忘却への扉

 日記? 気づいたこと 何気ないひとこま 明日への伝言 願い 子供たちに 孫たちに そしてあなたに・・ 

あの場所をまた

2010-08-13 | 追憶
 写真展があると知り車で送ってもらう。数年前に解体されたが古く築85年ほどの時を経た病院があった。金儲けを考えない最後の院長に大きな建物の維持や修理に関心があったのかさえ疑問。
 90歳を過ぎるまで現役で人々に信頼されていた。半分以上が倒壊寸前になった建物と院長他、共に地域医療のためにつくす。院長の死後も数年は身代わりのように無人の建物は健在だった。
 地方でも1番かと評判になった病院と設備、初代院長は名医として船や汽車など乗り継ぎ遠くから治療を求めてやって来たと聞いている。 地域になくてはならない病院として家族代々お世話になった。
 その病院のいつの時代の写真なのかは知らず、新築開業当時か戦前か前後か想像を膨らませながら展示室に入る。白黒写真が並んでいた。最初は廃屋かと思うが、近寄り次の数枚を見て近年だとわかる。
 8年前の病院内部だというが順番待ちで椅子に腰かけた患者さんと院長先生の姿がなければ、ほとんど解体前の廃屋に見える。年齢の若い写真家の作品は白黒写真が似合う。
 あの病院を見事に表現している。霞んだガラス窓の外は、探検している所を見つかり叱られた裏山。長女が幼少の頃ケガをしながら泣かずに縫ってもらった部屋とか20歳代の私が日本国憲法の本を追加した待合室 ・・・ あの場所をまた見ている。
 作品としてだけでなく身近な歴史と想い出を見た。撮影者や見学者とも会話を交わせていると、病院長の奥さんも写真を見にへ会場に。一緒に見ながら説明などまで聞けた。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿