パーキンソン病で大学病院(隣の県の)に通院している71歳男性は、レスパイト入院の常連さんだ。
身長175cm・体重70Kgで立派な体格をしている。介護をしている奥さんの、まさに休息のための入院で、預けられる本人は数日の入院とはいえ不満かもしれない。個室利用なので、病院としてはありがたい。人柄も良く、看護師さんには手のかからない方だった。
お仕事は何をされていたんですかと訊くと、外国航路の船員をしていたという。中東までの往復も1か月で帰ってくるが、何か航路上で問題があると3か月くらいになることもあるそうだ。複雑な薬の飲み方はきちんとノートにつけて管理していた。次のレスパイト入院もすでに申し込まれている。
レボドパ製剤のネオドパストン配合錠L100錠を1日8回内服している。さらにwearing-off時には0.5錠を1日2回+αで追加内服している。ドパミンアゴニストのレキップCR錠(2mg)を1日2回、MAO-B阻害薬のエフピーOD錠(2.5mg)を1日2回、COMT阻害薬のコムタン錠(100mg)を1日5回内服している。1日2回といっても、それぞれ時間が異なっている。off症状が強い時用にアポカイン皮下注30mgも出ていた。これだけ複雑な処方を使ってもoff症状は出て、トイレに行きたい時に起きると間に合わなくなるのがつらいという。
パーキンソン病の薬としては非ドパミン系のゾニサミドがあり、他のパーキンソン病の患者さんで使用されているのを見たことがある。副作用にうつがあるので、この方には使いにくいのかもしれない。ゾニサミドは抗てんかん薬としてはエクセグランだが、抗パーキンソン病薬としてはトレリーフという名前で薬価が高い。薬価を下げるためにエクセグランの方を処方するのは保険診療上はグレーゾーンになると記載されていた。(「ゼロから始めるパーキンソン病診療」文光堂)
ここまで複雑だと専門医じゃないと対応できない。症状が変化した時には大学病院の主治医の指示で患者さんが行うが、それで難しい時は大学病院に問い合わせるか、そのまま送るつもりで見守っているだけだ。
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