーさんに空港まで送ってもらい帰路に着いたのであった。
1年後、あの豊潤な大海原の側で生活するウミンチュ仲間に、今度は僕がスロージギングを教えてもらう番になるのだろうなと思いつつ~
今から26年前、二十歳の夏を2ヶ月過ごした久米島。
月日は流れど…
そこに吹く風
見上げた空
ゆるりとした時間の流れ
心暖かい人達
何も変わらない
今回も久米島ウミンチュ仲間と会えて良かった。
本当に楽しかった。
来年を考えるともうワクワクしている自分がここにいるのであった。
釣り浪漫をもとめて~
久米島万歳!