Straphangers’ Room2022

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「誰得」の両側立ち

2016-07-22 21:37:00 | 交通
エスカレーターの「両側立ち」がなかなか浸透しないのに業を煮やして、強制的に禁止しようという論外な動きが出ています。
何度も言いますが、両側に立つのが一番効率的、というのは算数すらできないということを露呈しているわけです。計算をするまでもなく、普段片側を空けている駅で、何らかの拍子に両側とも動かなくなると、ホームに長い列ができている。経験則で知っているから、事業者や「識者」、さらには通勤時間帯の駅を見ていないようなヲタの戯言が無視されているのです。

事故云々の話も付会牽強に過ぎないわけで、「2列」で立ちましょう、と言っているのであれば、2列で立てるスペースがあることが前提のはずです。ならば立てるのなら普通は歩けるわけですが、時折ぶつかることもあるわけです。これはやっぱり歩くと危ない、ではなくて、はみ出している(やむを得ないようなケースはたいてい少なく、中途半端に立っているケースが大半です)からぶつかるという当たり前の指摘をしないで、歩く側に責任転嫁した牽強の説です。
歩く邪魔になる人が「一般的」であれば(=歩くと危険と言える状態)、2列で立つことが難しいわけで、無駄にスペースを抱えてESが動くだけになり、だったら歩ければその分処理能力は確実に向上します。

そもそも階段だったら上下をフレキシブルに使い分けて、「下りる方のために1列お空けください」として残りは上りの大群が歩くわけです。一般的な駅の階段であれば横に5人6人と並んだ格好で歩けますが、ESだと階段に比べて幅は狭めで乗降1本ずつがデフォルトですから、立とうが歩こうが2人しか並べません。
この時点で「車線削減」なのに、ESが歩くより遅いのですから処理能力は格段に落ちます。それを歩くことで、ESの速度の分だけ1列あたりの処理能力を階段より上げることでリカバリーしている紙一重の状況というのが分かっていないわけです。

滞留したら処理しきれないうちに次の電車が来て収拾がつかなくなる。電車も乗降が出来ない、ホーム上の安全確保で徐行を余儀なくされる、ダイヤが乱れるという悪循環です。山手線レベルだと次の電車が着いたときにまだ先行電車からの分を捌き切っていないことはザラですし、総武快速線でも4分程度の雁行時には列の最後尾にいると到着案内が流れてきます。

まあ事業者の尻馬に乗るメディアも酷いもんで、キャンペーンの提灯記事がここ数日各紙に掲載されていますが、朝日のそれは、「国際基準」として導入されたけど本当に正しいの?という攘夷論になっています。
普段は我が国独自の、というと「外国」を例に出してご高説を垂れているのに何たるダブスタでしょうか。

実も蓋もないことを言うと、両側歩きが一番処理能力が高いわけです。片側立ちになる場合、歩く人がいなければ処理時間は倍になるけど、一定のラインで片側立ちの処理能力が上回ります。ですから「立つ」「歩く」の配分を最適化することがソリューションなのに、一律に「歩くな」ではそれはイデオロギーです。

1階層の普通の駅なら片側立ち、つまり1:1でいいですし、2階層以上の歩き切るにはしんどい駅ではESが多数設置されているのが常ですから、1台は両側立ち、1台は片側立ちで3:1にする、といった対応こそがあるべき姿です。

ちなみに片側立ちはかえって時間がかかる、と言いますが、片側だけ待っているように見えるのはそれこそ歩いたことで早く列を捌き切った結果にすぎないわけです。
上記の例でいけば、「立つ」「歩く」の割合が1:1であれば、両側立ちをした場合、片側に並んで立っている人と同じ数がもう片方に列を作ります。ホーム上から行列が解消されるのは片側立ちと同じタイミングであり、ホーム上の滞留を捌くという意味ではかえって遅くなり事態が悪化します。

比率が2:1でも、両側立ちにおける立つ側の列の長さは1.5、つまり片側立ちの25%しか減りません。立っていた人の25%、つまり全体の16%は何らかの形でメリットを受けますが、歩いていたはずの全体の33%は到着が遅くなるなどの損失を被りますね。

というか、待ち時間を論う時の盲点として、並んででも立つという人は、時間に余裕があるわけで、よしんば両側立ちにして待ち時間が短縮されたとしてもメリットを感じにくいですし、逆に両側立ちより時間がかかったとしてもそれにデメリットを感じるか、ということです。

逆に歩く人は時間に価値を見出しているわけで、それを阻害されることによる損失(感)は非常に高いです。
個人単位での損得意識を考えると、両側立ちの時に著しく「損失」が発生するわけで、CSという観点で見たら最悪の施策と言えます。


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