64歳男性が突然の呼吸苦(呼吸困難)で救急搬入された。当院の呼吸器外来(外部医師担当)に肺気腫・喘息で通院していた。
この方は事故(自宅で階段から転落)による脊髄損傷で両下肢麻痺がある。自宅で車椅子生活をしている。母親が死亡した後はひとり暮らしだった。近所の友人が駆けつけてくれた。
午前11時45分ごろに水を飲んでいて、突然呼吸が苦しくなった。自分で病院に行こうとしたが、苦しいので救急要請したという。水を飲んでむせったわけではない。以前の胸部CTで右下肺野に巨大なブラがあるのが気になった。
血圧は130/70だが、心拍数120/分、呼吸数28回/分と頻呼吸・頻拍だった。救急隊が到着した時は酸素飽和度が70%台だったというが、酸素8L/分で95%になっていた。マスクの圧迫感がいやだというので、少しずつ減量して鼻カニューラ3L/分で92%程度になった。
胸部X線で右気胸があるようだ。CTで確認したが間違いなく気胸だった。結構右肺が虚脱している。胸腔ドレナージが必要だ。自然気胸などは通常外科医が診ているので相談したが、脆弱な肺組織でドレナージだけで広がらないのではという。
搬送する余裕はあるので、呼吸器病センターのある専門病院に連絡して、救急搬送になった。呼吸器外科があるので、何とでも対応できるのだろう。外来で診ている先生から巨大なブラに対しての手術を勧められていたような話だった。気胸が危惧されるというよりは、reductionの意味だったのかもしれない。
先々週の週末に、両側肺炎で低酸素の患者さんを搬送したのに続いての搬送だった。
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