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ユーロ終わりの始まり:崩壊に向かう?欧州金融システム①

2012-05-14 00:01:33 | ヨーロッパ

 以前から注目されていた5月6日の2つの大きな選挙の結果、フランスとギリシャで緊縮財政に対する有権者の強い不満が示されました。

 フランス大統領選挙では緊縮財政策の見直しを訴えた社会党のオランド氏が現職サルコジ氏を破って当選しました。ギリシャの国会議員選挙では、緊縮財政策を進めてきた連立与党が惨敗して過半数割れに落ち込むとともに、これに反発する急進左派連合が第2党となるなど躍進しました。その後の連立協議も失敗し、どうやら6月に再選挙が行われるようです。ギリシャはEU等の包括支援を受ける条件として6月末までに115億ユーロ(約1兆2千億円)の追加的緊縮策をまとめる必要がありますが、本当にできるのか疑念が拡がっています。

 それにしても、フランスやギリシャのみならず、ドイツも含めてユーロ圏の国々はいよいよ袋小路に追い込まれてしまった感があります。財政緊縮策をとっても経済成長策(財政拡大策)をとってもどちらにしても経済運営が行き詰ってしまいそうだからです。

 まずEUやIMFなどとの約束のとおり、ユーロ圏各国が財政緊縮を堅持するとしましょう。たしかにドイツあたりはそれに耐えられるかもしれません。そして通貨ユーロの信認は一時的には保たれるでしょう。

 ところが、そうなると、とくにPIIGS諸国の経済のプラス成長達成はまず無理となります(もともとの見込みが甘すぎ・・・)。それどころか、景気後退→税収低迷→財政状態がさらに悪化→景気が一段と悪化・・・という負のスパイラルに落ち込んでいく可能性のほうがはるかに高いでしょう。そのためせっかく緊縮策でユーロの価値を維持しようとしたにもかかわらず、ユーロはドル・円に対してじりじりと下落していくでしょう。

 そして若年層を中心とする失業率がいっそう上昇し、デモや暴動が頻発するなど、社会不安も高まると思われます。緊縮策を自分たちに押し付けたと見なされているドイツに対する各国民の感情も悪化し、欧州の結束が揺らぐでしょう。

 では「リセッションは嫌だから、財政拡大で経済成長を目指そう」とばかりに脱緊縮策を宣言したりしたらどうなるか。そのとたんにその国の国債価格は一段と下落(金利は急騰)し、自力での資金調達が困難になります。そして買い手の乏しい国債をECBが買い支えることになるでしょう。それでも次々にやってくる国債償還に応じることができなくなり、その国はギリシャのように借金棒引きを要求します。結局、ECBさえ債権を放棄せざるを得ない事態に追い込まれると予想しています(ちなみにギリシャがECB等の公的機関に負っている債務は約2520億ユーロ[約26兆円]! 1980年から2011年までのあいだの毎年、経常収支赤字を記録しているギリシャにそんな大金を返済できる能力や意志があるとは誰も思わないでしょう)。

 その結果、ECBへの信頼は失墜、ユーロは暴落し、激しいインフレが欧州を襲うことでしょう。

 このように緊縮策・成長策(反緊縮策)のどちらもいばらの道ユーロ圏の市民には厳しい苦境が待ち受けているとしか思えません。

(続く)

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