なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

脳出血だった

2015年05月10日 | Weblog

 今日は日直でまた病院に出ている。地域の当番医が小児科医だったので、大人は当院を受診して忙しいかと思われたが、歩いて受診する患者さんは多くなかった。20歳代女性が咽頭痛と高熱で受診した。明らかに扁桃が化膿して、前頸部リンパ節が腫脹して圧痛があった(咳はなし)。白血球17000・CRP7で肝機能障害はない。溶連菌迅速試験は陰性だったが、化膿性扁桃炎と判断された。食欲もないというので(呼吸苦はなし)、点滴と抗菌薬点滴静注として、経口抗菌薬を3日分処方した。別の20歳代女性(大学生)は高熱・咳・鼻水・関節痛で受診した。1月にインフルエンザA型に罹患した時と同じ症状だという。インフルエンザB型と思って迅速検査は陰性だった。検査で証明はできなかったが、食欲がだいぶ落ちていることもあり、イナビルも使用して経過をみることにした。

 救急車は、まず消化器科外来に通院しているGIST術後の多発性肝転移の88歳男性が呼吸困難で搬入された。39℃の高熱もあった。全身浮腫(主に下半身)で陰嚢も腫れている。CTで肝転移が前回よりも増加している。門脈圧亢進状態と低蛋白血症が浮腫の原因になるのだろう。炎症反応上昇があり、感染症が併発しているはずだ。尿混濁はなかった。肺炎としての浸潤影も明らかなものはない。肝胆道系の問題と思われた。血液培養2セット提出後に抗菌薬を開始した。利尿薬は内服で出ていたが、今日は静注でラシックス・ソルダクトンを使用した。消化器科・主治医自分として入院させて、明日外来担当医にかわる予定だ。

 65歳男性が、回転性めまいで救急搬入された。2~3年前に茨城県に行っていた時になって、筑波大学付属病院に搬入されたそうだ。一晩入院して治癒退院している。今回も前回と同じ症状という。頭部CTは異常なし(少なくとも出血はない)。短期入院で明日まで経過をみることにした。、

 その後は90歳女性が美容院で一過性意識消失となって搬入された。母の日なので、娘が美容院に連れて行ったそうだ。椅子に座ってカットしているときに美容師が意識がないのに気付いたが、そのまま座らせたままでの救急要請だった。確かにうごかしにくかったのかもしれないが、できれば静かに横臥させたいところだ。救急隊到着時から意識は戻っていた。まったく医療機関にかかっていないので、家族は健診として全部診て下さいという。胸部X線・心電図・血液検査・頭部CTと行い、脳萎縮以外に異常はなかった。1回だけ水様便(タール便ではない)が出たというが、その後は腹痛・嘔気嘔吐・下痢はなかった。そのエピソードが循環血液量低下(一過性脳循環不全)につながったのか。すっかり元気になって帰宅となった。パーマの途中だったので、髪の毛は独特のにおいがしていた。

 87歳女性が意識障害・左半身麻痺で救急搬入された。1月に軽度の脳梗塞で当院神経内科に入院して、今はかかりつけの内科クリニックから処方を受けていた(プラビックスが入っている)。救急隊からの依頼がきて、これは脳梗塞再発と思った。思って搬入後に頭部CTをとると延髄レベルで第四脳室に出血があった。基底核レベルで大きな右被殻出血があり、両側の第三脳室に穿破した血液が貯留していた。当院は4月から脳神経外科医が不在になっている。脳神経外科医のいる施設への搬送となるが、実際には手術はないと判断される。この方は老夫婦の二人暮らしで、寝たり起きたりの両親の介護をまかされた娘が通って世話をしていた。昨日の夕方には変わりなかったというが、今日の午後までのどこかで発症したらしい。その娘夫婦と相談したが、脳神経外科へのコンサルトは希望しなかった。当院で保存的に経過をみることになった。出血の周囲は脳浮腫があり、側頭葉から後頭葉では脳溝が圧排されている。どのくらい持つかわからない状態での入院となった。

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