min-minの読書メモ

冒険小説を主体に読書してますがその他ジャンルでも読んだ本を紹介します。最近、気に入った映画やDVDの感想も載せてます。

スティーヴン・ハンター著『蘇えるスナイパー(上・下)』 

2011-02-24 21:40:37 | 「ハ行」の作家
スティーヴン・ハンター著『蘇えるスナイパー(上・下)』 扶桑社ミステリー
2010.12.16 第1刷 

オススメ度:★★★★★

待ってましたぁ!と思わず叫びたくなるほどのスワガー・シリーズ第6作。

第4作の『四十七人目の男』は日本でチャンバラごっこにハマッテしまって読者を唖然とさせ、第5作の『黄昏のスナイパー』ではあまりにも軽めのエンタメ小説すぎて肩透かしを喰った感じで物足りなかった。
そんな中、本編は初期の『極大射程』や『狩りのとき』を彷彿とさせる内容の作品となって登場。
改めてボブ・リー・スワガーのスナイパーとしての本領、凄みと力量が鮮やかに描かれている。

米国が泥沼のベトナム戦争に突入していた当時、その反戦運動に関わった男女4人の元活動家が何者かに次々と狙撃される事件が起こった。
容疑者として浮上したのはベトナム戦争当時活躍し、その後NO.1スナイパーとして名声を馳せた元海兵隊兵士のカール・ヒッチコックであった。
彼は重大な精神障害を患った疑いがあり、その原因は彼が実はNO.2の射撃王であった事実が判明し、NO.1のステイタスを維持する為にベトナム兵ではなく当時ベトナム戦争に反対した反戦活動かを狙撃することで数字を合わせようとしたのではなかろうか?と疑われた。
事件の捜査はFBIに移管され、犯人はほぼこの元海兵隊スナイパーであると結論付けられたかに見えたのだが、捜査の担当責任者であるニック・メンフィスは何かひっかかるものを感じ取り、最終結論を出す前にスワガーに内密の捜査協力を行った。
ここからスワガーの単なる戦争屋・スナイパーを超える活躍が始まるのであった。スワガーならではの豊富な経験と知識そして鋭い洞察力をもってして、真犯人は別にいることを突き止める。

本編では圧倒的なハイテク装備を持つ敵スナイパーとスワガーとの凄まじい戦闘もさることながら、陰謀を暴く優れたエスピオナージ戦を繰り広げるスワガーの活躍が見ものである。
また、最後にセットされたガンファイトは、まるで映画の西部劇の決闘シーンを現代に再現させ、読者よりも作者自身が楽しんでいるのでは?とニヤリとさせる構成を創り出している。