ブレンダンが特殊メイクを施し272キロの大男姿で挑んで素晴らしい演技で
復活したということでも注目を浴びた本作。
サミュエル・D・ハンターの舞台劇を基に、余命わずかな肥満症の男性の孤独と娘への愛を描く。
ブレンダン・フレイザーはハムナプトラ以前から好きな俳優だったので
今回のカムバックを応援して期待してました。しかも監督はダーレン・アロノフスキー。
個人的にはデビュー作から全ての作品を観ていて、2作目の「レクイエム・フォー・ドリーム」
そして「レスラー」が傑作と思っている。
今回、製作会社は話題の作品ばかり続いて数年前から注目のA24。
感想から言ってしまえば 2023年のアカデミー賞受賞作品として
「エブエブ」よりもこちらが断然、良かった。
ブレンダンはメーキャップに4時間を費やし、45キロのファットスーツを着用。
アカデミー賞主演男優賞を見事受賞。
(メイクアップ&ヘアスタイリング賞も受賞し2冠)
ある不幸な出来事から、現実逃避するように部屋から出なくなってしまった。生計は大学のオンライン講座の講師として立てているが、健康を損ない、体重増加により歩行器なしでは移動もままならない。
ちょっと部屋で携帯電話を落としただけでも拾えないし、
食べ物も気をつけて食べないと喉に詰まらせてしまう。
日常の中でも常に危険と隣り合わせである上、うっ血心不全で命の危険にさらされている状態だった
なのに頑なに入院を拒み、唯一の親友でもある看護師リズに頼っている。
「ザ・メニュー」でもかなり目立つ役どころだったこのホン・チャウも素晴らしいし、
娘役で「ストレンジャーシングス」に出演のセイディー・シンクもまた素晴らしく
母親役のサマンサ・モートンは近年、「ウォーキング・デッド」のすごい役でもインパクトがあったけど
とにかく、主演のブレンダン以外にもわずか数人しか出てこない出演者たちがオスカー級に皆いい。
ある宗教伝道師の男にタイ・シンプキンス。
誰かと思ったら「インシディアス」シリーズや「ジュラシックワールド」の男の子。
大きくなったなぁ。
9/10
これはもう素晴らしいとしか言いようがない
密室空間でのみ展開されるストーリーとは思えないほど、宇宙空間というのか
目に見える映像だけではない世界が広がっている。
残された限りない時間とやるべきこと、自分が生きているうちに何かをやり遂げたいという気持ち、
孤独と戦いながら、死を前にしながらもユーモアを忘れずに誰かの役に立つこと。を考える。
過去に自分がおかしてしまった間違いを少しでも修復しようと懸命に生きる姿
もうラストシーンは圧倒されて自然に涙が止まらなくなった。
迫力のある映画ばかりが大画面で観るのが大事、ではなくて
こういう作品もまた家のテレビ画面やpc画面ではなく劇場の大画面で観て欲しい傑作。
The Whale 2022年 アメリカ 117min 2023年4月7日(金)より公開中