ケン・フォレット著『ハンマー・オブ・エデン』小学館 2000.12.1 1,800円+tax
オススメ度★★★☆☆
次にフォレットの作品を読むとすれば、傑作といわれる『大聖堂』にしようとかねてから思っていたのであるが、たまたま図書館で本作が目に留まったので読んでみた。
本の帯に著者自ら「これが私の最高傑作」という言葉がのっており、これはかなり面白いのでは?!と期待した。しかし、読み進むにつれ「これがマジに最高傑作かい?」と先の著者の言葉を大いに疑い始めた。
地質探査用の車載型バイブレータを使って地震を発生させ、それを武器にカルフォルニア州知事を脅す、という発想は悪くないかも知れない。
実行グループが自分達の“コミューン”をダム建設による水没から守ろうというのだが、そのグループなるものが1960年代後半に登場したヒッピーの生き残りという設定にはがっかりさせられた。
ヒッピーたちが絶滅したとは断定できないが、いかにもアナクロニズムではないか。
更にコミューンを率いるリーダー、プリーストという男がまたなんとも魅力がないのだ。若い頃はけちな犯罪者であったのが何とか25年間このコミューンを維持してこれたのはそれなりの指導力があったのかも知れないが、いわゆる悪役でもヒーローになりうる要素をほとんど持ち合わせていない。
対するFBI捜査官は白人の父とベトナム人の母より生まれたジュディ・マドックスという混血の美人が登場する。
彼女はある意味では非常に自立した芯の強い女性なのであるが、別の見方をすると非常に出世欲が強い“鼻持ちならない”女に見えてしまう。
正邪双方どちらかにでも肩入れできる人物造形がなされているのであればまだ救われるのであるが、どちらも大して魅力あるキャラではないのが辛い。
新書版サイズの厚みが5cmにもならなんとする大作なのだが、後半になってやっと何とか読み応えが出てくる程度で、これは本当にケン・フォレットが書いた小説であろうか?と思える出来具合だ。
かれの作品は多くを読んだわけではないが、読んだ作品はいずれも第二次世界大戦下の小説であった。
現代を舞台にするとこうも作品の感想が違ってくるのは何故だろう。ケン・フォレットといえども常に傑作を生み出すわけではなさそうだ。
後半部分の盛り上がりがなければオススメ度は★2つとなるところであった。
オススメ度★★★☆☆
次にフォレットの作品を読むとすれば、傑作といわれる『大聖堂』にしようとかねてから思っていたのであるが、たまたま図書館で本作が目に留まったので読んでみた。
本の帯に著者自ら「これが私の最高傑作」という言葉がのっており、これはかなり面白いのでは?!と期待した。しかし、読み進むにつれ「これがマジに最高傑作かい?」と先の著者の言葉を大いに疑い始めた。
地質探査用の車載型バイブレータを使って地震を発生させ、それを武器にカルフォルニア州知事を脅す、という発想は悪くないかも知れない。
実行グループが自分達の“コミューン”をダム建設による水没から守ろうというのだが、そのグループなるものが1960年代後半に登場したヒッピーの生き残りという設定にはがっかりさせられた。
ヒッピーたちが絶滅したとは断定できないが、いかにもアナクロニズムではないか。
更にコミューンを率いるリーダー、プリーストという男がまたなんとも魅力がないのだ。若い頃はけちな犯罪者であったのが何とか25年間このコミューンを維持してこれたのはそれなりの指導力があったのかも知れないが、いわゆる悪役でもヒーローになりうる要素をほとんど持ち合わせていない。
対するFBI捜査官は白人の父とベトナム人の母より生まれたジュディ・マドックスという混血の美人が登場する。
彼女はある意味では非常に自立した芯の強い女性なのであるが、別の見方をすると非常に出世欲が強い“鼻持ちならない”女に見えてしまう。
正邪双方どちらかにでも肩入れできる人物造形がなされているのであればまだ救われるのであるが、どちらも大して魅力あるキャラではないのが辛い。
新書版サイズの厚みが5cmにもならなんとする大作なのだが、後半になってやっと何とか読み応えが出てくる程度で、これは本当にケン・フォレットが書いた小説であろうか?と思える出来具合だ。
かれの作品は多くを読んだわけではないが、読んだ作品はいずれも第二次世界大戦下の小説であった。
現代を舞台にするとこうも作品の感想が違ってくるのは何故だろう。ケン・フォレットといえども常に傑作を生み出すわけではなさそうだ。
後半部分の盛り上がりがなければオススメ度は★2つとなるところであった。