何かをすれば何かが変わる

すぐに結論なんて出なくていい、でも考え続ける。流され続けていくのではなくて。
そして行動を起こし、何かを生み出す。

会営薬局が閉局

2009-03-09 22:29:36 | 薬局経営
 分業先進県の秋田県秋田市の「秋田中央薬剤師会営薬局」が今月末で閉局し、隣接する市立夜間休日応急診療所での院内調剤に移行することになった。

 同会営薬局は開設当初から赤字経営が予想されていたため、市からの補助金を受け、安定的な運営が行われてきた。しかし市の財政悪化により補助金が削減されるなど、赤字経営が続いていた。

 院内調剤への移行について、同市保健所が2月末の地元紙に対し、「院内処方の形に変更すれば、患者が薬局に移動する時間や手間も省かれ、サービス向上につながる」とコメント。

 秋田市中央薬剤師会は3日付けで、同市保健所に対し、医薬分業の精神、機能を否定した新聞報道の真意を質すべく、抗議を申し入れた。

 抗議文では、「医薬分業制度の本質とする安全な薬物療法を否定し、院内調剤の方がよいとする見解を公表した」と反発。さらに「総額1400万円の運営費用についても、この金額を補助金として交付できれば、会営薬局を問題なく運営できることが可能であり、行政機関の不備により閉局を余儀なくされる事態を回避することが可能であった」と指摘。
(以上、薬事日報 2009.3.9 より抜粋)
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 財政悪化とはいえ、市民の安全確保のための費用を削った秋田市保健所。夜間休日の医療提供体制を崩すこともいとわない。今後、院内調剤にするということは、同一施設内で院内調剤のフィーで医療を続けるということだろうか。

 医薬分業は、薬物療法が安全に進められるための、住民の安全を確保するための社会的システムだ。これまでの実態では、その意義に乏しいというのだろうか。かけた経費に見合った価値が得られていないというのだろうか。投資しただけの成果を見せろとでも言いたいのだろうか。

 市から医療の基本を崩すということは、市が医薬分業を否定するも同然だろう。夜間休日であるから院内でもいい、というものでもない。平日の日中であろうと、手間やコストをかけてでも安全確保の体制をとることに意味がある。移動時間や手間を省くことがサービスなのではなく、本質は安全を守ることだ。

 三条総合病院のときと根源は似ていて、いまだに医薬分業の意味を理解していない者の愚行ではないか。もちろん、薬剤師側は医薬分業による価値を実感させていく必要があるだろうが、そのような決定になってからでは遅く、そうなる以前からの“火の気”のないうちからの取り組みが問われていたのだと後悔される。

 強制分業でない以上、医療機関も行政も平気で医薬分業を平気で崩そうとする。診療所は市立であっても、会営薬局は市の施設ではなかったというかもしれない。しかし、医療は両方あって成立するものであり、薬局は削っても構わないものだと考えているとしたら、また考えられているとしたら、ゆゆしきことだ。

 ひょっとして医薬分業は緊急事態に陥ろうとしているのか。こうも簡単に院内調剤に戻ってしまうとは、それが全国展開しようとしているのだとしたら、新年度は恐ろしい年になるかもしれない。
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破裂(上)

2009-03-09 21:51:35 | Book Reviews
「破裂(上)」 久坂部羊・著、幻冬舎文庫、2007年8月10日
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