なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

白血球著減から著増

2020年09月03日 | Weblog

 AST(抗菌薬適正使用チーム)で、外科で診ている胃癌術後再発の73歳男性が話題になった。血液培養2セットから大腸菌が検出されていた。

 癌化学療法を行って、8月半ばに白血球400(好中球20)になった。発熱はなかったが、G-CSF(グラン)・抗菌薬(カルバペネム)が開始された。

 G-CSFが5日間投与されて、白血球4400(好中球3000)に回復した。ほっと一息という時に高熱が出現した。胸部X線で肺炎はなく、尿所見も混濁はなかった(白血球減少で化膿を示唆する所見にならないが)。急激な肝機能障害を認めて、胆管炎を判断されていた。

 そこで血液培養2セットが提出されて、大腸菌が検出されたという経緯だった。白血球は43000から63000と著明に上昇した(CRPは21から27)。

 PIPC/TAZ(ゾシン)が開始されて、解熱して炎症反応・肝機能は改善した。主治医としてはやれやれと安堵したはずだ。

 白血球数が回復した後に細菌感染症が発症して、その時間差が気になるが、やはり減少に起因すると思われる。G-CSFで骨髄球系が活性化している時に感染症が起きたので、過剰ともいえる白血球増加をきたしたのだろう。興味深い経過だった。

 

 抗菌薬投与を短期間でやめてしまっていたが、今のところ経過には問題ない。正しくは解熱したころに血液培養を再検して、陰性化確認から14日以上投与になる。

 感染症の指導を受けている先生にも訊いたが、できればもう1週間は入れたいが、主治医が総合的に判断したのならばあえて絶対継続ともいえない、ということだった(大人ですね)。

 

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