新・むかごの日記

高槻市に在住の、人間と自然が大好きな昭和1桁生まれの爺さんです。
出かけるときはカメラ連れ。
目標は毎日1記事です。

クリ:栗(最も美味、ドングリの王者)

2005-10-19 06:58:06 | 植物観察1日1題
初夏、ひも状の花序に薄黄色の花を噴水状につけ、強烈な匂いを放っていたクリ(ブナ科クリ属)が、実る季節になりました。
一般にドングリといわれる約20種類ほどのブナ科の木の実のなかで、文句なしにもっとも美味しいのはクリです。ドングリの中でマロングラッセなど高級洋菓子に使われるのはクリだけです。
クリは、縄文時代よりもっとも重要な食料であったばかりでなく、材は腐り難いので、建築用材、家具、土木、船舶、などに広く使われ、とくに、最近まで鉄道の枕木に使われていたことは良く知られています。
また、殻のまま干して臼で搗き、殻と渋皮を去ったものを勝栗(搗栗)といい、搗きと勝に通ずるところから出陣や凱旋の祝いや、正月の祝儀などに用いられました。
鋭いイガイガに守られているのも美味しいクリを狙う外敵に備えるためでしょう。このイガは総苞片が成長したもので、秋4裂し中にある1~3個の栗の実が顔を覗かせます。
虫にとっても美味しいはずで栗の実にはよく虫が潜んでいます。芭蕉が「夜ル窃(ひそか)ニ虫は月下の栗を穿つ」(よるひそかに むしはげっかの くりをうがつ)と嘆じたように私たちをがっかりさせるものです。
写真の栗、イガが開いて1個だけぶら下がるように残っていました。白い粉が盛り上がっていましたので中にいやな虫がいるに違いありません。