Straphangers’ Room2022

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反逆者に寛大な措置を?

2016-07-22 21:35:00 | 時事
トルコのクーデターは鎮圧されましたが、その後の政府側の措置に批判が集まっています。
数千人、万単位の軍人や公務員が拘束されたり聴取を受けたりということで、それが「粛清」になるのでは、ということなんでしょうが、冷静に考えたらこうした批判は果たして正しいのでしょうか。

クーデターが鎮圧された後の映像を見ると、政府施設や議会が攻撃を受けて廃墟と化しているわけです。政府に対して軍隊がクーデターを起こすということは、どう考えても民主主義プロセスとは言えませんし、大統領はまがいなりにも選挙で選ばれて国民の負託を受けているわけですから、本来はクーデター側が批判されるべき存在のはずです。

そもそもクーデターは成功すれば正義という限界的な事案であり、我が国の刑法も「内乱罪」は危険犯としての位置づけになっています。そして現行体制を転覆させるという体制に対する最大の侵害行為ですから、首謀者をはじめとする「犯人」に対しての処罰はどこの国でもその国の刑事法の体系下では最大級の過酷な刑罰が科せられるはずです。

今回のクーデターは軍が多数参加しており、鎮圧された以上は「大勢の人」が処罰されることは不可避です。当然体制内の内通者も厳しく調べられるわけで、それをしないで放置することのほうがあり得ない話です。
もちろん動員された兵隊クラスは、日本でも二・二六事件の時に「今からでも遅くはない」と原隊に復帰したら罪に問わないとされたように、命令に従っただけという扱いになるのでしょうが、将校クラスはそうはいかないのです。

結局、欧米諸国お得意のダブスタなんですよ。イスラム色の強い現政権に対し、世俗派の軍隊が立ち上がったが敗北した。
イスラムが嫌いな欧米が圧力をかける。実にわかりやすい構図です。そもそも世俗主義を貫いてEU入りを長年の悲願にしていたトルコは、欧米の無理難題も聞いてきたのに結局袖にされたわけです。その反動がイスラム色の強い政権への支持であり、民主主義の結果としての選択ですから、それを批判できませんし、欧米の自業自得の面もあります。

イスラムのテロに対しては、犯人どころか協力者もしらみつぶしに摘発し、逮捕者は人権のかけらもない施設に収容し、国民の反イスラム感情も放置容認、という欧米諸国がどの口で、というのが率直なところですし、それに同調しているのでは「日本人だ、撃つな!」ということがいかに無意味か逆効果か、ということです。

そういえばタイのクーデターでは、確か欧米諸国はクーデターを成功させた軍事政権を批判していたわけですが、そういうご都合主義、自分たちのお気に入りを支持するという恣意的な対応がまかり通るのが国際社会というのであれば、それに従うことが賢いのかもしれません。ただしそれは欧米諸国に媚を売り続けることが前提になるわけで、道徳だなんだと言うことも憚られる体制、体質を我が国が会得することを意味しますが、それでいいのか。ということを強く感じるのです。


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