min-minの読書メモ

冒険小説を主体に読書してますがその他ジャンルでも読んだ本を紹介します。最近、気に入った映画やDVDの感想も載せてます。

小川一水著『天冥の標 上・下』

2015-08-14 19:50:35 | 「ア行」の作家
小川一水著『天冥の標 上・下』ハヤカヤ文庫 2009.9.20

おススメ度:★★★★☆



西暦2803年、植民星メニー・メニー・シープは入植300年を迎えようとしていた。この星を支配するのは臨時総督をかたるユレイン三世という少年であり独裁者であった。彼はこの星にやって来て地中深くに眠るロケットを管理し今もそのロケットから作られる電気を手中に収めていた。
そして発電機の不調を理由に全植民地に対し配電規制をかけていたのであるが、そんな中、第二の都市セナーセーを司る反政府派「海の一党」の若きリーダーアクリラから緊急な要請が医師のカドムにあった。
セナーセー市内で原因不明の疫病が発生したので診てほしいというものであった。物語の発端は実はこの疫病にあったのだ。
第一巻で既に多種多様な人類、生物、怪物、大小ロボット、アンドロイドなどなどが登場してくる。
メニー・メニー・シープ星は人類の科学文明がそのまま発展することはなく、乗って来たロケット移民船シェパード号が一部故障してしまったことで、人類の往時の科学技術を全て受け継いだわけではなかった。ある種独自な科学技術を持つ星とも言えたが、多くの謎をも抱えた移民船であった。
第一巻ではこの星を統治する臨時総督府とそれを打倒しようとする反総督府派の戦いを中心に描かれるのであるが、実は人類にとっての最大の的は他にあった。それはフェロシアン(咀嚼者)と呼ばれるこの星の地下に閉じ込められていたエイリアンに姿が似た怪物であった。物語は時空を遡り語られるようだが詳細は不明だ。
第一巻を読んでの感想であるが、人類が地球を離れ大宇宙への移民を果たすべく何万光年もの旅に出て惑星連合を築くという物語のスケールから言えばかのダン・シモンズの「エンディミオン」シリーズに匹敵するかも。
また地球を襲う大規模な災害・変動によって人類が自らの遺伝子を変えてまでそれに対応しようとする姿を描いた上田早夕里の「華竜の宮」をも想起させる作品である。
この小川一水氏の「天冥の標」が我が国SF小説界を代表するSF叙事詩となり得るのか先が楽しみだ。



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1 コメント

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言葉を慎みたまえ (ムスカ大佐)
2021-12-22 12:57:50
そんなものはガラクタに過ぎん。古事記を読めるようになりたまえ。そして安来の十神山の古い秘密の名前を探るのだ。
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