忘却への扉

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一人ひとりが大切な存在

2016-08-03 | 共に

 【 地 軸 】 2016/7/29 地方紙1面下段コラムより

[ 「もし誰かが『障害者はいなくなればいい』なんて言っても私たち家族は全力で皆さんのことを守ります。ですから、安心して、堂々と生きてください」。
 ▲相模原の殺傷事件を受け、知的障害のある人と家族でつくる「全国手をつなぐ育成会連合会」が障害のある人たちへ向けて声明を出した。抵抗できない者への凶行。今、多くの人たちがやり場のない悲しみと恐怖に震えていることを思うと、胸が押しつぶされそうになる。
 ▲奪おうとしたのは命だけではない。障害のあるなしで命を選別し、人間としての尊厳や生きる権利までも、ないものにしようとした。受けた傷はあまりに深い。
 ▲「一人ひとりが大切な存在」。声明の言葉からは子どもや仲間への限りない愛情を感じる。命の重さに変わりはない。その当たり前のことを社会にわかってほしいとの懸命の祈り。
 ▲事件後、県内の重度の知的障害の子を持つ父親にあった。彼は心を奮い立たせるように、どうすればよいか考え続けていた。「施設で心にしんどさを抱えた職員がいたら対話し、支え合うようにしたい」 「共に生きるとは、命とは何か。うわべではなく考えられる教育を広げていかなければ」。
 ▲誰しも助け合わなければ生きていけない。障害者差別解消法が4月に施行されたばかり。勝手な基準で分け隔てするような冷たい社会へ、歩みを逆行させてはならない。事件は、そう私たちに訴えている。]

 ( 忘却への扉 ) 幼いころの病が原因で知的障害を負った兄がいた。「いなくなればいい」など思ったこともなかったが、もっと私にもできることがあったのにと悔やむことばかりが残る。
 人は誰でもいつ事故や病気で障害者になるかもしれない。わが家でも祖父母は数年間寝たきりの生活を送り旅立った。私自身、死の一歩手前までを数回体験し、記憶喪失や知的障害を自己認識できる限界まで行った。
 神奈川県相模原の殺傷事件の男が「ヒトラー思想が下りた」の言葉。 今の政権与党らの戦争法などにも通じることだ。施設での殺傷事件の後、安倍晋三首相は官邸で開いた閣僚会議で「何の罪もない 多くの命が奪われた・・・」とあってはならないことと表現した。
 子供に女性、高齢者など一般市民を巻き添いに特に弱者に犠牲を強いる戦争法(安保関連法)を強行し、何の罪もない多くの命を奪う愚かな戦争への道を踏み出した安倍政権の張本人に発言する権利などない。
 大日本帝国時代にナチスドイツのように障害者は国家の役に立たないと非国民だと軽視された。戦争を引きずり非戦=日本国憲法の大切さ思い続けてきた私も「共に生きるとは、命とは何か」を考え続けている。