私のように、かなり楽天家で、いい加減な人間でさえ2011年という年は、人生においてさまざまな衝撃を受けた。
1番は、あのマグニチュード9の震源地の近くで、あの揺れを体験したことだ。目の前で家屋が半壊し、その後に襲ってきた大津波を訳もわからずラジオのみで惨劇の情報を聞き、理解しようとしていた。
日本の大半の人は地震の後の津波の映像をテレビで見た。しごくわかりやすく、地震がきて、津波がきて、街が消滅し、大勢の人が波と建物の中で死んだ、と理解しているだろうが、被災した人たちのほぼ全員が、あの津波の映像を一ヶ月近く見られなかった。
生き残った人たちが多くを語らないのは、目の前に波があらわれ、建物が迫って、何もかもがのみこまれ、その直後から連続して襲った大きな余震と、暖房を奪われた寒さと、昨日までそばにいた家族の姿がないという現実でしかなかったからだ。
テレビに地質学者が出て、千年前にも今回と同じ規模の津波があった痕跡があると土質を見せて話していた。
バカを言うな。
なぜそれを声を大にして言わないんだ。どのツラ下げてテレビの前でしたり顔で話す。政府の危機管理の甘さを責め、犠牲者を減らすことができたのではないかと平然と言う。
バカも休み休み言え。
津波は襲った。復興に皆懸命である。
果たしてそうだろうか。
被災地には今、親のどちらかを、または自分の面倒を見てくれていた大人を失った子供が2000人近くいる。両親をともに失くした子供は250人、その子供たちが復興にむかってガンバッテいるって?
そんなわけないだろう。
そんな子供たちをどう育て、きちんとした大人にさせるために何をすべきか方向性を示すのが大人の、さらに言えばメディアの復興の為の1番の仕事ではないのか。
平然と批判ばかりしてるな。
被災地の瓦礫を拒否した市町村がある。なぜ平然と拒否できるのか。自分たちの子供や年寄りに放射線が…。
自分たちとは何なのだ?
日本人ではないか。それともすでに日本人を捨てているのか。
日本中の各家が一斗缶に煉瓦を刻んで入れて、密封し、『震災はここにも』とでも書いて孫の代まで触れてはならぬものと置いておけば済むのではないのか。
恥を知れ。人間としての恥を知れ。
年金問題で、今の若者に、年寄りたちの暮らしを助けるためにも年金を払ってくれ、と言う。
バカを言え。
今、年金を支給されている連中で、年金は他の年寄りを助けるために毎月払っていたと口にできる年寄りがどこにいる。いたら連れて来い。
それを今になって若者にそうしろと言って、いう事を聞く若者がいるはずがない。
~ 大人の流儀3(伊集院静・著)より中略抜粋
1番は、あのマグニチュード9の震源地の近くで、あの揺れを体験したことだ。目の前で家屋が半壊し、その後に襲ってきた大津波を訳もわからずラジオのみで惨劇の情報を聞き、理解しようとしていた。
日本の大半の人は地震の後の津波の映像をテレビで見た。しごくわかりやすく、地震がきて、津波がきて、街が消滅し、大勢の人が波と建物の中で死んだ、と理解しているだろうが、被災した人たちのほぼ全員が、あの津波の映像を一ヶ月近く見られなかった。
生き残った人たちが多くを語らないのは、目の前に波があらわれ、建物が迫って、何もかもがのみこまれ、その直後から連続して襲った大きな余震と、暖房を奪われた寒さと、昨日までそばにいた家族の姿がないという現実でしかなかったからだ。
テレビに地質学者が出て、千年前にも今回と同じ規模の津波があった痕跡があると土質を見せて話していた。
バカを言うな。
なぜそれを声を大にして言わないんだ。どのツラ下げてテレビの前でしたり顔で話す。政府の危機管理の甘さを責め、犠牲者を減らすことができたのではないかと平然と言う。
バカも休み休み言え。
津波は襲った。復興に皆懸命である。
果たしてそうだろうか。
被災地には今、親のどちらかを、または自分の面倒を見てくれていた大人を失った子供が2000人近くいる。両親をともに失くした子供は250人、その子供たちが復興にむかってガンバッテいるって?
そんなわけないだろう。
そんな子供たちをどう育て、きちんとした大人にさせるために何をすべきか方向性を示すのが大人の、さらに言えばメディアの復興の為の1番の仕事ではないのか。
平然と批判ばかりしてるな。
被災地の瓦礫を拒否した市町村がある。なぜ平然と拒否できるのか。自分たちの子供や年寄りに放射線が…。
自分たちとは何なのだ?
日本人ではないか。それともすでに日本人を捨てているのか。
日本中の各家が一斗缶に煉瓦を刻んで入れて、密封し、『震災はここにも』とでも書いて孫の代まで触れてはならぬものと置いておけば済むのではないのか。
恥を知れ。人間としての恥を知れ。
年金問題で、今の若者に、年寄りたちの暮らしを助けるためにも年金を払ってくれ、と言う。
バカを言え。
今、年金を支給されている連中で、年金は他の年寄りを助けるために毎月払っていたと口にできる年寄りがどこにいる。いたら連れて来い。
それを今になって若者にそうしろと言って、いう事を聞く若者がいるはずがない。
~ 大人の流儀3(伊集院静・著)より中略抜粋