中公文庫から「どくとるマンボウ航海記 増補新版」(北杜夫著)が出た。これまでの文庫本に、著者らの写真とエッセイを追加している。購入して、久しぶりに読んでみた。
北杜夫さん(本名・斎藤宗吉)は歌人・斎藤茂吉さんの二男で、長男はやはり精神科医の斎藤茂太さんだ。大学は仙台にいて、好きなドイツの小説家トーマス・マンの「トニオ・クレーゲル」にちなんで、「杜仁夫」としてみたが、トニオはちょっとということで北杜夫とした。北は「東」「西」「南」「北」と準に替えていくつもりだったというが、本当かどうかわからない。
最初に読んだのは高校生の時で、「航海記」を最初に読んで、その後に「幽霊」などの初期の短編や「楡家の人々」を読んだと思う。単行本は昭和30年代のベストセラーになり、著者を有名にした。
「どくとるマンボウ」を読んだのがきっかけで、親戚にもまったく医療関係者のいない当方は医学部を受験した。医者というものは気楽そうな生活をしているものだ、と勘違いしたのかもしれない。
医学部に入学した時点では精神科医になるつもりだった。昔は、医学部入学時点での精神科希望は多いといわれていた。入学後は、何科になりたいということはまったく考えずに過ごしていた。
臨床実習で精神科も回ったが、せひ精神科という気持ちにはならなかった。特にやりたいこともなく、外科系は無理ということで、何となく内科になった。
精神科の本も割と購入している方で、数は少ないがうつ病の入院を担当したりしている。今になってみると精神科医になるのもよかったかと思う。
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