何かをすれば何かが変わる

すぐに結論なんて出なくていい、でも考え続ける。流され続けていくのではなくて。
そして行動を起こし、何かを生み出す。

「主治医の判断」に預けて逃げる

2009-03-10 23:17:11 | くすり雑感
 COPDでは抗コリン作用のある吸入薬が第一選択とされるが、患者の多くは長年喫煙をした男性が多く、前立腺肥大症であることもしばしばである。抗コリン薬を使いたい、しかし疾病禁忌というジレンマがある。

 どうか前立腺肥大でもCOPDのために抗コリン薬は使うと言い張る医者が多い。使っていても大丈夫だと言うのだ。使っていて尿閉などで困ったケースに出会っていないというのである。

 あるメーカーに尋ねると、もともと禁忌だから使用したという文献はないという。しかし両疾病の年齢層は同じだから、使用例くらいあるのではないか、その事例ではいったい大丈夫なのかどうか尋ねるが、どうも返事は煮え切らない。

 問い合わせ者がなぜそこをつっこんで尋ねているのか、どのような患者がいて、どのような処方があって、どのように困っていて、そういう想像力がメーカー側には欠けているように思われる。「それはさぞかしお困りですねぇ」という雰囲気のかけらも見えてくることはいたって少ない。

 「使用するかどうかは医者の判断なので」という一言で済ませようとするメーカー。原則禁忌でも、承知で使うと言われれば、それ以上関知できないという。使ってくれるうえ、医者の責任でやるというのなら、メーカー側は内心、願ったり叶ったりだろう。
 しかしそれを調剤するかどうかは、薬剤師側の判断だ。どうしても危険性が高いというのなら、調剤拒否だってありうるのだ。メーカーは、医者が承知で処方したのだから、薬局はそれに従わざるをえないのではないか、と言っているも同然だ。医者が使用してもよいと言っても単純に首肯するのでは薬剤師法24条疑義照会の意にそぐわない。

 どうかメーカーは「医者の判断」に投げて、「薬剤師の判断」は無視して、疑問の核心から逃げているように思えてしまう。薬剤師側の判断に参考となる情報が提供されてもよいのではないだろうか。
 中には有意義な情報提供がなされることもないわけではない。

 いまだに「それは主治医の判断ですから、それ以上メーカー側としては申しあげようがありません」という口上が、あたかも切り札のように使われている。そういった問い合わせに対して真正面から向き合おうとしない姿勢を見直す時期に来ているのではないだろうか。
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破裂(下)

2009-03-10 22:14:51 | Book Reviews
「破裂(下)」 久坂部羊・著、幻冬舎文庫、2007年8月10日
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