忘却への扉

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奪い取る多国籍企業

2014-10-10 | 平和を
 
《 「農地収奪」世界的に 》 【 多国籍企業が穀物確保 】 《 00~10年で20億㌶ アフリカなど集中 》 2014/10/8 地方紙記事より
 [多国籍企業が穀物を確保するため、世界中で農地を取得する動きが広がっている。きっかけは穀物価格高騰による2007~08年の食糧危機。地元の小規模農家が立ち退きを迫られ「農地の収奪だ」と反発するケースが起きており、日本がアフリカで推進する農業開発にも警戒感が根強い。]
 [稲の収穫を終えた田んぼが辺り一面に広がっていた。アフリカ南部モザンビークの首都マプトから約150㌔北東のシャイシャイ。かつて約280人の農民がトマトやジャガイモを栽培していた土地の面影はない。
 「本当に突然だった」中国系企業が農民のクララ・ルイスさん(54)らの畑を重機で整地し始めたのは6年前。慌てて抗議したが「政府が許可した」の一点張りだった。地元政府に訴えても取り合ってもらえず、何の保証もないまま中国系企業が稲の栽培を始めた。
 モザンビークの土地は全て国有地で、農民に所有権はない。それでも企業は長年耕作してきた農民と保障などで話し合う義務があるが、弱い立場の農民が泣き寝入りしている場合が多い。
 ルイスさん一家は小さな農地の収穫物だけで生計を立てていた。今は他の農家を手伝い、収入は1日約1㌦(約109円)。生活は苦しい。「外国企業は自分の国に土地があるじゃないか。私たちには何も残されていない」と怒りをぶちまけた。
          輸出用
 国連機関や非政府組織(NGО)でつくる「国際土地連合」によると、こうした土地取引は、欧米やアジアの企業により世界で00年から10年までに約2億㌶に上り、85%以上がアフリカやアジアに集中している。ほとんどはバイオ燃料や食料として消費される輸出用穀物の生産が目的だ。
 発展途上国では土地の権利があいまいで、地元住民が利用する農地を企業が空き地と見なして所有権や使用権を取得。貧しい農民から自給自足の糧を奪っているとカンボジアやフィリピンでも問題視されている。
 世界銀行が10年に発表した報告書は、大規模な農地拡張が貧困削減に貢献する可能性に注目する一方、開発計画や保証に関する情報が農民らに十分に提供されなければ「(農地収奪などの)大きな危険が生じる」と警告した。
          不信感
 モザンビーク北部では日本とブラジルが協力して大規模農業開発計画「プロサバンナ」を推進。在マプト日本大使館の丸橋次郎参事官は「目的は農民の生活向上で穀物輸出ではない」と訴える。
 しかし農民組織「全国農民連盟(UNAC)」のアウグスト・マフィゴ代表は「他地域の農民が苦しむのを見てきた。同じことが起きる」と不信感をあらわにする。
 農民らを支援するNGОの関係者は「各国政府や企業は開発の重要性を訴えるが、農民は今の暮らしを変えたくないと思っていて議論がかみ合わない」と指摘した。]
 

暖かく平和な景色を

2014-10-10 | 共に
 
【 ハナちゃんの朝鮮靴 】 鬼北町小松・桐島 森男 (79歳) 《 こだま 読者の広場 へんろ道 》 地方紙「投稿欄」より

 [終戦直後のこと。わが家の隣にある工場に朝鮮半島から働きに来ていたY家に老夫婦がいた。仕事はせず、真っ白なチョゴリを着て、そろって散歩する2人の姿からは威厳が感じられた。
 私の義母とその老婦人は大の仲良しだった。義母の本名はハナエ。「ハナちゃん」と呼ぶのはごく親しい間柄の人だったが、この老婦人はいつも「ハナちゃん」と呼んで親しんでいた。会話は老婦人の母国語交じりの片言だったが、義母には十分通じていたらしく、よく2人で談笑していたのを思い出す。
 Y家が帰国することになり、ある日、老婦人は別れのあいさつに近所の皆の前で「アリラン」を踊った。終わりに、履いていた朝鮮靴を脱ぎ「ハナちゃんにあげる」という。義母はすぐにその靴を履き、お返しに「アリラン」をまねて踊ったが、靴が脱げてうまくいかず、見ていた皆もおかしさと別離に悲しみの混じり合った涙を流した。
 今年は義母の十三回忌。私も人生最後の曲がり角を曲がれば、その先に朝鮮靴をはいた義母が、あの老婦人と中無妻軸踊っているに違いない。そんな暖かく平和な景色に出会えることを楽しみにしている。]