月曜日の午後、急性期病棟で入院した患者さんが37℃台の発熱があると、もめていた。
患者さんは50歳男性で糖尿病外来(大学病院糖尿病代謝科から)に通院していた。体重が150kg(身長177cm)だった。腎症で血清クレアチニン1.8~1.9mg/dlだったが、直近では3mg/dl台に悪化していた。利尿薬(フロセミド20mg)も処方されていた。
糖尿病は10年間の放置の後、10年前から治療が開始されていた。現在はDPP4阻害薬+メトホルミン+SGLT2阻害薬でHbA1c8.0~9.3%だった。(メトホルミンは中止だろう)
その日の午前中に呼吸困で救急搬入されて、ちょうど腎臓内科の若い先生が救急当番だった。腎臓内科にネフローゼ症候群として入院となっていた。
ここ1年は血清アルブミン3.1~3.3g/dl・尿蛋白4~12g/gCrで推移していた。胸部X線・CTで以前から心拡大はあるが、胸水も伴っている。
肥満だけでも微熱になりそうで、心不全でも微熱くらいは伴う。搬入時にコロナの抗原定性試験を行って陰性となっていたが、前週に地域包括ケア病棟でコロナのクラスターが出たこともあり、病棟では(他に原因となる感染症の病名がついていないと)心配なのだった。
通りがかりのコロナ担当として、院内でできるPCR迅速試験を追加で提出した。結果は陰性で、病棟としては安心したようだ。(行政検査のPCRより感度は落ちるが、「PCRが陰性」ということでの安心感らしい)
以前腎臓内科の常勤医が不在だった時に、同じような肥満の糖尿病腎症・ネフローゼの患者さんを入院の時に担当していた。血清クレアチニンはまだ透析導入するほどではないが、除水のために早めの導入になるかもしれない、と非常勤の腎臓内科医にいわれていた。
生活習慣の問題もあるのか、入院して腎臓内科の指示で利尿薬を増量して経過をみると、時間はかかったが浮腫は軽快していた。その数年後には透析導入になっていた。
入院時、浮腫込みの身体が大きすぎて、便器に座るのが困難だった。陰嚢浮腫もかなりのもので、看護師さんからあのタヌキの置物のようといわれてしまった(こらこら)。
腎臓内科医(3か月交代で当院勤務)の所属する大学病院の腎臓内科に搬送したほうがいいのでは、という話になっていた。
大学病院ではDPP4阻害薬を経口GLP1受容体作動薬に変更されてなかったんですね
GLP1受容体作動薬にはDPP4阻害薬にはない心腎保護作用がありますよね