なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

ここまで育てるとは

2015年07月19日 | Weblog

 今日は日直で病院に出ている。63歳男性が両側下肢の浮腫で動けなくなったと救急要請した。今年の1月から便が出にくくなり、便柱の狭小化。血便もあった。すっと病院には行っていない。2週間前から両側下肢の浮腫に気づき、悪化して今日に至った。茶褐色の尿が出ている。

 救急隊から病状を聴いたときに、直腸癌の膀胱浸潤・静脈圧排による浮腫かと思われた。そして搬入されると、病状は予想以上だった。下腹部全体に腫瘤を触知した。やせが目立ち、かなり体重減少があるはずだが、測定していないので具体的にはわからない。直腸指診をすると、不整な腫瘤を触知した。胸腹部造影CTを施行すると、下腹部全体に腫瘤(腫瘍)があった。膀胱に浸潤している。低蛋白もあるが、静脈系を圧排したために両側下肢に浮腫をきたしたと判断される。便汁は肛門から流れてきている。完全閉塞ではなく、かろうじて通っているようだ。嘔気はなく、イレウスとは言えないが、便塊が大分たまっている。意外にも、明らかな肺転移・肝転移はなかった。

 連休明けに上部消化管内視鏡検査と前処置なしで下部消化管検査になるが、肛門鏡で広げても生検できそうだった。切除不能直腸癌と確定すれば、人工肛門造設しての抗癌剤治療だろう。当番の外科医に相談した。CT前に声をかけた時に、まずは消化器科でと言っていたが、CTを見て最初から外科入院でとってくれた(消化器科の検査は半日で終わってしまう)。それにしても、病院嫌いなのか、今時よくここまで育てたと思う。CEAが高いので直腸癌でいいと思うが、悪性リンパ腫はちょっと気になる。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« ジェファーソン骨折(環椎破... | トップ | 急性胆嚢炎など »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

Weblog」カテゴリの最新記事