渡辺裕之著『新・傭兵代理店 欺瞞のテロル』祥伝社文庫 2016.6.20 第1刷 700円+tax
おススメ度: ★★☆☆☆+α
九州鹿児島県にある川内原発のホームページがハッキングされ乗っ取られた。HPのトップ画面には散々報道でお馴染みのテロリストグループ、ISの旗がある画像が映っていた。その画面にはこの原発がテロのターゲットであり、決行日と思われる日付がありカウンターとなっていた。
慌てた日本政府は傭兵代理店の池谷に協力を求めた。池谷は森美香を通しリベンジャーズの藤堂に繋いだのであった。美香は以前の内調から新設の国の情報機関へと移っていた。
今回のリベンジャーズの任務は川内原発のHPに侵入したハッカーそれはISのサイバー部隊と思われたのであるが、それを突き止め彼らのテロルを阻止することにあった。
浩志をはじめリベンジャーズの主要なメンバーが先ず向った先はサイバー部隊が潜むと思われたフランスのパリであった。
一方日本に残っている美香は今は自分の夫である藤堂浩志の父の死亡を知ったのだがそれが自殺であったことからその真相を探るべく島根県まで足を伸すのであった。
物語はこうしてフランス、ベルギー更にシリアへと、また日本との二本の軸を並行して進めるのであるが、正直言って双方の場面とも進行が緩慢に思え疲れるほどだ。リベンジャーズの活躍の場はかなり後半のシリア国内での作戦行動においてであるが今迄のシリーズほど激しいものではない。激しければ良いわけではないものの、作戦行動、戦闘シーンもちょっとマンネリ気味である事は否めない。ISに関してはもう充分といったところか。
しかしISの欧州、なかんずくベルギーでの情勢、状況に関しては的確になされているので、パリやブリュッセルでの同時多発テロを理解するには重宝な分析だと思う。
またクルド人勢力の組織やその整形過程、歴史的背景などがストーリー展開に合わせ的確に説明がなされ、下手な中東専門家なんかの記事を読むより役に立つ。
ここで話はちょっとそれるのであるが、我が国の原発が某国の工作員やテロリストたちに狙われる危険性多いにあり得る。地震や津波だけが脅威なのではなくテロルこそ恐ろしい。というのも原発の警備があまりにもお粗末な点があげられる。もうかなり以前ではあるが、仕事の関係で東電の柏崎刈羽原発の敷地内に入ったことがあるのだが、メインゲートの警備には丸腰の民間警備員らしき2,3人が詰めているだけであった。これじゃ原発を襲い占拠するには一個小隊もあれば十分なのでは、と思った。先進国の警備状況はよく分からないが、途上国ではごく普通の火力発電所でも警察部隊、時には軍隊が警護に当たっているのが常識だ。
津波による被害は想定外であったというが、テロルの標的にされるのはもっと想定外なのであろうか?
日本がISなどのテロリストの標的になっていることは架空の空絵ごとではないことを政治家は認識してほしい。
おススメ度: ★★☆☆☆+α
九州鹿児島県にある川内原発のホームページがハッキングされ乗っ取られた。HPのトップ画面には散々報道でお馴染みのテロリストグループ、ISの旗がある画像が映っていた。その画面にはこの原発がテロのターゲットであり、決行日と思われる日付がありカウンターとなっていた。
慌てた日本政府は傭兵代理店の池谷に協力を求めた。池谷は森美香を通しリベンジャーズの藤堂に繋いだのであった。美香は以前の内調から新設の国の情報機関へと移っていた。
今回のリベンジャーズの任務は川内原発のHPに侵入したハッカーそれはISのサイバー部隊と思われたのであるが、それを突き止め彼らのテロルを阻止することにあった。
浩志をはじめリベンジャーズの主要なメンバーが先ず向った先はサイバー部隊が潜むと思われたフランスのパリであった。
一方日本に残っている美香は今は自分の夫である藤堂浩志の父の死亡を知ったのだがそれが自殺であったことからその真相を探るべく島根県まで足を伸すのであった。
物語はこうしてフランス、ベルギー更にシリアへと、また日本との二本の軸を並行して進めるのであるが、正直言って双方の場面とも進行が緩慢に思え疲れるほどだ。リベンジャーズの活躍の場はかなり後半のシリア国内での作戦行動においてであるが今迄のシリーズほど激しいものではない。激しければ良いわけではないものの、作戦行動、戦闘シーンもちょっとマンネリ気味である事は否めない。ISに関してはもう充分といったところか。
しかしISの欧州、なかんずくベルギーでの情勢、状況に関しては的確になされているので、パリやブリュッセルでの同時多発テロを理解するには重宝な分析だと思う。
またクルド人勢力の組織やその整形過程、歴史的背景などがストーリー展開に合わせ的確に説明がなされ、下手な中東専門家なんかの記事を読むより役に立つ。
ここで話はちょっとそれるのであるが、我が国の原発が某国の工作員やテロリストたちに狙われる危険性多いにあり得る。地震や津波だけが脅威なのではなくテロルこそ恐ろしい。というのも原発の警備があまりにもお粗末な点があげられる。もうかなり以前ではあるが、仕事の関係で東電の柏崎刈羽原発の敷地内に入ったことがあるのだが、メインゲートの警備には丸腰の民間警備員らしき2,3人が詰めているだけであった。これじゃ原発を襲い占拠するには一個小隊もあれば十分なのでは、と思った。先進国の警備状況はよく分からないが、途上国ではごく普通の火力発電所でも警察部隊、時には軍隊が警護に当たっているのが常識だ。
津波による被害は想定外であったというが、テロルの標的にされるのはもっと想定外なのであろうか?
日本がISなどのテロリストの標的になっていることは架空の空絵ごとではないことを政治家は認識してほしい。