志水辰夫著『待ち伏せ街道』新潮社 2011.9.20 第1刷
おススメ度:★★☆☆☆
「なまくら道中」「峠ななたび」「山抜けおんな道」の短編3作より構成されたもの。
先に述べたのだが、“通し飛脚”というものは歴史的に実存したものではなく、著者が当シリーズを始めた際に定義した言葉であるようだ。いわく、
「通し飛脚はひとりの飛脚が中継ぎすることなく最終の顧客まで一人で行う。したがって飛脚の力量が非常に大事になる。足も速ければ、腕も立つことはもちろんだが、それだけではだめなのだ。何よりも危険を嗅ぎ分け、どんなときでも自分を抑え、いざこざを避けられる意思と、分別を持ち合わせている人物でないとだめなのである。」
ということで単なる足の速い飛脚のお話とはならないのであるが、どうも今回の話しの筋が、物を届けることから派生する物語から逸脱し、主人公である通し飛脚の好奇心を満たすためだけの行動が目立つ。
確かに「なまくら道中」では仏像を運ぶ仕事を依頼される物語ではあるのだが、主人公並びに脇役の魅力があまりに乏しく今一つ熱中できないまま終えてしまう。
他の二編は上述のように本来の業務から離れ主人公の一方的な好奇心から取る行動であって、その好奇心の中身に対する読者の興味がシンクロしない。
ただし「山抜けおんな道」は時代は変われど女の持つ“したたかさ”がよく描かれていた。
ま、ちょっと著者も自己の袋小路に入ってしまった感があり、もうこのシリーズはこれで終いかな、と思ってしまった。
おススメ度:★★☆☆☆
「なまくら道中」「峠ななたび」「山抜けおんな道」の短編3作より構成されたもの。
先に述べたのだが、“通し飛脚”というものは歴史的に実存したものではなく、著者が当シリーズを始めた際に定義した言葉であるようだ。いわく、
「通し飛脚はひとりの飛脚が中継ぎすることなく最終の顧客まで一人で行う。したがって飛脚の力量が非常に大事になる。足も速ければ、腕も立つことはもちろんだが、それだけではだめなのだ。何よりも危険を嗅ぎ分け、どんなときでも自分を抑え、いざこざを避けられる意思と、分別を持ち合わせている人物でないとだめなのである。」
ということで単なる足の速い飛脚のお話とはならないのであるが、どうも今回の話しの筋が、物を届けることから派生する物語から逸脱し、主人公である通し飛脚の好奇心を満たすためだけの行動が目立つ。
確かに「なまくら道中」では仏像を運ぶ仕事を依頼される物語ではあるのだが、主人公並びに脇役の魅力があまりに乏しく今一つ熱中できないまま終えてしまう。
他の二編は上述のように本来の業務から離れ主人公の一方的な好奇心から取る行動であって、その好奇心の中身に対する読者の興味がシンクロしない。
ただし「山抜けおんな道」は時代は変われど女の持つ“したたかさ”がよく描かれていた。
ま、ちょっと著者も自己の袋小路に入ってしまった感があり、もうこのシリーズはこれで終いかな、と思ってしまった。