なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

多系統萎縮症(MSA-C)

2020年05月20日 | Weblog

 昨日地域の基幹病院脳神経内科から、60歳代後半の女性が転院してきた。多系統萎縮症(MSA-C)の患者さんだった。

 8年前にREM睡眠行動異常(REM sleep behavior disorder)で発症して、6年前から外来通院していた。すでに寝たきり状態でADLは全介助になっている。5月初めに老人保健施設に入所が決まっていた。

 4月末に急性胆嚢炎で同院外科に入院して、保存的に(抗菌薬投与)軽快した。経口摂取困難で、脳神経内科に転科している。

 転院の依頼が来た時には、経鼻胃管で経管栄養を行っていて、ゼリーで嚥下訓練をしていると言っていた。胃瘻造設になりますかと訊くと、経口摂取できなければ検討して下さい、ということだった。

 他の転院依頼もあったので、1週間後に転院となったが、来てみると嚥下調整食3を摂食できていた。ただ、振戦が目立ち、上下肢と同様に顔も震えていた。これで食べられるかと思ったが、何とか食べていた。

 仙骨部に10㎝以上の褥瘡がある。このまま経口摂取できれば、褥瘡の軽快を待って施設入所になる。当院の脳神経内科医に相談すると、胃瘻造設をして経口摂取と併用で行った方が後々のためかもしれないという。

 入所予定の施設の隣に病院があり、誤嚥性肺炎と胃瘻造設の得意な先生方がいるので、入所後に必要があれば対応できる。当院で施行するかどうかは食事摂取の状況をみて決めることにした。

 送られてきたMRI画像をみると、確かに小脳脳幹部の萎縮が目立つ。多系統萎縮症(MSA-C:multiple system atrophy with predominant cerebellar ataxia)だから、小脳性運動失調で発症しているはずだが、今はパーキンソニズムの方が目立つ。進行すると3病型(MSA-C、MSA-P、Shy-Drager syndrome)は同じ病像になるので、こういうものなのだろう。

 60歳代前半からの発症で、10年未満で寝たきり状態(いずれは経管栄養継続)になっているのは気の毒だ。

  

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 肝障害、腹水 | トップ | 閉塞性腎盂腎炎 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

Weblog」カテゴリの最新記事