院内調剤が復活の動き 薬価差益の確保と患者負担の軽減狙う(日経メディカルオンライン 2009.3.18より抜粋)
外来処方せんの調剤を院内に戻す動きが出てきた。景気低迷に伴う受診抑制が顕著となる中、患者負担の軽減に加えて、薬価差益も確保しようというのが病院の狙いだ。
2008年12月3日、三条総合病院(新潟県三条市、199床)の一室で、新潟県厚生農業協同組合連合会(新潟厚生連)常務理事の末武雅之氏は、同病院の近隣で薬局を開設する4薬局の関係者と、新潟県薬剤師会の担当支部の役員の前で次のように告げた。
「近年の診療報酬改定の動きから、国策としての医薬分業は終わったと考えている」─。そして、03年から行ってきた院外処方せんの発行を09年春より原則中止し、患者の希望に応じて院内処方に変更していくことを通告した。
また、同病院が今年1月、患者に対して院外処方の希望の有無についてアンケートを行ったところ、「院内処方の方が安くなる」などの説明は一切行わなかったにもかかわらず、68%が「院内で薬が欲しい」と回答した。院内調剤を開始して支払いが安くなることが分かれば、かかりつけ薬局を既に決めている患者を除き、9割前後の患者が院内調剤を選択するのではないかと予測する。
こうした動きは新潟厚生連だけではない。例えば相模原協同病院(神奈川県相模原市、437床)では薬価差益を目的に、02年から開始した院外処方せん発行を05年に患者の自由選択制に切り替えた。
同院では当初、5~6割程度の患者が院内調剤に切り替えると予測していたが、ふたを開けてみると、院内の方が薬代が安くなることを伝えただけで、98%の患者が院内調剤を希望するようになったという。
もっとも、院内調剤への切り替えにはリスクもある。薬価差益が確保できるといっても、それはあくまで現時点でのこと。薬価改定次第では大きく変わる。仕入れには消費税が課される一方で医療は非課税となっているため、仮に消費税が引き上げられれば、差益は減る。さらに過剰在庫のリスクがあるほか、薬剤師の人件費も必要だ。事実、相模原協同病院では、「差益がなくなれば、再び院外処方にすることも考えていく」(事務部長の諸星敏廣氏)とのことだ。
コスト、サービスの両面から医薬分業は再考の時期に 梶原 優氏 日本病院会常任理事
今はコンピューターによって、院内でも併用禁忌や規格違いなどのチェックは簡単にできる。調剤薬局と同レベルのサービスを提供するのは難しくない。さらに医師にとって、採用薬が分かるのも利点だ。特に後発品処方が増える中で、信頼できるメーカーの薬剤のみを投薬できることは大きい。
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(外来)調剤は、医療の一部ではなく、付属品のような扱いではないか。病院経営いかんで外部委託しても差し支えない、と考えているからできるのだろう。よくぞここまで薬剤師もナメられたものだと思う。
差益確保のために、外来調剤用に増員されたという意味は、コンピュータ化すれば簡単にできると思われているようだ。経営や診療報酬体系次第で逆に切られる要素も含んでいるのだ。本来なら入院患者へのサービスをより充実させるべく期待されるのならまだしも、専門性ならぬ作業要員として考えられているかのようだ。
そうまでしてしまった責任の一端は薬剤師にあるのかもしれない。医薬分業を見直すべきだとする意見は、受け持つ患者が異なり、できる業務内容にも違いがあるこを理解しない暴論のように思えてならない。
後発医薬品も、病院側が信頼できるメーカーの薬剤を投薬すればよいなどというのは、患者無視、開局の判断を信用できないと言っているようなものだ。
外来処方せんの調剤を院内に戻す動きが出てきた。景気低迷に伴う受診抑制が顕著となる中、患者負担の軽減に加えて、薬価差益も確保しようというのが病院の狙いだ。
2008年12月3日、三条総合病院(新潟県三条市、199床)の一室で、新潟県厚生農業協同組合連合会(新潟厚生連)常務理事の末武雅之氏は、同病院の近隣で薬局を開設する4薬局の関係者と、新潟県薬剤師会の担当支部の役員の前で次のように告げた。
「近年の診療報酬改定の動きから、国策としての医薬分業は終わったと考えている」─。そして、03年から行ってきた院外処方せんの発行を09年春より原則中止し、患者の希望に応じて院内処方に変更していくことを通告した。
また、同病院が今年1月、患者に対して院外処方の希望の有無についてアンケートを行ったところ、「院内処方の方が安くなる」などの説明は一切行わなかったにもかかわらず、68%が「院内で薬が欲しい」と回答した。院内調剤を開始して支払いが安くなることが分かれば、かかりつけ薬局を既に決めている患者を除き、9割前後の患者が院内調剤を選択するのではないかと予測する。
こうした動きは新潟厚生連だけではない。例えば相模原協同病院(神奈川県相模原市、437床)では薬価差益を目的に、02年から開始した院外処方せん発行を05年に患者の自由選択制に切り替えた。
同院では当初、5~6割程度の患者が院内調剤に切り替えると予測していたが、ふたを開けてみると、院内の方が薬代が安くなることを伝えただけで、98%の患者が院内調剤を希望するようになったという。
もっとも、院内調剤への切り替えにはリスクもある。薬価差益が確保できるといっても、それはあくまで現時点でのこと。薬価改定次第では大きく変わる。仕入れには消費税が課される一方で医療は非課税となっているため、仮に消費税が引き上げられれば、差益は減る。さらに過剰在庫のリスクがあるほか、薬剤師の人件費も必要だ。事実、相模原協同病院では、「差益がなくなれば、再び院外処方にすることも考えていく」(事務部長の諸星敏廣氏)とのことだ。
コスト、サービスの両面から医薬分業は再考の時期に 梶原 優氏 日本病院会常任理事
今はコンピューターによって、院内でも併用禁忌や規格違いなどのチェックは簡単にできる。調剤薬局と同レベルのサービスを提供するのは難しくない。さらに医師にとって、採用薬が分かるのも利点だ。特に後発品処方が増える中で、信頼できるメーカーの薬剤のみを投薬できることは大きい。
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(外来)調剤は、医療の一部ではなく、付属品のような扱いではないか。病院経営いかんで外部委託しても差し支えない、と考えているからできるのだろう。よくぞここまで薬剤師もナメられたものだと思う。
差益確保のために、外来調剤用に増員されたという意味は、コンピュータ化すれば簡単にできると思われているようだ。経営や診療報酬体系次第で逆に切られる要素も含んでいるのだ。本来なら入院患者へのサービスをより充実させるべく期待されるのならまだしも、専門性ならぬ作業要員として考えられているかのようだ。
そうまでしてしまった責任の一端は薬剤師にあるのかもしれない。医薬分業を見直すべきだとする意見は、受け持つ患者が異なり、できる業務内容にも違いがあるこを理解しない暴論のように思えてならない。
後発医薬品も、病院側が信頼できるメーカーの薬剤を投薬すればよいなどというのは、患者無視、開局の判断を信用できないと言っているようなものだ。