なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

GI療法

2015年05月07日 | Weblog

 昨日高カリウム血症で救急搬入された88歳女性は、尿も出ていたのでソルデム1の点滴で経過をみていたが、夕方の血清カリウムが6.8とまた上昇した。心拍数30/分台の洞性徐脈が続いていた。またGI療法を行うことにした。

 搬入時に若い先生が、50%グルコースとヒューマリンRを短時間に静注したところ、一時的に血糖が700で上がって、400になって、1時間後に150になった。そんなに頻回に血糖を測定しなければ高血糖になったのに気付かなかったのだろう。インスリンが効く前にグルコースの効果が即出るのだった。グルコースとインスリンの比率は50%グルコース40~50ml+レギュラーインスリン10単位(グルコース2~2.5gにインスリン1単位)がいいのか、50%グルコース100ml+レギュラーインスリン10単位がいいのか。前者の場合は低血糖に注意とある。今回、若い先生のオーダーは50%グルコース60ml+ヒューマリンR10単位だった(20mlのアンプルなので単純に3アンプル使用したのだろう)。

 1時間以内は高血糖となり、その後は血糖100前後で経過した。低血糖にはならなかった。血糖の変動など詳しいことはテキストには記載されていない(調べれば出てくるのだろうか)。速効性を期待すれば、使用すべきは50%グルコースの静注だろう。その後に、10%グルコース500ml+ヒューマリンR10単位を点滴静注すののがいいのだろう。適切な点滴スピードはどのくらいなのかわからないが。

 夕方から、10%グルコース500mlにヒューマリRを混合して点滴静注を開始した。その時の血糖が90台だったので、ヒューマリンRを6単位と中途半端な(巧妙な?)量にした。午後9時に、血清カリウム5.6となり、心拍数は60/分台と正常になった。血糖は120いい値だった。GIの点滴速度を減量して、今朝は血清カリウム5.0になり、昼食から食事を開始したが、夕方の血清カリウム4.4となったのでGIの点滴を中止した。血糖は120とちょうどいい。点滴して尿が十分で出ていたので、GI療法だけの効果ではないが。

 基本的な治療にもかかわらず、試行錯誤的にGI療法をおこなっていまうのは、案外使用経験がないからだ。自分自身これでたぶん3回目だ。1日持続して使ったのは初めてになる。これは異常に経験が少ないのだろうか。GI療法は100回以上やってますという医師も専門によってはいるのかもしれない。腎臓内科医?、いや救急医かな?。

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