大沢在昌著『黒の狩人』上・下』 2008.9.25 各1,700円+tax
オススメ度★★★★★
警視庁新宿署組織犯罪対策課のマル暴担当佐江刑事といえば確かこの“狩人シリーズ”に登場したはずだ。
風貌は40歳過ぎの下腹が出た冴えない中年男で女房には逃げられバツイチ。行動は粗野にしてそこいらのヤクザとどちらが暴力団か分からないくらいである。
新宿署には既に10年以上勤務し上からは疎まれどこかへ転勤させたい筆頭であり、新宿をしのぎの場にするヤクザたちからも蛇蝎のごとく嫌われている。
ヤクザに嫌われる理由は佐江がけっして彼らの賄賂に応じることがないせいかも知れない。
佐江はただ正義感のあるだけのデカではないが、自分なりのデカとしての“筋を通す”意地を持ち、自分が決めたルールに従わない相手が犯罪者たちばかりか警察内部の同僚、上司であってもそのルールの適応をかえることはない。
格好は悪いが思考と行動はまさにハード・ボイルドしているわけだ。
さて、本編に登場するその他の人物は種々かつ多彩であるのだが、最も魅力的なキャラとしては外務省アジア大洋州局中国課に勤務する野瀬由紀と捜査補助員として佐江刑事と行動を共にする謎の中国人、毛であろう。
その他警視庁公安部外事二課、中国国家安全部、中国黒社会のマフィア、暗殺者、日本のヤクザ、それぞれ強烈な個性を持った連中が縦横に入り乱れ、一大諜報戦を繰り広げるのだ。
『新宿鮫』の鮫島刑事とはまた一味違う佐江刑事の活躍がひときわ冴えるミステリアスな警察小説となっている。
オススメ度★★★★★
警視庁新宿署組織犯罪対策課のマル暴担当佐江刑事といえば確かこの“狩人シリーズ”に登場したはずだ。
風貌は40歳過ぎの下腹が出た冴えない中年男で女房には逃げられバツイチ。行動は粗野にしてそこいらのヤクザとどちらが暴力団か分からないくらいである。
新宿署には既に10年以上勤務し上からは疎まれどこかへ転勤させたい筆頭であり、新宿をしのぎの場にするヤクザたちからも蛇蝎のごとく嫌われている。
ヤクザに嫌われる理由は佐江がけっして彼らの賄賂に応じることがないせいかも知れない。
佐江はただ正義感のあるだけのデカではないが、自分なりのデカとしての“筋を通す”意地を持ち、自分が決めたルールに従わない相手が犯罪者たちばかりか警察内部の同僚、上司であってもそのルールの適応をかえることはない。
格好は悪いが思考と行動はまさにハード・ボイルドしているわけだ。
さて、本編に登場するその他の人物は種々かつ多彩であるのだが、最も魅力的なキャラとしては外務省アジア大洋州局中国課に勤務する野瀬由紀と捜査補助員として佐江刑事と行動を共にする謎の中国人、毛であろう。
その他警視庁公安部外事二課、中国国家安全部、中国黒社会のマフィア、暗殺者、日本のヤクザ、それぞれ強烈な個性を持った連中が縦横に入り乱れ、一大諜報戦を繰り広げるのだ。
『新宿鮫』の鮫島刑事とはまた一味違う佐江刑事の活躍がひときわ冴えるミステリアスな警察小説となっている。