庵KM

技術屋OBの環境問題独り言

経済問題。交通問題。健康問題。そして、日本の国創り問題。快適社会問題。

食料価格の安定は日本では実施可能だが、抵抗勢力はどこに。

2011-02-16 | 国創り政治問題
食料価格の安定が、安心出来る社会の基本条件であることは誰も異論はない。
その一方で、食料品が安くなることを歓迎する潮流は、慎重に検討してみる必要がある。
1990年代に、中国などの新興国からの食糧輸入が一気に増加して、「価格破壊」の流行語を生み出すのに大きな影響があった。
今では、価格破壊は弱者にしわ寄せのいく、悪しき社会風潮の根源とされている。

一方、需給ひっ迫による価格の高騰は、自由市場を基本とした考え方では、正当化されることになってします。
つまり需要が多すぎる場合は、市場での価格が上がることで、供給を増やす動機になり、生産量が増えて価格を抑える方向に動き出す。
だから、自由市場取引に任せて、政府などは市場の介入しない方が良いのである。というのが、自由放任主義、小さい政府を擁護する論者の根拠である。

だが、この様な古典的な高校レベルの議論を未だに信奉している識者がいることは、恐るべきことである。
現代は金融資本という、利益を求めて世界中をうろつく猛獣が、割拠している時代である。
少しでも利ザヤを稼ぐ機会が見えてきたら、すぐに他人の機先を制して投機行動に走ることが勝ち残る常識である。
倫理観や道徳心など、かけらもない猛獣と思わなければならない。

この様な猛獣が闊歩する世界から、食料価格を安定させることは至難の業である。
しかし、これらの役割は、政府などの公的機関が直接に関与して、その責務を果たす必要がある。
日本は幸か不幸か、戦後から続いている「食料価格」を国が関与して、統制的に流通を取り仕切っている、古い制度が残っている。

前回に書いた、小麦の輸入品に対する高率関税(250%)とか、国家管理貿易による、国家マージン(1トン、1万7千円)のピンはねの制度が厳然として残っている。
この制度を利用しない手はない。
例えば、国際価格が3万円の小麦を買い付けて、1万7千円のマージンを乗せていた状況から、小麦価格が4万円に高騰した場合を想定する。
その時に、相変わらず国家マージンを変えないでいると、末端価格はモロに1万円の値上げになってしまう。

そこで、政府の国家マージンを1万円に下げて、4万7千円であった政府売り渡し価格を、5万円に抑えれば、トン当り3千円の値上がりで済む。
もちろん農水省の特別会計に入る税収は大幅に減少するが、天下り先がなければ、誰も困らない。
国内産の小麦農家と流通業者は、輸入小麦の政府売り渡し価格が3千円でも上がることで、経営面で有利な状況になる。
この少しの間の値上がりは、加工業者と消費者で痛みを分け合うことでしのげば、投機資金の流入による極端な価格高騰の被害からは逃れる事が出来る。
なぜ、この実施が出来ないのか・・・!

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