min-minの読書メモ

冒険小説を主体に読書してますがその他ジャンルでも読んだ本を紹介します。最近、気に入った映画やDVDの感想も載せてます。

上田秀人著『決戦 奥右筆秘帳12』

2015-07-16 14:16:57 | 時代小説
上田秀人著『決戦 奥右筆秘帳12』講談社文庫kindle版 2013.7.1

おススメ度:★★★★☆



★ネタバレ★といえばネタバレかも。結末の一切を知りたくない読者はご遠慮ください。






本シリーズ7巻から最終編12巻まで飛んでしまった。この間の物語の展開は想定内であって飛んで着地した本巻で何の抵抗もなく入って行けたことを正直に告白したい。前回も書いたように、とにかく衛悟と冥府防人との一騎打ちを読まねばこのシリーズは終わらないのだ。
もちろんどちらが勝つかは自明の理であるが、どのように勝つかが知りたかったわけ。
純粋に戦いの力量から申せば冥府防人にアドバンテージがあるのは明白。そこで衛悟を取り巻くひとりひとりが彼の助力となるよう努力する。
剣の師匠である大久保典膳は流派の奥義をも超えた奥義を彼に授け、立花家の愛する瑞紀は彼女が出来得る最善の策を彼に与える。そして今や義父となった立花併衛門は奥右筆組頭としての権限を初めて私的な理由で行使することを決意する。
これら全ての行為はこのシリーズのテーマである「継承」のためである。
親から子へ、師から弟子へ、受け継いでいく。受け継ぐべきものをいくつも背負わされた衛悟が受け継ぐべき何物も持たない冥府防人に勝つのは必然。その果し合いの結末には大いに納得したものであった。
最後に、衛悟くん、瑞紀ちゃんと幸せに暮らすのだよ!


米国映画『ターミネーター;新起動・ジェニシス』

2015-07-14 16:13:37 | 映画・DVD
米国映画『ターミネーター;新起動・ジェニシス』日本公開:2015.7.10

おススメ度:★★☆☆☆

監督:アラン・テイラー
キャスト:シュワちゃん
     エミリア・クラーク(サラ・コナー役)
     あとは、もう、いっか。  

内容はココ↓みて
http://movie.walkerplus.com/mv55939/

★ネタバレ警報★












★ネタバレ警報★

ま、バレて困るほどのネタを持った映画じゃないのだけど、一応ネタバレ警報を出しておきます。そもそもこの映画は第一作目からしてタイムトラベルで未来からやって来るところから始まるんだけど、こうしたタイムスリップものって話がややこしくなりがちなんですよねぇ。
今回は同じくタイムスリップするなかで発生した時間軸が異なる異次元ワールド、すなわち平行世界(パラレルワールド)を描いている。
登場する人物は同じなんだけど、異次元に存在するもう一人の同一人物。そこに生きる世界もまたもうひとつの地球。極論を言えば例えこちらの世界でターミネーターにサラが殺されたとしてもこちらの歴史は変わらないと。あああ、こうなるともう収拾がつかないのよねぇ。
ターミネーターファンとしてはもちろんポンコツとなってもシュワちゃんT-800を見たいしぃ・・・・あいかわらずT-1000の水銀野郎は嫌いだなぁ。それにジョン・コナー役がヤボ過ぎるぜぃ。エンドロールの途中でまたも、しつこく続編があり得ることを示唆するがこれは明らかに不要だな。そのころポンコツシュワちゃんは墓の下。



渡辺裕之著『デスゲーム 新・傭兵代理店』

2015-07-11 14:20:01 | 「ワ行」の作家
渡辺裕之著『デスゲーム 新・傭兵代理店』祥伝社文庫 2015.2.20第1刷 \700+tax

おススメ度:★★★★☆

この度の藤堂浩志率いるリベンジャーズの一部はいつもとは異なる場所に居た。海外には違わないのだが、参集した場所がヨルダンは首都アンマンの世界的軍事見本市の会場であった。
この見本市はSO8とも呼ばれる世界8ケ国から集まった特殊部隊のためのイベントなのであった。
米国や英国、更にフランス、ドイツなどのその国を代表する特殊部隊に加わって日本からは国の特殊部隊ではなく傭兵部隊として呼ばれリベンジャーズはちょっと特殊な立場にあった。
だが、とにかくその実力を評価されての招聘であることは間違いがなかった。
さて、このSO8であるが単なる博覧会ではなく、正式な行事の間を縫って各国対応する競技会が遂行されたのであった。
第二までの競技では米国チームが汚い手を使いながらトップに立ち、警護のヨルダン兵士2名が何者かに襲われるという不測の事態が発生していた。その最終日各国チームは軍用機の機上におり、こののち降下し与えられた座標にあるコンテナを探すという競技であった。
合図とともに次々と降下していく各国チームを出迎えたのは何と地上からの激しい銃撃の嵐であった。次々と撃たれてゆく他のチームをみた浩司は部下に方向転換を命じて銃弾を回避した。地上で銃火を放ったのはシリアを根拠地にするISのテロリストであった。機はいつしかヨルダン領を外れシリア領内に入っていたのだ。
さて、これ以降はシリアの土漠を舞台に捕まった他国の特殊部隊隊員を救うべくあのにっくきISのテロリスト集団に立ち向かうリベンジャーズであった。
シリアを舞台とした戦闘と言えば前作「悪魔の大陸 上」でちょっと不完全燃焼した感が否めなかったのだが、今回先の落とし前を含め大暴れするリベンジャーズの面々。
これだけ時宣を得たストーリーは他に例をみない!ともいえるであろう。ところでこのISILが実は米国、イスラエルと繋がりがあるのではないか?という疑惑が一部で囁かれる昨今であるが、筆者である渡辺氏の洞察力にも大いに注目したい。




上田秀人著『奥右筆秘帳 隠密7』

2015-07-09 20:00:22 | 時代小説
上田秀人著『奥右筆秘帳 隠密7』講談社文庫 2011.8.7第11刷 \619+tax

おススメ度:★★☆☆☆

前作「秘闘6」を読み本作に取り掛かったのであるが、どうも物語の進捗状況がはかどらない。
今回松平定信を敵に回した立花併衛門が陥った危機というのが愛する一人娘瑞紀が振った婚約相手(いや婿入り予定であっただけの)に拉致されるというもの。
もちろん我が衛悟が瞬く間に解決してしまう。そしてこの事件を機に頑固親父である併衛門もついに愛娘と衛悟の仲を認め衛悟を婿に迎える決心をする。進捗と言えばこれだけのことである。ま、もう一つくらい付け加えるとしたら立花併衛門と衛悟の敵方に伊賀ものが加わったことくらいか。
さてこの先読み進めるものかどうか思案に迷い、アマゾンでこの先の展開を探ってみると今度は立花併衛門が敵方に囚われたりするくらいで、どうもこれも無事解決するようだし、あとはまたぐずぐずするだけのようなので、ここはすっきり残り全部飛ばして最終編「決戦」に行くことに決断。
唯一の残った関心事は一橋治済の懐刀冥府防人との決着だけなのである。かくして上田先生ごめんなさい、最終編に行ってしまいます。m(. .)m







高野秀行著『恋するソマリア』

2015-07-05 16:18:11 | ノンフィクション
高野秀行著『恋するソマリア』集英社 2015.1.30第一刷 \1,600+tax

おススメ度:★★★★★

待ってましたぁ!ミスタータカノ!のソマリア・リポート第二弾!!!なんと今度のタイトルは直球勝負「恋するソマリア」になってしもうた。まさかなんぼソマリアにはまったとは言え「恋する・・・」はねぇだろ!?本人は前回の旅行から帰国するや、もうソマリアに帰りたくて帰りたくて、そわそわオロオロ、まるで恋人と別れ早く再開したくてたまらない恋する青年の如しw。
そんな高野氏は早稲田のソマリ留学生兄弟(妹)からソマリ語を習ったり、中古車のダイレクト輸出の商売を仕掛けをつくったりとヤル気まんまん。
そしていよいよ2度目のソマリアへの里帰りを果たしたのであった。今回のテーマは特に次の3点であった。それは「言語」「料理」「音楽」(踊りを含め)。高野氏は世界各地を渡り歩くうちに人間集団を形作る内面的な三大要素はこの3つにあると喝破したのであった。
かくして南部ソマリアの秘境を訪れる前にソマリア人の普通の家庭にある外国人にとって全くの秘境とも言えるその台所に潜入し誰もが果たせなかったソマリアの家庭料理を伝授してもらったのである。そこでうら若きソマリ女子の文字通りベールを脱いだ交流があり、ミスタータカノにとって忘れがたい体験となった次第。
僕にとってもっと興味深かったのが「音楽」の話題。ソマリア人の性格から想像される激しいアラブ風ミュージックが好まれるものと作者高野氏は考えたようであるが、全くのハズレ。
何とも叙情豊かな男女の恋の歌を中心に、これは日本の演歌に近い歌謡曲では!?と思われるものが好まれる。ソマリの音楽は日本同様「五音音階」のため曲調が日本と似ているのだ。
僕が昔ケニアの北東部、ソマリア国境からほど遠くないサバンナではたらいていた時に夜僕のラジオに流れた音楽は紛れもなくド演歌であった。びっくりして起き上がりじっとその音楽を聴いたのだが、歌詞は何語であるのか全然わからなかったものの、何故こんなところに演歌を歌う民族がいるのか不思議であった。
そして高野氏は念願の南部ソマリアの秘境へ州知事の招待でホーン・ケーブルTVモガデショ支部のハムディらと軍の護衛付で分け入ったのであるが、これが最悪の事態を招くことに。詳細は割愛。
ところでハムディと言えばモガデショ支部の剛腕姫と表現されるように超美貌でありながら管理者としても記者としても辣腕を振るう才色兼備のおねぇちゃん。本作品でも何枚かの画像が載っているが、表紙を飾る女性はまさにハムディその人であろう。
これだけの美貌を持ち射るような眼差しで議論をふっかけるインテリジェンス溢れる女性であれば大抵の男は沈黙する。
僕なんかだと一発で惚れるタイプだ。そもそも高野氏が今回の題名を「恋するソマリア」としたのは「恋するハムディ」が居たからではないのか?と勘繰ることができるほど。本編あとがきの部分で載せられた彼女とのツーショットの高野氏の何とも幸せそうなお顔を見るにつけそう思ってしまう。詳細はネタバレになってしまうので書けないが、さて高野さん、もちろん3度目の帰郷を果たすのでしょうね!それとも北欧の旅に変更とか?