サリー・ビッセル著『人狩りの森』(原題:In the Forest of Harm)二見書房 2001.10.25 第一刷 829円+tax
オススメ度 ★★★★☆
米国のノースカロライナとテネシー州境に広がるナンタハラ国有林で繰り広げられる“人狩り・サバイバルゲーム”。と聞くと何か安っぽいB級スプラッター映画のような内容かと思ってしまう。
だが原題にある通り、禍々しくも神秘的な深い森の中で人間の本性みたいなものが丸裸に剥かれていく物語である。
著者はサリー・ビッセルというチェロキー族の血を引く一介の主婦であった。そんな普通の主婦が同じくチェロキー出身の女性地区検事補を主役にして、彼女の知的職場環境から遠く離れた森林山岳地帯を舞台にした戦慄のサバイバル・ゲームを描いたところに一番興味を惹かれたのだ。
主人公メアリー・クローはアトランタの法廷でいまアトランタの資産家の放蕩息子を第一級の殺人罪で有罪を勝ち取った。父親はその財力にものを言わせて彼の幼少時代からかばって来たのであるが、メアリーの鋭い追及の結果あえなく敗訴した。
メアリーは大学時代の旧友ふたりを誘ってかの地、生まれ育ったナンタハラ国有林へキャンプに出かけた。かの地は12年前に母を何者かに殺害された曰く因縁の地であったのだ。彼女の母が眠る墓地へそして母が殺された家を訪れる鎮魂の旅でもあった。
だが3人を待ち受けていたものは凶悪な殺人鬼とメアリーを狙う裁判で負けた放蕩息子の兄という追手であった。
普通の主婦が描くデビュー作とは思えない傑作であるのだが、最後のクライマックスとも言える場面展開にもう少しページをさいて欲しかった。クライマックスに到る過程の描写とのバランスが取れないほどあっさりとエンディングしてしまったのは残念だ。
オススメ度 ★★★★☆
米国のノースカロライナとテネシー州境に広がるナンタハラ国有林で繰り広げられる“人狩り・サバイバルゲーム”。と聞くと何か安っぽいB級スプラッター映画のような内容かと思ってしまう。
だが原題にある通り、禍々しくも神秘的な深い森の中で人間の本性みたいなものが丸裸に剥かれていく物語である。
著者はサリー・ビッセルというチェロキー族の血を引く一介の主婦であった。そんな普通の主婦が同じくチェロキー出身の女性地区検事補を主役にして、彼女の知的職場環境から遠く離れた森林山岳地帯を舞台にした戦慄のサバイバル・ゲームを描いたところに一番興味を惹かれたのだ。
主人公メアリー・クローはアトランタの法廷でいまアトランタの資産家の放蕩息子を第一級の殺人罪で有罪を勝ち取った。父親はその財力にものを言わせて彼の幼少時代からかばって来たのであるが、メアリーの鋭い追及の結果あえなく敗訴した。
メアリーは大学時代の旧友ふたりを誘ってかの地、生まれ育ったナンタハラ国有林へキャンプに出かけた。かの地は12年前に母を何者かに殺害された曰く因縁の地であったのだ。彼女の母が眠る墓地へそして母が殺された家を訪れる鎮魂の旅でもあった。
だが3人を待ち受けていたものは凶悪な殺人鬼とメアリーを狙う裁判で負けた放蕩息子の兄という追手であった。
普通の主婦が描くデビュー作とは思えない傑作であるのだが、最後のクライマックスとも言える場面展開にもう少しページをさいて欲しかった。クライマックスに到る過程の描写とのバランスが取れないほどあっさりとエンディングしてしまったのは残念だ。