些か旧聞に属しますが、9月1日からラウンドアバウト交差点の運用が本格的に始まりました。
事故防止、渋滞防止に有効、という呼び声も高いですが、はたしてそうなのか。
まず言えることは、我が国においてもともと「ロータリー交差点」というものが少なからずあったにもかかわらず、それが普及するどころか通常の交差点に改造されるなどして廃れていたこと。ロータリーとラウンドアバウトは違う、というのでしょうが、原理原則は一緒であり、それで何かあらゆる問題点が解決するような持ち上げ方をすることには違和感を感じます。
そもそもラウンドアバウトが有効に機能するのは(ラウンドアバウトをわざわざ導入する意義があるのは)、交通量が多くもなく少なくもなく、という非常に中途半端な状態を想定しています。
交通量が少なければ信号のない十字路などで十分であり、多ければ後述するような問題が発生するため、信号交差点の導入が不可欠であり、ラウンドアバウトが機能するジャンルは実は狭いです。そういう意味では交通モード選択におけるLRTの存在と似ていますが、支持者に重なりが見られるのは気のせいでしょうか。
ラウンドアバウトの定義として、信号による制御が無い、ということがあるようですが、災害時の停電に対応できる、というレアケースを持ち出して日常の問題を無視できません。
信号が無いことにより、歩行者はどう横断するのか。五月雨式に現れる歩行者に常に譲っていては道路交通は成り立ちませんし、逆に五月雨式に現れるクルマを待っていたらいつまで経っても横断できません。
だいたい、歩行者はラウンドアバウトをどう通過するのか。直進側に通り抜けるのに外周を迂回するのか、それとも交差点中心のアイランドを経由するため環状部の「本線」を2度横断するのか。前者だと、上下方向にプラスαの移動を強いたことで「クルマ優先」の不評を買った歩道橋と相似形であり、後者だとどうやって本線を安全に横断するのか、という課題が出てきます。
自動車交通だけに限定しても問題はあるわけで、環状部走行が優先、というルールは、進入車優先だと各枝線から進入するクルマに頭を抑えられて身動きが取れなくなることへの対応ですが、ラウンドアバウトを通過する流動が一定の方向に集中する場合、マイナーな流動は交差点に入れなくなります。
実際に外国で経験した例ですが、高速道路の出口がラウンドアバウト交差点に接続しているケースで、交差方向の流動が卓越しているため高速道路からのクルマが交差点に入れず、出口渋滞が本線に伸びることが日常化しており、勝手知ったるドライバーはその出口を敬遠していました。たまたま不案内な運転手のタクシーに乗ってしまい、その出口に突入してしまったのですが、5分以上交差点に入れずに身動きの取れないクルマが塞栓になるなど、結局通過に20分ほどかかるという惨状を実際に経験すると、一定以上の交通量が発生するケースでは強制的に信号機で制御しないと無理という結論になります。
ラウンドアバウトを賞賛する人は、ヨーロッパあたりの「美しい旧市街」に憧れているのかもしれませんが、適材適所で考えて欲しいものですし、そもそも「適所」があるのかをまず考えたいものです。
事故防止、渋滞防止に有効、という呼び声も高いですが、はたしてそうなのか。
まず言えることは、我が国においてもともと「ロータリー交差点」というものが少なからずあったにもかかわらず、それが普及するどころか通常の交差点に改造されるなどして廃れていたこと。ロータリーとラウンドアバウトは違う、というのでしょうが、原理原則は一緒であり、それで何かあらゆる問題点が解決するような持ち上げ方をすることには違和感を感じます。
そもそもラウンドアバウトが有効に機能するのは(ラウンドアバウトをわざわざ導入する意義があるのは)、交通量が多くもなく少なくもなく、という非常に中途半端な状態を想定しています。
交通量が少なければ信号のない十字路などで十分であり、多ければ後述するような問題が発生するため、信号交差点の導入が不可欠であり、ラウンドアバウトが機能するジャンルは実は狭いです。そういう意味では交通モード選択におけるLRTの存在と似ていますが、支持者に重なりが見られるのは気のせいでしょうか。
ラウンドアバウトの定義として、信号による制御が無い、ということがあるようですが、災害時の停電に対応できる、というレアケースを持ち出して日常の問題を無視できません。
信号が無いことにより、歩行者はどう横断するのか。五月雨式に現れる歩行者に常に譲っていては道路交通は成り立ちませんし、逆に五月雨式に現れるクルマを待っていたらいつまで経っても横断できません。
だいたい、歩行者はラウンドアバウトをどう通過するのか。直進側に通り抜けるのに外周を迂回するのか、それとも交差点中心のアイランドを経由するため環状部の「本線」を2度横断するのか。前者だと、上下方向にプラスαの移動を強いたことで「クルマ優先」の不評を買った歩道橋と相似形であり、後者だとどうやって本線を安全に横断するのか、という課題が出てきます。
自動車交通だけに限定しても問題はあるわけで、環状部走行が優先、というルールは、進入車優先だと各枝線から進入するクルマに頭を抑えられて身動きが取れなくなることへの対応ですが、ラウンドアバウトを通過する流動が一定の方向に集中する場合、マイナーな流動は交差点に入れなくなります。
実際に外国で経験した例ですが、高速道路の出口がラウンドアバウト交差点に接続しているケースで、交差方向の流動が卓越しているため高速道路からのクルマが交差点に入れず、出口渋滞が本線に伸びることが日常化しており、勝手知ったるドライバーはその出口を敬遠していました。たまたま不案内な運転手のタクシーに乗ってしまい、その出口に突入してしまったのですが、5分以上交差点に入れずに身動きの取れないクルマが塞栓になるなど、結局通過に20分ほどかかるという惨状を実際に経験すると、一定以上の交通量が発生するケースでは強制的に信号機で制御しないと無理という結論になります。
ラウンドアバウトを賞賛する人は、ヨーロッパあたりの「美しい旧市街」に憧れているのかもしれませんが、適材適所で考えて欲しいものですし、そもそも「適所」があるのかをまず考えたいものです。